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溺れる人に藁をつかませる人。

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取材を受けていたNHKクローズアップ現代が6月5日に放送された。
代替医療から勧誘を受けているガン患者として、ほんの少しだけ紹介されている。

驚くほど多くのガン治療の代替医療があることを、ガン患者になって知った。
代替医療というのは治療効果の薄い、もしくは認められていない、乱暴に言えばインチキ医療のことだ。

医師が開業するクリニックで行われるなんちゃら免疫療法やら、怪しい健康食品、マッサージまで幅広い。

僕の中で印象深いインチキ医療の勧誘は、赤ちゃんプレイ療法とバイアグラ療法だ。これマジだぜ。別々に勧誘されたけど、並行して治療したら絶対ヤバイよね。

もちろん治療効果が認められないから健康保険は適用されないので高額だ。
藁をもすがるガン患者や家族からお金を毟りとり、後悔を与える卑劣な行為だと僕は思う。

後悔って書いてるけど、赤ちゃんプレイもバイアグラもやってないからね。

ここまで読んだ人の大半は笑うか憤慨すると思う、でも極端な例をあげるとお守りも同じことなんです。コピペしたようにガンに効くお守が増えに増えて、現在同じお守りが8個もあるんだけど、残念ながら治療効果はないし誰からどれを頂いたかもう判別もつかない。

患部に当てると良くなるって全員が説明してくれたけど、僕は血液ガンなのでどこに当てておけばいいのか分からないうえに、綿とポリエステルでできたお守りは湿布のように粘着性もない。安物の湿布でもこんなあやふやなことしないよね。

友人や親族の自分を思ってくれる人の気持ちというのは良くわかる、それにお守りなら金額的にも可愛いものだ。
しかし、その次に購入するのはガンに効くと謳われるサプリやキノコやお茶になり、感謝をすればどんどんエスカレートする。

この手の差し入れが一番迷惑なのでくれぐれもプレゼントしないでください。フリじゃないよ、まじでね。そのお金を地域のフードバンクに寄付してください。

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いままでに数百件のインチキ医療の勧誘メッセージに目を通して気づいたことだけど、藁をすがらせる手段をみんな心得てる。

商品を販売や説明するWEBサイトは分かりやすく、末期がんでも完治すると謳い、お子さまのためにと一番弱い弱点を突いて説得してくる。そして薬漬けにされるなどと標準治療の不安を煽り、その不安から優しく守ろうとしてくれる。

はっきりいうけど、インチキ医療の勧誘は病院で説明される医師の難しい説明よりも、分かりやすくて親身なんですよ。正しい医師の難しくて正しい説明は、悪徳業者の分かりやすい簡単なウソに負ける。

ネットには多くの“ 〇〇で末期ガンが治る!! ”というインチキ医療情報がある。
しかも一部のお金目的の医師がやってるから始末が悪い。

それに対して“ 標準治療で末期ガンが治る!! ”と声高に主張する真っ当な医師はいない。当たり前だ、全ての患者が助かるわけじゃないからだ。
真っ当な医師を批判したいのではなく、それが真っ当な医師だ。

家族からインチキ医療を勧められた患者から、相談をされる医師も少なくないと思う。オススメはしませんけど、やりたければどうぞ。と答えるのが恐らくほとんどだろう。お金に余裕があってあなたが満足するなら、止めるのも面倒だしこっちの治療に支障が出なければいい、というのが本音だ。

インチキ医療を積極的に止めないのは、患者と家族を満足させトラブルを避けるため、それに医師は多忙だ。大学病院の待合室では患者が周囲に聞こえるように、遅い遅いと文句を言う。患者が医師の首を締めている側面も僕は感じる。

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僕のもとに届くインチキ医療勧誘メッセージは最近少し変化してきた。
以前は消費者として勧誘を受けていたけど、最近では広告塔として勧誘を受ける。

僕が使用している同じカメラやレンズを買いたいから教えて欲しいというメッセージを頻繁にもらう。実際に僕と同じカメラとレンズを購入する人がいる。
自分が使っているものは自分が良いと思って使ってるし、メーカーが優れた製品を出しているから良いのだけど、そこに目をつけた悪徳業者がステマやモニター依頼などをしてくる。

せっかくだから次に勧誘されたらカメラ片手に潜入レポートしようかな。
赤ちゃんプレイとバイアグラは並行できないから、順番で。

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“幡野さんって健康そうに見えてガン患者っぽくないので、入院中のお写真拝借できませんか?”と番組ディレクターさんからお願いされる。
失礼なことを言っていると思ったのか、かなり恐縮していて申し訳なさそうだけど、会った人のほぼ全員に言われるので正常な判断だ。

何枚か写真を送って、ディレクターさんが写真を選んだ。
“ご家族が撮影しているから、良い写真ですね。”と返信してきた。

この写真は入院中に僕のカメラで、写真好きな担当医が撮影してくれた写真だ。
写真家っぽく断言しちゃうけど写真には関係性がうつる、この担当医は本音でわかりやすく説明してくれるので信頼ができる。

“血液の中にテロリストが混じってるんで、善良な市民の血液を避難させてから、徹底的に空爆して、焼け野原に戻して再建します”って抗がん剤と自家移植を説明したからね。聞き慣れない薬や言葉で説明するより、分かりやすい。

インチキ医療から身を守るには、医師との信頼関係なのではないかと写真を見返してふと思ったりする。


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写真家、元狩猟家、血液がん患者。 お仕事のご相談はこちらに hatanohiroshi0301@gmail.com

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コメント (11)
幡野さんありがとうございます
この言葉
とてもリアルに伝わりました

娘の予防接種の説明を受けようとして質問したら
「訴えますか」
と注射針を片手に
医師に恫喝されたり

夫の入眠剤の質問をしたら
「そんなのどうでもいいから、ただ飲ませてくれればいいんだよ」
と医師に投げやりのように突き放されたり

常備薬だけで9種類
こんなに飲むのかと手のひらに薬を並べてしばし眺めている夫を見て
病院を変えようと思いました

相方も難病の為
多くの薬を飲んでいました
そんな中幡野さんのつながりで出会った本に引きよさられて
たどり着いた緩和医療の対応に救われました

今日はラジオ収録の日
リスナーとの関係性を保つ日であり

関係について話そうと思います
放送は11月に入ってからになります
幡野さんの少し古いnoteにコメントします。私は藁をつかませることのできない普通の医療者であり、また幡野さんのカメラマンとして、ライターとしての仕事を敬愛しております。10月になり、血液にオゾンを吹きこむと、鮮やかな赤色になる(あたりまえです)健康法に幾人かの芸能人が強調するSNS投稿をしていると批判されました。私はみずからを守るために言葉を慎む必要がありませんので、正直に感じるところを述べさせてください。藁をつかむ一般人がどれだけ矛盾だらけの人たちなのか。心ある医者のススメに(それが判りづらいからだろうけど)懐疑の目をむけるいっぽうで、タレントの映るテレビ映像やサイトやSNSだと(その心地よいトークには)コロッと魅せられてしまう。科学と非科学、冷静な事実とみなさんの思い込み、その違いを区別できない「幼稚な」一般人を誰が今から教育できるのか?日々の診察室でそれを行おうとすると、外来の順番待ちがいつまでたっても捌けません、私の外来が遅くなるのもほどほどにしないとならないわけです。
私はがん患者の幡野さんとしてnote を読んでおらず、写真家の見る景色として読ませて頂いています。
写真は関係性が表れる、そうなんですよね。私は写真を撮られることがなによりも苦手なんです。ましてや自撮りなんて絶対しません。
大学のアルバムは各々が決められた時間と場所に行き撮ってもらうシステムだったので、もちろん行きませんでした。
なのでアルバムに私の写真は載っていません。
思い出ということばが嫌いなのと繋がるでしょうか。
この世に生きてきた証なんて形に残さなくていいと思って生きています。
写真を撮られるのが苦手なのは自分のことも含めて、誰のことも信用していないことなんだなと改めて感じました。
それなのに人の生き死にに関わる仕事をしています。
リアルに伝わってきます!
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