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本を買う前に話を聞け

現在就活中なのだが(民間志望ではないので遅い)、一緒に頑張ってる友達が病みまくっている。
朝7時に「面接カードが書けなくて眠れない」と電話がかかってきたり。
震えが止まらず、ペンを持つ手がガタガタ。
眠れずレッドブル。からの眠剤。
そして今日は「自殺マニュアルの本を買った」と。

いや、まず話を聞いてくれ。


どうして人は病んでしまうのだろう。
私も人のことは言えないけれど、彼女の病みと私の病みはちょっと種類が違う気がする。
私は生育歴からくる慢性的なもので、彼女のは就活からくる一過性のものだ。

彼女の神経症なところとか、不安症なところとかが病みに加担してるのは間違えないが、にしても就活で心を病む人間は少なくない。
去年の秋ごろも、他学部のひとつ上の先輩が就活を苦に学部棟で自殺したと聞いた。
人ごとではないのだ。
これほど近くにありふれていて、生きることの大変さを感じざるをえない。

彼女のことに話を戻そう。
私は毎日彼女の弱音も愚痴も聞いている。
眠れない、やばい、私だけ持ち札がない、もう終わらない、無理…
勉強方法やエントリーシートの書き方も沢山アドバイスした。
教えてほしい、これで良いと思う?、私どうすれば良い?…
彼女はこんなに人にSOSが出せるのにちっとも人の話を聞かない。
丸暗記じゃなくてポイントで覚えないと最後まで覚えらんないよって言ったのに、ごはんは食べないと生きていけないよって言ったのに、「でも…」と言う。
そしてあとから後悔する。
「なんでこんな頑張ってるのに今こんなことになってんの!?」

いや、だから話を聞いてくれ。

彼女はことあるごとにアドバイスを求めてきたし、私は丁寧にそれに応えてアドバイスをした。
でも肝心の内容は受け止められていない。
「えーでもこれやっとかないと不安で…」
「でもご飯より勉強しないとダメだから…」
「でも、こんなんじゃ伝わらないかも…」
ずっとその繰り返しだった。
あなたは私と話しているのではなくて、私を通して自分と会話しているのではないかい?と思う。
だって私の話なんてほんとのところあまり聞いてないし、自分の不安やモヤモヤをとにかく掻き消せる方法しかとらない。
私が何を言っても結末は同じ。
彼女の心は圧倒的にイマの不安な気持ちが支配しており、それを掻き消さないことには眠れないし食べれないのだろう。
長期的にどうかではなく、短絡的にイマの不安だけを掻き消し続けたから、結果支離滅裂なことになっているのである。
知らないと思うけど、君の首を絞めているのは君の手だよ。

「私、ほんまに見てておもろいやろ?迷走してて」
うん、めっちゃ生きづらそう。

世の中は就職だけが全てではない。
せっかく死ぬなら色々遊び回ってからにしてほしいし、君は可愛いから玉の輿を目指せば働かずに済むだろう。
今目指している業界だって拘らなければいくらでも就職先はある。
全て終わって、それでもどうしようもないと思ったのなら死ぬのも一択だろうが、まだ全て終わっていないので終わってからにしておくれ。

僕は少しだけ疲れている。
君がちっとも僕の話を聞いてくれないから。
早く就活を終えて、元気に戻っておくれ。
君は自分で話してた通り、内定がとれたら元気に戻るはずだから。
そしたら僕は少しだけ静かに過ごしても良いかな。

あと君が病んでいた時口走った「一緒に死のう」に、僕はただ笑ったけど、ほんとは一緒に死んではあげられないんだ。それだけ言いたかった。
じゃあ、試験頑張ってね。

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