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新たな宿泊業のかたち

こんにちは、コーイチです。
 2018年6月、改正旅館業法は戦略特区でなくても地域に分散した施設をまとめて一つのホテルとして営業許可を得られるようになりました。
その法律の施行後に新たなかたちの宿泊事業がはじまりました。
 今回は、村全体をひとつのホテルに見立てた、地域分散型の古民家ホテルを見ていき、今後もこのような業態が増えていくのか考えたいと思います。

1.分散型ホテルの誕生

                  (出典:NIPPONIA youtubeより)

 古民家はただ再生・保存するだけでは、コスト面も含めてその後の維持管理が難しい問題を抱えています。
 結果、先祖代々から受け継いだ建物を残したくても、泣く泣く解体したり、売却せざるを得ないことが多々あります。
兵庫県篠山市に拠点を置く会社で、もともとは古民家などの地元資源を活かした地域再生を手がける一般社団法人の「NOTE」は、古民家を改修した上で、地域活性化に貢献する持続可能なビジネスとして“活用”することで、歴史ある古民家を残す仕組みをつくりました。

 「NOTE」の原点とも言える地域、兵庫県篠山市にある丸山集落は、たった12戸の小さな集落ながら家はどれも古くて立派な建物で、美しくも懐かしい里山の風景が残されていました。

 2009年に集落内の12戸のうち、3つの空き家を改修し、分散型ホテルにしました。
予約業務はパートナー企業が担当し、現地でのオペレーションはすべて地元の人が担当しています。
 地域のアイデンティティ的な存在である歴史的建造物を再生して、その1棟1棟に、それぞれ受付やレストラン、客室などの機能を持たせます。
 ゲストは受付棟でチェックインしたら、地図で紹介されているお店やスポットを巡りながら自分の部屋へ向かい、その道中には、地ビールが飲めるバーや、地元出身のアーティストによるクラフトショップがあったりし、村全体がひとつのホテルのようになっています。
 ゲストにまちを周遊して楽しんでもらうことで、まち全体の商いが活性化していき、宿泊施設だけではなく、地域を盛り上げていくための仕掛けになると言います。

 現在ではすっかりリピーターが定着し、限界集落と呼ばれる農村でも観光ビジネスが成り立つことを証明して見せてくれました。
 最初、集落に12軒あった古民家のうち7軒が空き家でしたが、今や空き家はゼロになりました。一度外に出た古民家の所有者が、実際にセンス良くリノベーションされた古民家を見て『これなら自分たちで住みたい』と集落に戻って来たり、集落内に古民家レストランができたことで神戸からシェフが移住して来たりと、新しい価値や雇用が生まれたことで、人が惹きつけられたと言います。
 さらに面白いのが、集落の田畑全体の半分を占めていた耕作放棄地がなくなったということです。泊まりに来たお客さんが気に入って、『また来るから貸してほしい』と畑を借りていくようです。

2.小菅 源流の村

            (出典:NIPPONIA 小菅 源流の村 youtubeより)

 東京から2時間ほどの近距離にあるにも関わらず、多摩川の源流をかかえ、深山の趣のある小菅村は自然と共に共生する暮らしの原風景がまだ数多く残ります。
 小菅村は人口740人ほどの小さな村ですが、豊かな自然・食を目当てに、年間約20万人もの観光客が訪れるほど人気の地域です。
 しかし人口は年々減り続け、30年後には約半数にまで減少するというシミュレーション結果が出ています。
 「何とかして村を活性化できないだろうか。」という小菅村の声に応え、地方創生コンサルティング会社「さとゆめ」は2014年から村づくりに携わってきました。
 2014年から小菅村に通い、「道の駅こすげ」の立ち上げやさまざまなイベントや商品企画に携わってきた嶋田代表は、観光客数は2014年~2018年の5年間で2.2倍に増えたものの、村の宿泊施設は廃業するケースも多く、泊まる場所が少ないことに気づき、日帰りだけでなく、じっくり滞在して村の魅力を味わってほしいと考えました。

 小菅村は昔から夏のスポーツ合宿や体験合宿の受け入れが盛んで、村にある宿の多くは団体客仕様になっていました。
 ところが、小菅村にやってくる観光客の7割は40代以上の夫婦や家族連れで、その人たちに合うような宿が村にほとんどありませんでした。
 観光客がいくら増えても、宿泊しなければ村にまとまったお金は落ちません。
 村内の宿の方々に対応してもらうにも、ほとんどの宿のオーナーさんは高齢なので、これから設備投資をしたり、力を入れてやるのは難しい、加えて、村内には多くの空き家が存在し、その中には築100年を超える立派な古民家も多くあり、今のままでは朽ち果てていくのを待つばかりとなっていました。

 そこで参考にしたのが、兵庫県篠山市で国家戦略特区制度を適用して始まった「分散型ホテル」でした。
 「村全体がひとつのホテルということは、村人はコンシェルジュ、村内の道路は廊下、温泉施設は浴場になるのです」。嶋田氏が村の会議で計画を最初に発表した時はどんな反応があるか心配したといいますが、意外にも村人たちの感想は好意的でした。
 こうして、2019年、分散型古民家ホテル「東京から2時間ほどの近距離にあるにも関わらず、多摩川の源流をかかえ、深山の趣のある小菅村は自然と共に共生する暮らしの原風景がまだ数多く残ります。
小菅村は人口740人ほどの小さな村ですが、豊かな自然・食を目当てに、年間約20万人もの観光客が訪れるほど人気の地域です。

しかし人口は年々減り続け、30年後には約半数にまで減少するというシミュレーション結果が出ており、何とかして村を活性化できないだろうか。そんな小菅村の声に応え、地方創生コンサルティング会社「さとゆめ」は2014年から村づくりに携わってきました。
2014年から小菅村に通い、「道の駅こすげ」の立ち上げやさまざまなイベントや商品企画に携わってきた嶋田代表は、観光客数は2014年~2018年の5年間で2.2倍に増えたものの、村の宿泊施設は廃業するケースも多く、泊まる場所が少ないことに気づき、日帰りだけでなく、じっくり滞在して村の魅力を味わってほしいと考えました。

小菅村は昔から夏のスポーツ合宿や体験合宿の受け入れが盛んで、村にある宿の多くは団体客仕様になっていました。
ところが、小菅村にやってくる観光客の7割は40代以上の夫婦や家族連れで、その人たちに合うような宿が村にほとんどありませんでした。
観光客がいくら増えても、宿泊しなければ村にまとまったお金は落ちません。村内の宿の方々に対応してもらうにも、ほとんどの宿のオーナーさんはご高齢なので、これから設備投資をしたり、力を入れてやるのは難しい、加えて、村内には多くの空き家が存在し、その中には築100年を超える立派な古民家も多くあり、今のままでは朽ち果てていくのを待つばかりとなっていました。

そこで参考にしたのが、兵庫県篠山市で国家戦略特区制度を適用して始まった「分散型ホテル」でした。
 「村全体がひとつのホテルということは、村人はコンシェルジュ、村内の道路は廊下、温泉施設は浴場になるのです」。嶋田氏が村の会議で計画を最初に発表した時はどんな反応があるか心配したというが、意外にも村人たちの感想は好意的でした。
こうして、2019年、分散型古民家ホテル「NIPPONIA(ニッポニア)小菅 源流の村」が誕生しました。
 
 「村全体がひとつのホテル」のコンセプトに共感した村人は、ホテルの近くの林や道端の植栽を自主的に手入れしたり、宿泊者を村人しか知らない道を案内して散策をしたり、村のきのこやわらびを収穫するというプログラムを開催したりしました。
ゲストが村内を散策すると、すれ違う人たちが笑顔であいさつし、「今日はこの夏で一番暑いねぇ」などと自然と会話がはじまります。
 澄んだ空気を感じながら、緑豊かな自然や水遊びに興じる子どもを見ていると、不思議とはじめて訪れたことを忘れなつかしい気持ちがわき上がってくるといいます。
(ニッポニア)小菅 源流の村」が誕生しました。
 
 「村全体がひとつのホテル」のコンセプトに共感した村人は、ホテルの近くの林や道端の植栽を自主的に手入れしたり、宿泊者を村人しか知らない道を案内して散策をしたり、村のきのこやわらびを収穫するというプログラムを開催したりしました。
 ゲストが村内を散策すると、すれ違う人たちが笑顔であいさつし、「今日はこの夏で一番暑いねぇ」などと自然と会話がはじまります。
 澄んだ空気を感じながら、緑豊かな自然や水遊びに興じる子どもを見ていると、不思議とはじめて訪れたことを忘れなつかしい気持ちがわき上がってくるといいます。

3.分散型ホテルの特徴

                (出典:Relux宿日記 youtubeより)

 宿泊者が宿にこもることなく、地域の中を回遊することで面として波及効果が生まれることは「分散型ホテル」の大きな利点となります。
 そもそも村や街全体がホテルになる仕組みはイタリアなど欧州にもある。「アルベルゴ・ディフーゾ」と呼ばれるもので、1980年代地震で崩壊した北イタリアの小さな村を復興するためのプロジェクトの一環として始まりました。
 現在では過疎化に悩む町や村の救済策として注目を集めており、町全体でホテルの機能を構成する分散型ホテルシステムで、その土地に根付く歴史、文化、人の営みを、観光資源化する点がポイントとなっています。

 日本で分散型ホテルをいち早く導入して国内22カ所で企画・運営し、小管村のプロジェクトを嶋田氏らと共に出資し運営している「NOTE」の藤原代表によると、「NIPPONIAはアルベルゴ・ディフーゾを模倣したものではなく、日本が守ってきたものを再発見するというコンセプトで進めていったら同じような形態になった」といいます。
 また、コロナ禍の中でもNIPPONIAプロジェクトによる宿泊施設はマイクロツーリズムの流れもあり稼働率も安定し、地域と交流する関係人口も増えているともいいます。

 「NIPPONIA小管源流の村」では2019年8月に誕生した第1期となる築150年を超える古民家をリノベーションしたホテル大家(細川邸)に続き、今回第2期プロジェクトとして「崖の家」2棟をオープンしました。
 「NIPPONIA小管源流の村」の魅力は、ローカルな食の発見にもあり、自給自足を基本とし味噌や醤油なども手作りしてきたという歴史があるため、保存食も豊富で、何より多摩川の源流に育つ豊かな川魚や山の幸があります。
 宿泊者にも自ら食文化を体験してもらいたいと、崖の家では村で採れた旬の食材と同施設の鈴木啓泰シェフによるレシピを見ながら宿泊者が自炊することもできます。
また、日本で初めて養殖に成功したという山女魚、イワナをはじめ、山ワサビ、平茸、鹿肉、雑穀など村で採れた食材を使った料理の数々は、小菅村の人々が営んできた風土や歴史、文化、農林漁業の営みを料理に表現する「ローカルガストロノミー」そのものと言えます。

               (出典:SWI swissinfo.ch  youtubeより)

4.最後に

           (出典:NIPPONIA 小菅 源流の村 youtubeより)

 観光業は今まさに崖っぷちです。
このようなプロジェクトは、観光業及び地域の過疎化に対するヒントになるかと思います。
 また、日本の古きよき文化を知ってもらうために、コロナ後の外国人への強いアピールポイントにもなりえると思います。

 「NIPPONIA」とは、各地に点在して残されている古民家を、その歴史性を尊重しながら客室や飲食店、または店舗としてリノベーションを行い、その土地の文化や歴史を実感できる複合宿泊施設として再生していく取組みのことで、現在も増加し続けています。

 古き良きものを新しく再生していく業態は、歴史の重みだけでなく、そこに根付いた文化も継承していくものかと思います。
 これからも、このような開発がもっと進むことを祈っています。

 機会があれば、是非訪れてみて、なつかしくて新しい日本を体験してみてください。

今回も最後まで見ていただき、ありがとうございました。        よろしければスキ、フォロー、サポートのほどよろしくお願いいたします。

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