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Base Ball Bear全曲レビューpart.1


『夕方ジェネレーション』


1 SAYONARA-NOSTALGIA

最初期の代表曲というか、ダンス湯浅将平も込みでライブの中心であった曲だと思うんだけど、改めてカッティングしながらラップっぽい歌詞を歌う小出さんは頭おかしいと未だにそう思うし当時からそうだったんですね。「THE CUT」をカッティングしながらラップしてたりとか。

2 つよがり少女

ボーイ ミーツ「くっそ捻くれたガール」と言えばいいのかな。

でも「君」と「俺」という組み合わせの歌って邦ロックの枠組みの中でも珍しいですよね。この曲に限った話じゃないんですが、特に近年の小出さんってめったに自分のことを「俺」と歌わないんですよね。『光源』までの153曲中「俺」が26曲で「僕」が81曲です。どうでもいいわ。

3 メタモルフォーゼ真っ最中

このアルバムって、18〜19の頃に作ってるはずで、いろんな意味で青春時代と地続きなんだと思うんだけど「次に会った君は君/でもあの日と温度の違う君」って言い回しなんか見ると、ある程度大人になった今にも通じる部分だと思う。

4 微熱ボーイ

よく出てくる概念としての「DEATHとLOVE」が始めて出てきた曲になるのかな?

あと後々の「The CUT」や「HUMAN」みたいな、あえて客観的に心情を描写しまくることでむしろ人物像を立体的に見せる手法はこの時点できてると言ってもいいかなと。

5 SUNSET-KI・RE・I

2番以降の4つ打ちが入って以降なんか特に、うわー今っぽい!って思いました。今のギターロックっぽい。もちろん相応の荒っぽさが目立つけど、サビの組み合わせっぽい曲の構成とかキメの作り方が、時代超えてるなーと。

6 夕方ジェネレーション

昼とも夜ともどっちとも言えない、どっちつかずな状況をずっと歌ってきたバンドなんだなあと思います。個人的には「照明を3段階目にして/即席夕方作れたりもする」って言い回しが好きです

あと個人的にすごい思い出があって、地元にベボベが来て見に行って、ツアーのファイナルでも滅多にないダブルアンコールをしてくれたんですけどその時にこれ歌ってくれました。



7 BOY MEETS GIRL

「完全版『バンドBについて』」で再販かかった時に聴いたのですが、ここまでシャウトする小出さんあんまり聞いたことなかったので衝撃でした。

小出さんはこの曲について「解散ライブの最後の曲が出来た」って思ったらしい。





コンピレーションアルバム『HI-STYLE vol.7』

1 少女と鵺

全然世界観がわかんねえ、ってか鵺ってなんだよみたいなところから始まるんですけど。日本に伝わる伝説上の妖怪で、体の部位がいろんな動物で出来てるっている、ウルトラマンタロウのタイラント的な感じって言えば伝わりますか。

なんかこう、妖怪の類でも何でもいいから私をここからどこかへ連れ去ってくれ、という心情はわかる気がします。



シングル『YUME is VISION』


1 YUME is VISION

ド頭ベースソロ始まりの曲ってこれと「檸檬タージュ」しかないんですよね。

あと、その最初のベースライン「抱きしめたい」のそれっぽいんですけどこっちは音階上がり続けるというという。

2 君のスピード感

僕この曲すごい好きです。これも「ボーイ ミーツ くっそ捻くれたガール」ものですよね。

どうしても「SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT」のジャケットの女の子の図を想像しちゃうのは音楽性のせいですかね?

3 東京ピラミッド

『新呼吸』あたりから小出さんが片目を隠したりピラミッドに目が書かれたフリーメイソン的モチーフが多くなってて、正直僕も意味がよくわかってないんですけど。

今思うのは、「人混みかき分けて会う」ことの大変さって今こんだけスマホ浸透してたらもうないんだろうなあって。意外なところで、今だとなかなか書けなさそうな歌詞とも言えそう。

4 ドッペルゲンガー・グラデュエーション

演奏、ボーカルがどんどんテンションが高まって行くんですけど、ラストサビの方になってくると小出さんのシャウトが、もう完全に向井秀徳さんで…語尾の言い切り方とか特に…

歌ってる中身は、「生まれ変わる」とか「卒業」とか、この時期の小出さんの抱えてた"あの頃"を振り払おうと必死になってたんだなあこの頃からって解釈してます。



ロックバンド、Baconとのスプリットシングル『B Beginning!!』

2April Mirage

僕はこの時期の曲を『完全版「バンドBについて」』で知ったので、スプリット盤にこの曲も入ってたなんて知りませんでした。内容については後述します。

4 TRAGIC HEROINE

1番Aメロとサビがあって、2番があって、そのあと「それは小悪魔的な/笑顔を見せつけたら〜」って大サビがある曲の構成が、今思えばなかなかアツいですね。





アルバム『HIGH COLOR TIMES』

1 極彩色イマジネイション

カッティングと不思議なコード感の一方、極彩色って文字通り「色鮮やかで華やか」な曲で、歌詞の世界観でもサウンド面でも、実は地味に「ベボベらしさ」が色濃いと思う。

2 April Mirage

時系列的にいえば「リンダ リンダ リンダ」の収録曲だった事を考えるとずっと前になるわけですが、逸話があってこの曲の作詞のために大量のCDを借りて歌詞の分析をしたそうです。

だからある意味ベボベの歴史において「この曲以前」「この曲以後」と分かれる、のかも。

3 空飛願望

「そらとびがんぼう」って読むんだって。

個人的に、最近までサポート入ってた弓木英梨乃さんにこれ弾いてもらいたいです。もうワウペダルとかガッシャガシャにやっていただいて 笑

4 向日葵の12月

ベボベって夏のイメージがとっても強いですよね。夏に対して「冬」という概念が曲の中に出て来るのってすごく少ないってのは、北海道で過ごしてきたサカナクションと比較するとはっきりしますね。

制作期間が冬だったこともあるんですけど、次の曲も含めて「冬っぽさ」が出てるベボベって結構レアだと思う。

5 白雪の彼女

「スキー場みたいな匂い」って概念どれだけ伝わるんでしょう、雪国在住な僕としては気になります。でもサカナクションそんな歌詞書いてた記憶ないな。

6 海になりたい

後にpart2を作ることはどれだけ見越してたんでしょうか。

「バンドを組んだ女子高生」という「SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT」感はここにも。いやどっちかといえば「リンダ リンダ リンダ」を意識してかな?

7 aimai memories

「高校卒業した後に、高校生の時のメンタリティを歌ってる」ってところがこのころの構造で、「リアリティ」がありつつ「ノスタルジア」に浸りたいがための曲なんですよね。今思えばすごい矛盾を抱えてた事してたんだなと思う、そしてそれはいつか軌道修正しなきゃだわ。

8 サテライト・タウンにて

ベボベのことをちょっと深く知ってる人なら「封印された曲」であることはご存知かと思います。調べたら09年のツアーの一部公演でやった記録が出てますね。

高声が出ないってことと、あと詳しい話は今後もしますけどやっぱり「当時のリアリティ」の中で出来た曲だから、ってのはあると思う。

でも僕は、この曲をライブで見るまでは死ねないな。

9 君色の街

全体的に曲の構造とかリズムの取り方が複雑というかすごく演奏難しそうだけど、小出さんが弾いてるリズムギターの、コーラスがかった音色でカッティングしてるのがめっちゃ好きです。

10 翳ない2人

「夕方ジェネレーション」とはっきりは言ってないけど、地続きというか、これも夕方な曲ですよね。

この曲も最後に「躍動!!!!!!」ってところから大サビが入ってたり、実はAメロBメロみたいなのが各一回しかなかったり、こういうエッジの効いた曲構成いいですよね。

11 彼氏彼女の関係

こういう曲調のベボベ大好き 笑

コード進行は「BOYS MAY CRY」「不思議な夜」あたりと同じもので、ベボベの武器であると言えるし、同時にそうやって聴き比べると同じ心情で「学生の時のリアリティ」と「社会人の時のリアリティ」の違いがわかりやすく浮かぶのではないかと思います。

12 HIGH COLOR TIMES

僕の中では「日比谷ノンフィクション」で歌ってるイメージがすごく強い曲です。輪に馴染めない自分、というものって大人になっても何年たってもずっとずっと引きずってしまうものなんだと思います。



アルバム『バンドBについて』

1 CRAZY FOR YOUの季節

今あるパブリックイメージとしての「ベボベらしさ」がこれで定まったんだと思うんですよ。男女ツインボーカルとか、歌詞における「檸檬」みたいなやつとか。これプラスエレサマやドラマチックみたいな夏感ですね。

それは、「ナンバーガール」になかったものでもあるというか。

2 ラビリンスへのタイミング

僕はこの曲の存在しばらく知らなかったんですけど(2回目)

4つ打ちで早めのテンポ感で、16ビート×カッティングみたいなところとか、後のバンドシーンを数年先駆けて演奏していた、とも言えるんですけどこの曲の反応とかリアルタイムだとどうだったんですかね。

まとめ

インディーズ時期の作品は、もう本当に「あぁナンバーガールだ…」となってしまうケースがすごく多かったですね。特に小出さんの歌い方だったり、4人(とくにギター)それぞれの音色だったり…まあ、ナンバーガールを手がけていたスタッフが集っていたってのもあるんですけど。

でも、この4人で学校祭でやった初ライブはスーパーカーのコピーバンドだし、その前から小出さんはトライセラとかグレイプバイン演奏していて、もっと遡れば小出さんがギター弾くきっかけはハードロックだったり中学時代バンドでOASISやってたりとか、いろんな要素が含まれてるんだけど、やっぱり要素止まりというか。

「あぁナンバーガールだぁ」とはなっても、「あぁスーパーカーだ」とはならない(個人の感想)とか、今聞いてまんまナンバーガールだとはならないあたりの話とか、どのようにベボベらしさってやつが育まれていったのか、ってのは追いかけていけたらなとは思います。

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