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カレー沢薫『反応したら負け』【読書12】

年末に向けて本を整理中、読み返してみたらやっぱり面白かったので記録しておこうと思う。

カレー沢さんの「ひとりでしにたい」というマンガも、冒頭読んだらおもしろかった。こっちも読んでみようと思う。

「仕事のストレスを受け流す33のヒント」と表紙に書いてある通り、組織で働いている時に読んだ。集団にいると本当にわけのわからない悩みが多くて、こういう本を何冊か読んだ。

業務に集中して働きたいのに、仕事そのものではない、なんだか不毛なことをたくさん悩んでいた気がする。また集団で働きだしたら読み返すだろうな…。

仕事に対しやる気があるのはいいが、それで健康を害してしまっては無意味である。
よって「仕事に対し無感情」な人間の仕事に対する姿勢を取り入れ
「どうでもいいことでは悩まないようにする」というのも大事なのではないだろうか。

『反応したら負け』p.4

仕事に一生懸命になりすぎると本当に健康を害してしまう。一生懸命じゃなくても健康を害するので、やる気がないわけではないのだが、社内の面倒ごとを極力避け、なるべくドライに仕事をしてストレスを受けないようにしていくのが正解だと思う。やる気がないように見えるくらいの仕事の仕方がいいような気がする。

出世したいなら話は別だが、パートタイムなど非正規雇用では、何年も働いてベテランになっても新人とそんなに時給は変わらないのに責任ばかり重くなって仕事も増えて、先輩よばわりされる「エア出世」でしかない。

慣れて仕事が早くできるようになってしまうため、自然と相対的な仕事量も増えてしまう。

昔、スーパーのレジのバイトをしていた時に思ったが、レジに行列ができているからって、レジを早く打って客をさばいていくのは損なのだ。

レジを早くさばこうが、のらりくらりやろうが給料は同じなんだから、慌てずミスなくマイペースにレジを打てば良いのだ。

急いでいる客は、そういったマイペースなレジに並ばずに、早く商品をスキャンしてくれる店員のレジにおのずと行ってくれるからゆっくりやっても問題ない。

パワハラと言ったら、机を叩いたり、椅子を蹴る、平手打ちの後に~(中略)~ここまでわかりやすいものだけではない。
舌打ちや、クソでか溜息連発、無視など、静かなものも立派なパワハラに入る。

『反応したら負け』p.15

これだけパワハラだなんだ言われているのに、いまだに世の中にパワハラが続いているのはそれだけ立場的にパワーがあるってことだよな。

組織って閉鎖的な空間だし、専門的な職業だと業界も狭いから、辞めたとしても何があったかは言えないだろうね。言ったとしても聞いてもらえない構造。

行きたくない飲み会は「葬式」だと思えば諦めがつく

『反応したら負け』p.74

会社の飲み会では、お葬式のようにすべてのプログラムが消化されるのをひたすら待てばよいと。

「日本の会社は社員一丸になるためには飲み会を開くのが一番だと思っている」そして「飲み会で一丸となろうとしている会社は不参加の人間を、和を乱す存在とみなしがち」と解説してあったが、その通りだった。

しかし同調しようと無理して参加しても、決して一丸にはなれないので、本当に参加不要だと思った。

給料を払ってまで飲み会をやる会社もあるようなので、そういう場合はお葬式だと思ってやり過ごすしかないと思うが、私はよく知らない人のお葬式に行くのも嫌なので、お葬式だと思えず諦めがつかないなと思う。

友人に、(体裁を保つための)お葬式に行きたくないという話をしたら、割とあっさり「行かなくていいよ」と同意してくれてうれしかった。そもそも彼女のお母さんも葬式嫌いで、義理の葬式はまったくいかなかったらしい。

「仕事や誘いの上手な断り方」の章では、はっきり断らなくても、二度と誘われない方法が書いてあった。

それは「え?!」だ。

イエスもノーも言わなくていい。相手が勝手に「まずいことを言った」と思ってくれるのだ。

「プライベートで食事を? 二人きりで?」

『反応したら負け』p.79

みたいな感じだ。これはいい。

というか自然に私はやっていたかもしれない。会社の同僚と二人で食事とかは別に問題ないが、わたしは「会社のみんなで食事」が嫌だったので「え?!みんなで?日曜日なのに?!」みたいな言い方してた…。会社のみんなが集まったら仕事になってしまうではないか!みんながいたら愚痴を言えない。愚痴を言えない飲み会なんてなんのためにやるのだ?

無視というのは基本的に小学5年生の2学期までしか許されないコミュニケーション方法である。
ちなみに「無言&不機嫌」が許されるのは乳児までだ。
特に、会社というのはどれだけ合わなくても、それなりのつきあいが要求される場である。

『反応したら負け』p.94

子供にしか許されないはずの不機嫌ハラスメントはよくある。これはやっかいだ。

むかーし、バイト先で店長に一日中無視されたことがある。店で2人きりなのでかなりキツイ。逆に2人きりで働いているからこのようなことが起こったんだと思う。

その店長の言い分としては「おまえが俺を怒らせた」そうだ。だから無視したってか。

若くて仕事経験も少なかったため、「自分が無能だからあきれて無視されているのだ。自分が悪い」というように思ってしまい、パワハラ上司に泣いてあやまったと思う。

やはり、閉鎖的な空間で年齢が若い場合は、パワハラにあっているとは気づきにくいものだ。

しかし、死んでからでは遅すぎる。でもどうにもできないんだよね渦中にいると。なかなか。

時代遅れな社内慣習の終わらせ方について。

そもそもなぜ「会議」が頻繁に開かれてしまうのかというと、上司や社長が「状況を一気に把握したいから」だそうだ。

『反応したら負け』p.143

なるほど、私たちにとっては本当に無駄な会議だったが、以前書いた大部屋オフィスの件と同じように、会社では、上層部の都合で謎の会議があるのか。

アナログな職場で働いている人は、逆に伝統文化を守るものとしての誇りを持ってほしい。業務内容的には歴史博物館で働いている人と同じである。

『反応したら負け』p.151

なかなかこんな境地にはなれないよー。
「メールをプリントアウトして、FAXし、そのFAXがちゃんと届いたかどうかTELで確認する」という業務を令和にやっていた。

こんなアナログなことをやって給料もらえるんだからと、最初はよろこんでやっていたが、この先も辞めない限り永遠とやらなくてはならないのかと思うとゾッとしていた。

もちろん何度も「ばかばかしい」と訴えたが、無駄だった。ばかばかしいだけでなく、紙や電気代の無駄だし、人件費も無駄だし、なにより、個人情報などをプリントしたりFAXしたりするのは危険なのに。

本にも書いてあったが、何事もすぐには変わらない。そのうち変わる、変えてみせると思ったが、変わらなかったのであきらめて辞めた。あきらめが肝心だ。人生は短い。

辞表を出して嫌な顔をされ、1カ月微妙な空気の中で引き継ぎをして辞めるという、どこにでもある退職をするしかないのだ。

『反応したら負け』p.185

円満退職なんて円満離婚と同じく、存在しないとのこと。私も幻想の円満退職を目指したが、やっぱり最後の1か月の微妙な空気で働くのは本当にキツかった。ものごとをやめるのは始めるのよりきつい。

最低限の仕事でゆとりのある生活」ではなく「最低限の生活」というかなりコンパクトに略されたある意味ミニマリスト生活をすることになってしまう。

『反応したら負け』p.188

これはあるあるで悲しいお知らせです。永遠のテーマです。

ラクして稼いでる人なんていない、と稼いでいる人が言っていた。

夢ないなー。

しかし、「ラクして稼いでいる」なんて言うやつのこと信用できないから本当なんだろうな。



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