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頭が割れた日

ある日の朝、起きたら
X JAPANのRusty Nailが頭の中で流れていて
不思議な目覚めをした事がある。
サビしか聞いた事がないので、その日初めてフルで聴いてみたが、どうしてRusty Nailが流れていたのかはわからない。

どれだけ涙を流せば貴方を忘れられるだろう
…どれだけ流せばいいんでしょうかね。
でも、かっこいい曲ですね。


こないだ、初めて「躁転」した感覚を味わった。
あれは、常用薬が変更された翌日。

朝起きたら、頭が開いている感覚になっていた。
パッカーン!と開いた感じ。
人生で一度も味わった事がなかった。

「覚醒」した感覚だった。

さすがに、感覚の違いが分かりやすくて怖くなった。
何が怖いって何か飛び降りてしまいそうだった、物理的にも心理的にも。
何でもできそうな万能感。生まれ変われそうな全能感。
上手く言葉にできないが、ヤバいと思って
母と私の交際相手に状況を伝えて様子を見てて欲しいと言い、心配してくれた友人は不安ならすぐに医者に行くべきだと助言してくれ、心強かった。

翌日は普通になった気がしたので、落ち着いて良かったと思ったらその翌週くらいに、NHKで放送されるプロフェッショナルという番組で、庵野秀明が特集された内容を見て鬱気味になった。

私はエヴァンゲリオンはリアタイ視聴はしていない。
新劇場版が出始めた時は大学生の頃。
こないだの新作はとても面白く観れたが、エヴァンゲリオンよりシン・ゴジラが大好きなのだ。(ただし、他のゴジラは観ていない。)

庵野秀明は、以前より鬱病だったというのは知っていたが、本人の口から「一回は、電車に飛び込もうと思った」「もう一回は会社の屋上から飛び降りようと思った」「痛そうと思ってやめたけど」という文言が出てきた時に、
私が死に向かってしまいそうだった時と同じことを考えてて同じく痛そうだからやめた経緯を思い出した。

プロフェッショナルを見終わった後は、やっぱ庵野さん面白い人だなーとほのぼの思ったが
翌日、庵野秀明が死のうとしていたというコメントが頭から離れなくなり、鬱に落ちかけてしまった。

久しぶりの鬱気味な状態がきたので、
まずはパニックにならず焦らず寝れるだけ寝ようと思った。過眠だと気持ちが焦ってくると同時に頭の回りはあまり良くなかった。
落ちる前に、病院へ行った。

主治医はその時の服薬がここまで調子に来たすのはびっくりだなーと言っていた。
私もびっくりですーと言って、以前の服薬に戻った。
後にわかるが、常用薬が変わったのが原因とは考えてない、とのこと。
たまたま、処方箋が変わったタイミングで躁転してしまったようだ。


正直に言うと、
いよいよ、これが双極性障害か、きたな、と思った。
まだまだ甘っちょろい波だと思うが、自身の中ではこの調子の上げ下げは、なかなか辛かった。しんどい。これをあと何回繰り返していくんだろう。

鬱の時は、ゴールが見えないトンネルを途方もなく、足と肩に重しをつけて歩いているような感じ。
激鬱の時は、もう泥のようになって何も考えられない。

躁の時は、頭が冴えて何でもやりたくなる、やんちゃな感じ。
普通の自分がどこなのかわからなくなる。
気分や体調の変化なんて、誰にでもある。
ただ、ストレスもあまりかかってない今でさえ、こんな状態なんだ。
正直なところ、他の病気より軽い病状だなんて思っていた自分は、バカだった。


双極性障害は服薬によって、平坦にする努力もできる。
自分の事を観察し、記録して
予兆を感じることも出来る様になるかもしれない。
あとは、周りのサポートも必要だ。
家族・交際相手・勤め先の人たちの理解やちょっとしたサポートも受ければ、
自分一人で頑張るよりかは、かなりマシにできるような気もしている。


躁鬱の状態をコントロールするというより、多少の波は受け入れていくべきなのかもしれない。
あまり過敏に自分を律しても、それはそれで辛い。
双極性障害の方々に話を聞ける機会があり、
その時、聞いた話で「盛り上がりたい時は盛り上がってよし。ただし、そのあと二、三日はクールダウンすること」というアドバイスがあって、響いた。

私は最近、推しているバンドのライブに行くのが楽しくて、だけど、ライブに行ったら躁転してしまわないかとハラハラしながら行っていたが、
そうか、クールダウンを設けるのは大切だなと気付かせてもらえた。


先のアドバイスをくれた方は、
双極性障害を「薄氷の上を歩いてるようだ」とも表現していた。
確かに。
薄い氷の上を、そろりそろりと歩いていく感覚。いつ割れるかわからない。いつ落ちるかわからない。自分の足先の力加減一つで落ちかねない。

私は、平均台の上を歩いているようにも思っている。
バランスを取りながら、前へ進んでいかないといけない。
ちなみに平均台の下は沼なので、落ちたらそのまま沈む。


ややこしい、厄介な病気になったもんだと思う。とにかくめんどくさい。
めんどくさがりの私には辛い。
だって考えるの苦手なんだもの。
何も気にせず生きていきたいのに。
どうしてこうなった。

と、言ってても仕方ないので、
今日も酒で何かモヤモヤしたものを流す。
日々、流れる川が綺麗とは限らない。
キラキラしてるようにも見えるが、汚く見える時もある。
それもまた人生。なのかな?わかんない。
これから沢山の苦労を重ねていくのでしょうね。
楽しい事もあるだろうけど、ありきたりな言葉で恥ずかしいけど、
苦労の先に幸せや楽しさがあるのかもしれない。
ミスチルの歌にありそうだ。

生きづらさを抱えるようになったが悲観していても仕方ない。
ただ、ただ、手を動かすしかない。
ひたすらに、生きる。

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