3世代で旅をした。 その4
旅の最終日。
トイレに起きる母を気にしつつ、寝ていた。真っ暗な夜中、人の動きがあったので、起きると父がのそのそ歩いている。暗くて見えないので、歩きにくいのだ。母のトイレだと思って、あわてて起きて、
「かわるよ」
と近づいていったら、
「いや、ぼくの」
って言うので、、そりゃかわれんなとふとんに戻って寝る。
一寝入りするとゴソゴソするから、起きたら今度は母だった。トイレまでは車椅子で自分で行けて、見守るだけ。トイレの中だけ狭いので、ちょっとお手伝い。
幸いトイレは1度ですんだ。いつもは2,3度起きるらしい。
そして、もう一寝入り。外が明るくなっている。7時前。そーっと抜け出し、朝市をめざす。
袋をぶら下げて帰ってくる人たちとすれ違う。8時までだったかな。
天気も良くて、川がきれい。山にはきれいな色が見えたり。川沿いの桜もずいぶん開花が進んでいる。
朝市の場所はあいまいだけど、人が歩いている所をたどって行けば着くだろう。山や花を見回して、鳥たちの声をききながら歩く。
朝市はこじんまりしたものだけど、お野菜や漬物花桃の苗もあった。
まずはお饅頭。赤飯饅頭と酒饅頭。ほかほかだ。
山菜は魅力的だけど車中1日はだめだろうなと我慢。
りんごやトマト、お漬物を味見させていただいて、チョイチョイ。おまけしていただく。
五平餅があったけど、店じまい中。残念。
ぶらぶらおやき屋さんへ。暖簾がかかっているから営業中だ!と入ってみたら小さなお店の中で3人の人が忙しそうに働いてみえた。今は注文分しかできないと言われて、しょんぼりして帰る。おやきおいしそうだったな。
ふと見ると、桜ではない花が木に。おおもしかしてと近づくと、花桃だった。咲いてる!白、ピンク、紅、混色様々に。
写真を撮ってはラインに送る。さあ朝ごはんに帰らなくっちゃ。
行きは急いで気がつかなかったけど、橋の欄干にかわいい子、街灯もかわいい。
フロントで、ダメ元で果物ナイフをお借りできないか尋ねたら、やっぱりだめだった。
りんごとトマトとパンがあったら、立派な朝食だと思ったのよ。そりゃあ刃物の貸出はしないよね。朝食を食べられる場所を聞いたり、果物ナイフを貸してほしいと言ったり、困った客でした。でも、丁寧に対応してくださって、ありがとうございます。
部屋に戻るとみんな起きていた。8時過ぎていたから当たり前か。
朝食は買ってきたお饅頭と、昨日道の駅で買ったパン。迷ったけどパンを買っておいてよかったー。おいしいうちに食べることができた。
荷物をまとめてチェックアウト。お風呂は10分くらいで行ける所。花桃をめでて、朝市はここねと案内してお風呂へ。
フロントの方がとても親切だった。母と私は家族風呂へ。リフトがあるのだ。
リフトの使い方を説明していただくと、水に濡れてもいい車椅子を貸してくださるという。ありがたい。
お風呂に入る準備をし、どう動くかイメージトレーニングをする。
車椅子をお借りして、いざお風呂。体と頭を洗って、リフトにお湯をたっぷりかけて、リフトに座る。ちょっとリフトの高さをさげすぎた。失敗。
ベルトをして、リフトを動かす。ゆっくりゆっくり。操作は簡単。
お湯に入ったら、ベルトをはずす。デイサービスのお風呂は10分もつかっていられない。流れ作業だ。仕方ないけど,ね。
ゆっくりお風呂につかっていると、母も家で入れるような気がして来たようで、手すりをああしてこうしてとイメージしている。いろんなことをあきらめて、人に委ねることが多くなったんだろう。
委ねっぱなしの母がどんどん考えなくなって、ほわほわしょんぼりしているのがもどかしく、自分の食べるものくらい自分で考えたらと口酸っぱく言ったりとか買い物や観劇など外に出るように誘ったりしてきたけど、母は迷惑をかけないように自分の暮らしを小さくして委ねているのかなあとおもったりして。わがまま言っちゃだめだと自分の思いを封じているのかな。
2人でゆっくりおしゃべりしてあがる。家族風呂も1時間しか使えないもので。ここは日帰りで来れるけど、私の運転ではきつい。もっと近場で私の運転で行ける福祉風呂を探そうと思った。ゆっくりくつろぎたいよね。
お借りした車椅子を洗って、水がたれないよう拭き取って、返しに行く。もうフロントは賑わっていた。
改めてお礼を言って、外へ。とても親切で気持ちよく、母もいい顔をしていたから、父も大喜び。
珍しく外の桜の下で写真をとってほしいと言う父。
父も母もとても明るくいい顔だ。
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