上弦の月の日に

　昨日は穏やかな日曜日。午後、久しぶりの1人時間となって、材木を庭でギコギコ。空がすんで、おひさまポカポカ心地良い日。
　ヨチヨチ歩きの小さな女の子を連れた若いご夫婦がお散歩。
　「こんにちは」
と挨拶したら、お二人とも
「こんにちは」と返してくださった。女の子はキョロキョロ。ちょうど柵で死角ができて、声はするけど私の姿が見つからないでいる。のぞきこんだり、のびあがったり。私ものびあがって、やっとご対面。見えるところにトコっと移動してくれた。
　話しかけたら、金柑を指さしてアッと言葉にならぬ言葉を話す。
　「いつも黄色いのを見てたまにさわらせてもらっています」
とお母さん。
　「それはうれしい」
なんて言っていると、今度は信楽焼のたぬきを指さしてアッ。
「たぬきさんだね」
とお母さん。
　言いたいことが伝わって満足した女の子は先へ進んだ。ご夫婦も会釈して行かれたので、私も戻って、のこぎりを木にあてた。
　すると
「バイバイしてる。見えないのに」というお母さんの声。
　あわててバイバイをしに行ったら、女の子が小さな手で拍手してくれた。
　「あらありがとう」
というと、今度は女の子が深々とおじぎをしてくれた。頭が重くてふらついて。でも、腰を2つに折って、頭が地面につきそうなおじぎだった。まるでペンギンさんのよう。
　そして、バイバイして去っていった。
　自分の持てる外交手段を全部使って、自分のかわいさも相手が喜ぶことも知り尽くした感じの精一杯の外交でかわいくて健気でうっとりした。
　こんにちは。お宅の黄色いのいっぱいありますね。ここを通ると時々さわらせてもらってます。
　たぬきもいますね。かわいいですね。それではさようなら。
　あらご丁寧に挨拶ありがとうございます。
　それではまた。
と言った感じかなあ。見事なコミュニケーション。
　安心と信頼に包まれて、余裕が感じられると、なんて穏やかだろう。
　不信感や不安に包まれた世界では争いごとが絶えない。空気もギスギス重苦しい。コミュニケーションがうまくいってないなあ。
　このかわいい子達に集まってもらって外交してもらったら、平和的解決が見られるんじゃないかしらん。
　怒ってる力も抜けますぞ。
　安心と信頼で世の中を包みたいねえ。
　どうかあらゆる命が大事にされ、あらゆるいのちが尊厳のある死を迎えられますように🍀
　梅が咲きだした。梅の木で小鳥もうれしそうで。
　今日は、上弦の月だとか。今日も空が美しい。