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高卒就職で、キャリア教育に挑む。僕が「なんとなく生きる」のをやめるまで

自分は何が好きなんだろう。
自分って何だろう。

18歳の時に突然やってくる、進路選択。そんな時、「平凡な」自分と周りを比べて悩んだことはありませんか。

今回インタビューに応じてくれた、現在18歳(*1)の鈴木友喬(ゆたか)君も、進路選択の時そう悩んでいた高校生の一人でした。高校3年生の時にハッシャダイスクールと出会い、スポーツ分野の専門学校への進学からキャリア教育を行う法人での就職に進路を変えた友喬君。この大きな選択の裏側には、どんなストーリーがあったのでしょうか。「自分は平凡だ」と将来に悩む全ての若者へ届けたい1本です。

「Choose Your Life Story」では、ハッシャダイソーシャルに出会って一歩踏み出した若者たちのリアルな声を届けます。

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*1)取材時点:2020年12月

何もかも”平均”だった自分と、その裏に隠れていた本当の気持ち。

僕は、いわゆる”平均”を狙いに行くタイプでした。今までの18年間を振り返ってみても、多くの人を惹きつけるような、大きな夢もなければドラマチックな失敗談もない。クラスの中で飛びぬけて勉強ができるわけでもなく、運動ができるわけでもない。そう、大勢の生徒の中のひとりにすぎなかった。

そんな僕は、「家が近いから」という理由で地元の高校に進学するも、家と学校を行き来する日々に突然ドラマチックな出来事が起こることはなくて。高校でも、相変わらず「なんとなく」の日々を過ごしていました。

何もかも”平均”だと思っていた自分も、

「自分が本当にやりたいと思えることを見つけたい。」
「周りの人と違う”何か”が欲しい。」

心のどこかで、そう願う気持ちがあったんだと思います。日々、勉強でも部活でも、どうしても周りの秀でた部分だけが目に入ってくる。そして、可もなく不可もない自分と比べてしまう。なんとなく心が晴れないまま、気づいたら進路選択を”しなればいけない”高校3年生になっていました。

過ぎ去る時間、焦り、消去法の進路選択へ

高校3年生になり、改めてじっくりと見てみる進路希望調査。来年は自分もどこかに進学や就職するのだと考えはじめると、何度も目にして来たはずの”ただの紙切れ”は、現実見を帯び、今までとは全く違うもののように見えました。

「自分には何ができるんだろう。」
「将来、どんな事がしたいのだろう。」

17歳。突然、僕の元にやってきた ”これから自分が進んでいく道は自分で決めなければいけない”という試練は、当時の僕にはあまりにも大きくて難しいものでした。

「日本 サラリーマン 平均年収」
何も知らない顔をしてただ過ぎ去っていく時間と、おいてけぼりにされた僕。「早く自分の進路を決めなければいけない」という焦りの中、ふとインターネットで調べてみました。

約400万か・・・。平均か、平均よりちょっと上ぐらいの年収で、今までのように「普通」に暮らしていけるのならそれで良いんだと自分に言い聞かせ、そのまま進路を探し続けました。

そして僕が選んだ道は、柔道整復師(*2)になるために専門学校に進学することでした。人から直接感謝される仕事をしたいから、開業できるから、昔から好きだったスポーツに関わる仕事がしたいから...。当時の自分ができる最大限考え抜いて決めた道でした。

しかし今、当時を振り返ってみると、自分の意志で決めたはずだった進路選択。この裏側は、”焦りを感じていた自分”が居たのも事実でした。「絶対にこの仕事に就きたい!」という気持ちからではなく、「自分が知っている選択肢の中ならスポーツに関わる仕事が良いかな」という気持ちがありました。この時の選択は、消去法に近かったのかもしれません。

こうして、ようやく自分で進路を決めることができた”はずだった”僕が、この後に起こる小さな出会いをきっかけに、スポーツではなくキャリア教育を、進学ではなく就職を選ぶことになるとは。半年前には想像すらできなかった未来の始まりは、もうすぐそこまで来ていたのです。

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*2)接骨院の先生やスポーツトレーナーとして、ケガを治したり、健康をサポートする国家資格を持つ専門家。
引用:日本医学柔整鍼灸専門学校HPより

ささいな心の動きが全てのはじまりだった、三浦宗一郎との出会い

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その出会いは、前ぶれもなくやってきました。高校3年生の5月、いつものようになんとなく出席していた全校集会でのことでした。学校の先生の紹介と同時に、大きな歩幅で僕たちの前に歩いてきたその人は、マイクに自分の頭をゴツンと当てて一礼。そして満面の笑みで、その人はこう言ったのでした。

「みなさん、こんにちは!東京から来た三浦宗一郎と言います!いや~、こうやってマイクを頭に当てるやつ、一回やってみたかったんですよね(笑)」

!!!?
あまりにも突然のできごとに、僕たちはザワザワし始めました。そんな僕たちのリアクションもお構いなしに、三浦宗一郎と名乗るその人はこう続けました。

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「この学校で、”自分の人生を自分で選択するためのワークショップ”をやります!時間が空いている人は、ぜひ来てください!」

5分もないぐらいのほんの一瞬の出来事でしたが、直感的に「この人、面白いかも!」と思ったことを覚えています。僕は、その一言をきっかけに、ワークショップに参加してみることにしました。というのも、進学に対してまだ違和感を持っていたからです。

そして参加したワークショップを通じて、三浦さんと話せば話すほど今までの人生の中で出会うはずがなかった考え方や選択の仕方に出会いました。トヨタ自動車を若くして退職、世界中での旅の経験、東京のベンチャー企業で就職・・・。ハッシャダイスクールで、三浦さんと過ごす時間は、いつの間にか未来に対してワクワクする時間になっていました。

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僕はワークショップの回数を重ねるにつれ、今まで自分の周りには「地元で就職して、結婚して、老後もそこで暮らす生き方」を選ぶ人しか居なかったということに気づきました。もちろん、それらの生き方が悪いわけではない。だけど今まで、本当にそう生きていく道しか知らなかったのです。僕が「普通に暮らせたら良い」と思っていたのは「普通に生きる」道しか想像できなかったからなのかもしれないとハッとしました。

人生の向き合い方が変わった、とある夏の出来事。

ある日、僕の元に学校の先生と三浦さんが共同企画した夏休みのキャンプのお知らせがやってきました。ハッシャダイスクールを通して少しずつ考え方が広がってきていた僕は、すぐに参加を決意。

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こうして参加することになったサマーキャンプでは、12人の高校生と一緒にワークショップをしたり、焚火を囲んで語ったりと、本当に濃い3日間を過ごしました。楽しい夏の思い出になっただけではなく、新しいことにたくさん出会いました。

まずは、色々な生き方をしている人たちとの出会いです。キャンプには三浦さんの知り合いの社会人や学生がボランティアで手伝いに来てくれていました。

”人生の夏休み”で遊んでいるというイメージしかなかった大学生。だけど、ここに居た大学生は、自分のやりたいことを形にし、社会と繋がり、活き活きとしていました。

自分に親や先生、そして登下校中に見るような社会人しか知らない中で、ここ居た大人は、自分の思いを強く持って楽しく仕事をしていました

商社で働いている方、教員を目指している方、大学生で東京のベンチャー企業で営業をしている方・・・。「こんな生き方もありなんだ」と自分の中で実感できればできるほど、将来の選択肢が広がっていく感覚を味わいました。

次に、同世代のみんなの新しい姿との出会いです。特に衝撃を受けたワークは「親に手紙を書く」というワークです。同じ地域で生まれ、同じ学校で育ったのに、ひとりひとりその人だけしか語れない経験や言葉がありました。こうして、同世代の新しい一面との出会いにも心が動かされました。

あっという間に過ぎ去った3日間。それは、僕にとって「人生が変わった」と一言で片づけたくないぐらい大切な時間になりました。ここでの出会いや経験を機に、人生への向き合い方が大きく変化していきました。

人生最大の決断、高卒就職でキャリア教育の道へ

サマーキャンプを通して自分の中で全てがリセットされた気持ちになりました。「早く進路を決めなければいけない」という焦りや重圧から解放され、「自分はどう生きたいか。」に本気で向き合うように。その後は、色々なワークショップやイベントに参加するようになったり、たくさんの人に会いに行き、自問自答を繰り返しながら、必死に自分のやりたいことを悩み続けました。そんな中で、ただひとつの想いにたどり着きました。

「若者たちが、”なんとなく”で進路を選ぶのではなく、たくさんの考え方を知った上で、自分に合った選択をしてほしい。」

それは「”普通”に生きていければそれで良い」と思っていた僕が、少しのきっかけや出会いを機に自分の本当にやりたい事が見つかったから。そして、過去の自分と同じように周りにも「なんとなく」で進路を決めてきた人が多かったから。

こうして僕は「柔道整復師」になるための進学を辞めることを決意し、地元でキャリア教育を行う法人で就職することを決めました。突然の大きな進路の変更に、周りからは、

「最終学歴が高卒で大丈夫なの?」
「就職で視野を狭めずに、大学でいろんなものを見てからの方が良いのに。」

などと言われることもありました。だけど、心からやりたいと思えるものに出会った僕は、自分の進路に自信を持てるようになっていました。なんとなくで選択していた自分・「普通」だと悩んでいた自分は、もうどこにもいませんでした。

夢に向けて、僕だからこそ伝えられる言葉を。

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高校卒業後は、無事に地元のキャリア教育の法人で新入社員とし働くことになり、現在は、進路に悩む高校生とたくさん面談をしたり「高卒就職のアップデート」のプロジェクトを進めたりと、高校生のキャリアに関わるさまざまなお仕事をさせていただいています。

”普通”だからこそ悩んだ日もあった。自分が何が好きで、何がやりたいか分からなくなった日もあった。だけど、ほんの小さな出会いをきっかけに、今こうして自分で自分の道を切り開くことができました。

そんな僕だからこそ届けられる言葉で、視点で、今後は若者といろいろな人と出会うことのできる機会を作り、自分で自分の人生を切り開いていける若者を増やしていきます!

<取材・文=ハッシャダイソーシャル広報PR・木村りさ>

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