エンジニアから"ビールマニア"という職業に就く

サンフランシスコでの出会い

8月末からカリフォルニアとオレゴンに行く機会があり、滞在最終日にサンフランシスコでクラフトビールツアーに参加した。

僕はビールが好きで、お酒が好きというよりはビールが好きという方が正しい表現になる。クラフトビールには特別詳しい知識があるわけではないけれど、せっかくの機会なのでただ飲むだけでなく、クラフトビール醸造所(ブルワリー)の見学や知識などにも興味があり参加、7カ国から来た12名のビール好きと4時間のツアー。

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エンリケ

このツアー、1人のガイドがついて、出てくるビールの話だけでなく知識や歴史なども含めた様々な情報提供や参加者の質問などにも答えながら進んでいく。

今回僕らのガイドはエンリケ、とてもフレンドリーでわかりやすい解説をしてくれるナイスガイ。この仕事に対しての喜びや情熱を感じる。

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彼はこの仕事につく前エンジニアをやっていて、詳しい事情はわからないが自分が今やっている仕事はつまらないと感じ、まずその仕事を辞めて、ツアーガイドになるための学校に通い(ビールに関する知識やそれをガイドするための専門学校のようなものがあるらしい)、サンフランシスコに引っ越しして今の仕事をしている。

彼の名刺にはBeer Aficionado/Tour Guide と書いてある。 Aficionadoは熱狂的なファン、マニアみたいな意味合いがあり、日本語で表現するなら「ビールマニア」。

羨ましい。「ビールマニア」という名刺をもって仕事するって本当にイカしている。エンリケ、彼が何者か?それがそのまま書かれているかっこよさ。

僕は普段コーチという仕事をしていて、クライアントの本領発揮を支援している。キャリアをテーマにしたコーチングをすることも多々ある中、エンリケのこれまでの経緯に心震えるものがある。

古い物語を終わらせる

自分にとってこの仕事はもう響かないと気づいたとして、果たしてどのくらいの人がそのこと自体を一旦終わらすことができるのだろう。彼の詳しい事情はわからないが、エンジニアで待遇は悪くなかったとしたら(カリフォルニアでエンジニア、待遇良さそうという思い込み)、それを終わらすことは勇気が必要だったかもしれない。次を見つけてからではなく、まず終わらせたことの美しさとかっこよさを感じる。

やりたいことに向けて新しいことを学ぶ

これまでのキャリアの延長線上や転用ではなく、自分が本来やりたいことに向けて新しく学ぶ。文化の違いとか色々あるかもしれないけれど、特に日本ではこの学び直しができるかどうかはこれからの時代のキーだと確信している。特に僕らの世代より上、40代以降でどのくらい新しいことを学べるのか。一から学ぶっていうことは、これまでどんなに会社でポジションやキャリアがあろうが、うまく行かないことや不慣れなこと、時に痛いと感じるフィードバックを受ける。そしてこれまで学んだことや経験を脇に置かないと新しい学びは入ってこない、「これまでの経験」からという発想を横に置くことだ。

「この歳になって今更やってもね・・・」みたいな心の声に負けない必要もある。

その先にしか「ビールマニア」という名刺を持つ可能性はない。

新しい人生の物語を生きる

エンリケと途中2人で話した時に、日本は素晴らしいビール文化がある国で是非行ってみたいと話していた。本当に楽しそうに、好奇心溢れる口調で。エンジニアの時の彼は知らないけれどきっとこうやって本来の自分らしく生きる決断をして、今の新しい物語を生きているから喜びが伝わってくる。

僕は彼の人生に魅了され、15杯のビールを飲み、このツアーのTシャツを買い、前日までサンフランシスコのチップが大したサービスがなくても高いと文句を言っていたが、そりゃ酔って嬉しくなってチップも弾んで。

エンジニアから「ビールマニア」になる決断、新たな学びをしてきた彼は本当にかっこいい。

いつからでも新しい物語は始められる

もし今の仕事が響いていない、待遇は良くても飽きていたり、成長している感じがないのなら、もっと言えば古い物語になっているとしたら、新しいことを学び直して成長とともにこれまでとは違うキャリア、新しい物語を始めることができるし、何よりその人自身人生に喜びを生むことになる。

これからどんな物語を生きたいのか、そのために何を学ぶのか?

「ビールマニア」

エンリケ、君は本当にイカしてる。

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