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無名の人々、無名の時代
世界は誰かの仕事でできている
「缶コーヒー」ジョージアのコピーは、今でもよく言及される名コピーだ。今日も働き、社会を支える市井の人々の胸を打つ、素晴らしいコピーだと思う。
市井の人々というのは、一般人だとか、庶民だとか、そういった意味で使われる。
メディアが個人化し、インフルエンサーという、「状態」なのか「肩書き」なのかなんともはっきりしない言葉が影響力を持つ時代に、「市井の人々」としてまとめられることを嫌がる人もいるかもしれない。
しかし、社会をつくっている「市井の人々」を優しくまなざすあの番組が帰ってきたのだから、世の中の空気も少しは変わるかもしれない、と期待している。
NHKで4月から、あの番組が復活した。「新プロジェクトX」だ。
▼新プロジェクトX
旧「プロジェクトX」は、経済成長が止まった日本社会に閉塞感を覚えた当時の大人にとって、熱い心を思い出し、ありし日の思い出を下の世代と共有するかけがえのない番組だったのだろう。
親の横で見ていた自分からすると、もっと昔から放送されていたような印象だったが、放送期間は2000年から2005年にかけてと意外に短い。
不祥事もあり終了したという経緯もあるのだと思うが、個人的には復活してくれてとても嬉しい。
すでにスカイツリーやカメラ付き携帯電話、三陸鉄道の全線復旧と3回分(最新回は旧作アンコール)の放送が終わったタイミングになってしまいどうかなとも思うが、3月28日に放送された直前スペシャルについて、文章に残しておきたい。
▼放送直前スペシャル
新MCと、ゲストにカズレーザー、ヒコロヒー、野口聡一さんが登場し、旧プロジェクトXを振り返ったり、新シリーズの見どころを紹介したり番組が進み、主題歌を歌う中島みゆきさんからの音声メッセージも紹介された。
さて、この後は放送予定やラインナップを振り返って終わりかなと思ったところで、中島みゆきさんから、今度は文章でメッセージが届いた。
すでに音声メッセージが紹介されているのに、文章も届くパターンがあるのか。少し驚いた。
が、届いたメッセージが素晴らしい文章だったので、そのままここに書き残しておこうと思う。少しでも多くの人の目にふれたらいいなと思う。
「プロジェクトX」が最終回を迎えたのはずいぶん遠い日のことだったような気がします。「もう何処にも地味な人生を見守ってくれる人は居なくなったのかなぁ」と寒々とした気持ちになったものでした。日々を重ねながら記憶に刻まれていくものといえば、より華やかに目立つ人々の名前ばかり。それが当然のことと理解はするものの、心のどこかで探し続けていたのは、たとえば「まなざし」といったような何かだったのでしょう。私にとってのそれはまさしくあの最初の出会いの日に受け取った新番組企画書という分厚い書類の束でした。どんなに時は流れどんなに地図は塗り変わっても、どこかの片隅で着実に人間を支え続けている人間たちを、この「新プロジェクトX」がこれからも見守ってくれることを信じたいと思います。
中島みゆきからのメッセージ
「新プロジェクトX」が、番組らしさとこの時代らしさの両方を兼ね備えた、素晴らしい番組になることを願って。
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