【#シロクマ文芸部】どこかの星のどこかのバーで
凍った星をグラスに。
とある星のバーで女が注文した。
時は3XXX年、地球は宇宙連合国に加盟して星と星との間を海外旅行のように楽しむようになっていた。異星人同士の交流も活発だ。
昔、宇宙人がいるいないで騒いでいたのが嘘のように宇宙規模の交流を楽しむ、そんな時代が訪れている。
昔は宇宙人と人間は姿が異なる、と想像された時代があったがそれは違った。
空気があり水があり生き物が繫栄する。星が同じような環境ならば似たような姿へと進化する。星同士の異種族婚も結果、普通に行われるようになっていった。
今では自分がどこの星の出身かさえもわからない。
「かしこまりました」
とバーテンダーが凍った星をグラスに入れる。
するとグラスが光り始めた。
「耳を近づけて」
女がささやく。
グラスに顔を近づけ聞いていた男は光が消えると、頬を赤らめコクリとうなずく。
女はホッとした表情となり「ありがとう」とバーテンダーに礼を言う。
男も嬉しそうにバーテンダーへ頭を下げる。
見つめ合い幸せそうに笑った2人はカクテルを飲みほし、仲良く店を出ていった。
「プロポーズ成功しましたね」
とバーテンダー見習いが胸をなでおろす。
3XXX年の現在、凍った星をグラスに入れて音を聞かせるのがプロポーズとなっていた。
想いを込めた星がグラスで溶けだす時、相手にだけ愛の言葉が伝わる。
異星間の結婚が当たり前となり、プロポーズをする性別も様々だ。
「自由になった」
「素敵です」
カランカラン。
「いらっしゃいませ」
再び、若い2人が入って来た。
見かけだけでは星も性別もわからない。
少し緊張しながらカウンターに座る。
凍った星をグラスに。
どこかの星のどこかのバーで今宵もプロポーズが用意されている。
書いているうちに話がクルクル変わりました。
小牧幸助さん、今回も楽しかったです😊
来週もよろしくお願いします😊
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