十一面観音の後頭部には、「暴悪大笑面」と呼ばれる顔が彫ってある。 人間の微笑みは良いものだが、時に我々は、邪悪で無慈悲な笑いというものを目にする。 なぜ観音菩薩の背面に刻まれているのか。 聖だけでなく邪からも目を背けない、生の全体性を観察する眼があるのだろう。 そこに真実がある。