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「何とでも言うがいいや。私は、私自身の考えることも一向に信用してはいないのだから」

安吾、四たび。安吾が肉欲という言葉を使うとき、私にはそれは字義通りの肉欲などではなく存在することの哀しみ、得ることのできぬ愛に対する諦め、永遠を希う心が満たされぬ虚無、そんな心のあらわれであると感じられる。恐らくそんなふうに自動的に安吾を読み替えては、愛してしまうのだろうと思う。