ソルフィン

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「おお、アンナ。私が愚かでした」 一同から話を聞き、泣き崩れる女王。 落ち着くのを待って、ソルフィンは問うた。 「目覚めない勇者と眠りの街を救うには、どうすればいい」 「夢見の宝珠は、強い夢の持ち主に引かれます」 どうも、ここには無いらしい。女王は、一行を里の奥へ案内した。

「オレは新大陸へ渡るよ」 ソルフィンが、大海原に揺れるバイキング船の上で夢を語る。大西洋の果て、朝日が照らすのはブドウの豊かに実る島。上陸した開拓者たちは先住民と交流し、協力して街ができてゆく。 「落ち着いたら、父さんと母さんも探さないと」 同じ海の上、どこかできっと。

もう滅茶苦茶。ソルフィンの過去を見てるはずだったのに。 夢の中に現れた、謎の怪物たち。 「こいつら、いくら倒してもキリがないぞ」 背中合わせで共闘するクワンダとソルフィン。呆然とするシャルロッテ。 「アッシュの二の舞は御免よ!」 マリカとおばばも駆けつけた。撤退だ。

「北の方でも、謎の眠り病?」 「かなり昔から、そのままらしい」 マリカとおばばも集まり、事情を聞く一同。 「オレは長く奴隷暮らしで、生きるためバイキングをやってたが」 自由の身になり、父の郷里を訪ねたら様子が変だった。 話を聞く間、シャルロッテはずっとソルフィンを見ていた。

先住民の集落から、シャルロッテの霊体が帰ってくる。 「ソルフィンしゃんたち、ブリテンの仲間と思われてるみたいでちゅ」 以前、彼らは先住民の聖地であるムウの遺跡に入り、秘宝を盗んだ。 ムウの遺産、七海の瓶。 「もう夜明けでちね」 「貴重な時間をすまない。埋め合わせはするよ」

フィヨルドの奥、ロバニエミの港。シャルロッテたちは、ソルフィンの新大陸への船出を見送りに来ていた。 「氷の島と緑の島を経て、葡萄の島へ行くんだ」 「シャルロッテちゃんも、夢渡りで会いに行くでち!」 別れを惜しむ、魂の兄妹。思い返せば、色々あった。シャルロッテが、何か取り出す。

「それなら、これを持ってお行き」 まだ守る場所があるなら。マリエは魔法の箒を娘に。 ポータルでカラカラへ戻ると、アントニオとソルフィンが待っていた。 「ポータルを開け。わしは王宮に詳しい故、陛下をお助けしてくる。ゆくぞ、サンチョ!」 「誰だよ、それ」 二人は、バルセナへ。

「ピサロ軍の動きを捉えました」 エルフの里、夢見の間。水晶玉でイスパニア軍の行進を見る女王。 「大変でち!」 「カラカラへのポータルを開きます。私が人間を助けるなんて」 「人は変わるものさ」 慌てるシャルロッテに、微笑むソルフィン。 「乗りかかった船だ、手伝うよ」

「こんな奴ら、見たことないぞ」 「当然でしょう。ワタシ達は舞台の黒幕」 シャルロッテの強い感情が、心の傷を開かせた。現れたのは、最悪の敵。 「奴はガーデナー。俺達の宿敵だ」 警戒を強めるクワンダ。隣を駆け抜ける稲妻。 「オレは侠気のソルフィン!妹を泣かす奴は許さない」

「うえぇぇん!ぐすっ、ひっぐ」 過去の夢だからか、霊体ゆえか。ソルフィンの幼少期に涙するシャルロッテの声は、親子に聞こえない。 「優しいな、シャルは」 妹にするように、頭を撫でてやるソルフィン。 「こいつも孤児だ。半エルフはどこでも辛いな」 クワンダも珍しく、しんみり。

夜の馬小屋。母に抱かれて昔話を聞くのは、幼いソルフィン。 「エルフはルビーの涙を流す。迷信に囚われた海賊たちは母を捕らえ、魔封じの輪で逃げられぬようにしました」 「お父さんは、どうなったの?」 瞳に宿る哀、そして意志。 「彼は生きてる。あなたもいつか、海を渡るのですよ」

「おばばが代わりに行くとするよ」 「あんたも、ベナンダンティか?」 呪いを解く放浪の者。ソルフィンは噂を聞いてフリウリを訪ね、マリエから娘を紹介された。でも今、マリカはアッシュの側にいるべき。 「腕は確かよ。信頼できるわ」 かつての呪い屋おばばに、マリカも太鼓判を押した。