日比野は昭和歌謡の流れる喫茶店で午後のひとときを過ごしていた。ふと聞き馴染みのある曲が始まる。 (待つわ〜)「「待つっわ〜」」 日比野の歌に被さってきたのはマスターの声だった。 「アンタも、後ろコーラス派?」 「ふふ、譲りませんよ……マスター」 睨み合うふたりは一触即発だ。