安倍政権で進められた「官邸主導」の実態は、官邸の威光を背に霞が関を牛耳る「官邸官僚主導」だった。その体制は菅政権にも引き継がれた——。ノンフィクション作家の森功氏が、政治を牛耳る官邸官僚を徹底ウォッチ。
新年早々、驚きの人事があった。1月1日付で発令された首相の政務秘書官人事がそれだ。年を越えてなお感染者が爆発的に増え続けるコロナ禍にあって、菅義偉が自らの政務秘書官に財務省出身の寺岡光博(54
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「私どもは選挙で選ばれているから、何をやるという方向を決定したのに、反対するのであれば、異動してもらう」
自民党総裁選渦中の9月13日フジテレビの番組で、「官僚が政権の決めた方向性に反対した場合どのように対処するか」と問われた菅はそう答え、大きくクローズアップされた。実際、首相の菅義偉は数々の官僚人事で気に入らない官僚を左遷
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菅義偉政権が誕生してはや2カ月、この間、米大統領選で民主党のジョー・バイデンが共和党のドナルド・トランプに勝利し、世界の目が集まった。安倍晋三前政権からの継承を謳う菅新内閣にとってはトランプのほうが何かと好都合だっただろう。昨年、「菅官房長官・ペンス副大統領会談」をセットした駐米国大使館の市川恵一が外務省の北米局長に就任し
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菅義偉政権で霞が関支配がどう変わるのか――。主要官庁が固唾を呑んでいる官僚人事は、予想された通り、まず安倍政権下で権勢を振るってきた経産省出身の官邸官僚たちが官邸を去った。なぜか首相補佐官兼政務秘書官だった今井尚哉だけは内閣官房参与という肩書を残しているが、コロナ対策を担ってきた経産省経済産業政策局長の新原浩朗や事務秘書官だ
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前回に続き今回は経産省と電通の蜜月の原点となった民主党政権時代の一般社団法人「環境共創イニシアチブ」(SII)にさかのぼるつもりだったが、急きょ中身を変更させていただきたい。菅義偉政権誕生に官僚たちはどのように動いたか。実は、電通のトンネル会社問題は今度の政権移譲にも深くかかわっている
安倍政権がコロナの景気策としてぶち
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世の中のおよそ8割が必要ないと言っているのに、政府は無理やり推し進める。それが、夏休みのハイシーズンをあて込んだGoToトラベルキャンペーンだ。Withコロナの意味を取り違えているとしか思えない景気対策というほかない。
一般には、インバウンドによる観光政策の旗を振ってきた官房長官の菅義偉と旅行業界をスポンサーにしている運
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改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、経済再生担当大臣の西村康稔が新型コロナウイルス感染症対策本部の副本部長に就任した裏には、経産官僚の先輩である首相補佐官の今井尚哉の後押しがあった。その今井を中心に、経産省の経済産業政策局長である新原浩朗と首相事務担当秘書官の佐伯耕三を加えた〝経産官僚トリオ〟が、多くのコロナの政策
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1月15日に新型コロナウイルス肺炎を法定感染症に指定し、出入国制限に乗り出すなど、いち早く対策に乗り出した台湾の蔡英文とまではいかなくとも、1月30日に設置を閣議決定された新型コロナウイルス感染症対策本部が機動的に機能すれば、違った展開になっていたかもしれない。欧米に比べ日本の感染者が爆発的に増えない理由は謎だが、政府の対応は
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※本連載は第11回です。最初から読む方はこちら。
なぜ政府のコロナ対策は後手に回っているのか。今回は内閣官房の組織づくりからその疑問を考察してみる。安倍政権が感染症対策の司令塔と位置付け、「新型コロナウイルス感染症対策本部の設置」を閣議決定したのが1月30日。これ自体、かなり遅い。おまけに対策本部が立ちあがってからもおよそひと月、司令塔が機能してきたわけではない。
実は対