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七人の巨人たちが音もなく街に近づいていた。肌寒い外気の中、彼らの周囲だけが陽炎のように揺らめいている。彼らには共通の特徴があった。裸体で一切の体毛がないのだ。だが一番の特徴は首の角度だろう。全員「?」と疑問符を浮かべるように首を傾げている。彼らはそのままゆっくりと街を素通りした。

人身事故で電車が止まるたび、またかよと思う。生きていて嫌気がさす日もあるのだろうが他に方法は無かったのかと責めたくもなる。だが違った。“あれ”は常に口を開けていたのだ。ストレスや疲れを溜め込むとまるでテレビのチャンネルが噛み合ったように忽然と姿を現すあれ。それが今、俺には見える。