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おぐら、うめぇ

『橋本歩と椿田竜児のレイディオ』の書き起こしです。素人のラジオで背筋をゾクゾクさせたいけれど声は絶対聴きたくない。そんな方はこちらの文章を読んでゾクゾクしてください。
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第10回目「まつがい探し」


椿田 竜児
モチベーションを保つのって難しいよね。ベストを保ち続けるムズカさってある。そういう意味では、スポーツ選手や勝負師は、うまくルーティンを作ったりしているんだよな。

橋本 歩
毎朝カレー食べますとか、ヨガやりますとかね。俺たちもやらなきゃいけないのかな?

椿田
でも、歩は意外とそうなんじゃないの?けっこう規則正しいイメージがあるけど。朝はパン食べて、それからコーヒー飲むでしょ?

橋本
そうだね、けっこう自分が決めたマニュアル通りに動いているね。自分を変えたいから、今も新しいルーティンを増やしつつあるよ。

椿田
懸垂したり?

橋本
小説を一人で朗読したり。

椿田
一人で朗読してるの?(笑)怖いなぁ。朗読してぇ人じゃん。

橋本
朗読したい人だよ。小学生の時の宿題で、国語の教科書を読む音読ってあったよね?

椿田
あれは何のためにやっていたの?

橋本
言語能力の向上。俺はまじめに、お母さんに毎日3回ずつ音読を聞いてもらってたけどね。

椿田
あったね。べつに勝手にお母さんの代わりにサインしても分からないじゃん。

橋本
俺は心が痛むからやらなかったけどね。君とは違うよ。スラムの人間と一緒にしないで。

椿田
スラムって言うなよ(笑)。
橋本
だってスラムの人間でしょ?よく言葉の読み間違いはお母さんに指摘されたましたけどね。

椿田
厳しかったんだ。

橋本
「そんな読み方しねぇよ!」って怒られてた。

椿田
それこそスラムじゃん。

橋本
いやいや、愛のあるスパルタ(笑)。「案の定」っていう言葉を初めて読んだ時、「あんのさだめ」って読んじゃって、お母さんに怒られた。

椿田
やっぱり、教育を受けてる年齢だったら、読み間違いの指摘をされてもまだ良いよね。でも、大人になってそういう風になるのは少し恥ずかしいな。例えば、店のメニューでこの漢字どうに読むんだろうってあるじゃん?魚編の漢字とかさ。そういう時は指を指したりとか「ゴニョゴニョの照り焼き」とか言っちゃう。

橋本
だいたい指差したりするね。あと思い切って聞いちゃうとか。ヘラヘラしてね。


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再生時間を04:48に合わせると以下のお話がはじまるよ!


椿田
結局、その点については俺らはましな方なんだよ。

橋本
そうなの?(笑)

椿田
俺の中学の時の友達でさ、大人びた言葉が好きな奴がいたんだよ。

橋本
ちょっと小難しいような言葉ね。

椿田
友達が「それ、虫のすぐうだよ」って言ったことがあったんだよね。「すぐう」って何だよって思ったんだけど、「巣窟(そうくつ)」って言いたかったんだよね。本で読んだのか知らないけど、そういう言葉を使いたがる奴だった。

橋本
「すぐう」ってなんだよ(笑)。

椿田
こうやって読むんだろうなっていうのをイキって読んでんだよ。

橋本
中学生にしたら「窟」っていうは確かに難しいかもね。

椿田
そいつがダントツがひどかった。それこそ、一緒にギターとかやってたんだけど「歪(ひず)ませる」っていう言葉を「ゆがませる」って読んでたりもした。「この音、もっとゆがませた方が良いんじゃない?」とか。

橋本
時空ですら難しいのにね(笑)。

椿田
「音をゆがませる」ってどうやるんだ?って思ってた。

橋本
この場合は「ひずむって読むんじゃない?」って指摘したの?

椿田
まだ俺も中学生だったから、どこかにゆがませる方法があると思ってた。

橋本
みんな無知だったんだね。

椿田
「ゆがませるってどうにやるの?」って聞いたら「ザー!って感じだよ」って言われて。

橋本
無知に無知が踊らされてるじゃん。

椿田
ゆがませる方法が何かあってもおかしくないって思ったんだよ。でもそいつが一番やばかったのが「chromatic」の読み方。確か、音を合わせるチューナーに「chromatic」って書いてあったんだけど、そいつは「チョロマティック」って読んでた。

橋本
「チョロマティック」はやばいね(笑)。チョコレートと同じような読み方だと思ったのかな。
今の彼はちゃんと読めるのかな。

椿田
まだ絶対何かあると思うよ。

橋本
最近会ってないの?

椿田
会ってないね。

橋本
「チョロマティック」に嫌気さした?(笑)
俺も、大学の英語の授業で「chemical(ケミカル)」を「チェミカル」って読んでたやつがいたな。

椿田
ネイティヴみたいだね。

橋本
もちろん「チェ」って読むこともあるからね。「ch」は人を惑わす何かがあるのかな。「chromatic」も「chemical」も「ch」で始まる。

椿田
この前後輩と喫茶店に行ったら、モーニングサービスで、パンにマーガリンと小豆(あずき)ジャムがついてきたんだけど、その後輩は小豆のことをずっと「おぐら」って言ってた。「おぐら、うめぇ」とか言ってる。

橋本
「あずき」じゃなくて「おぐら」ね…(笑)。小倉あんこっていうのがあるから、そのイメージで言っちゃったんだろうね。

椿田
でも、おぐらはダメだよ。

橋本
この間、電車に乗ってた時に、おじさん二人が話をしていたんだよ。一人のオジさんがずっと「俺のアーウーはこういう感じなんだよ」とか喋ってたんだよね。

椿田
アーウー?

橋本
たぶん携帯の話してたから「au」のこと。まだ「au」のこと知らないんだな。

椿田
なるほどね。でもね、外国の人は「アーウー」って言う人が多いみたいよ。

橋本
じゃあ、おじさんはネイティヴだったのかな。

椿田
ネイティヴではないと思うよ(笑)。

橋本
自分自身、そういう間違いは最近ないね。

椿田
地雷を踏まないようにしてるんだよ。

橋本
俺はもっと間違っていきたい。もっと知らないところに飛び込んで恥をかいていきたい。

椿田
一人で朗読している時点でなかなかだけどね(笑)。

橋本
すでに勝手に飛び込んで恥かいてるね。人が見てないだけで。

-終-

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photo by houseofthailand.com

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