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夫とのファーストデートはとらのあなでした。

多くの女性にとっては理想的なのかもしれないが、夫は私がいわゆる「最初で最後の女」だ。

出会ったとき19歳だった夫は、それまで誰とも付き合ったことがなかった。元カノ、というものと比べられることがないこと、女というものに対してあまり擦れた考えを持っていなかったことなど、有り難かったことが多くあるのは事実。

が、その裏で、「異性とまともに付き合ったことのない人」独特の面白さ、厄介ごとがあったりはした。

そもそも、ファーストデート、だ。

我々のファーストデートは、とらのあな秋葉原店だった。

ご存知ない方のためにいっておくと、とらのあなとはアニメやゲームの同人誌や、同人グッズを専門に扱うお店で、今でこそ「腐女子」のみなさんのために、女性でも安心していけるような配慮がなされている店舗も多いが、我々がいったのは、その中でも男性向けのものばかりを扱うそれはもう萌えっ萌えで、おっぱいドバァーンおにいたんアハァーン(?)な店舗だった。まあ端的にいえばあまり同人や、萌に耐性のない人であれば、眉をひそめること請け合いな場所だったのだ。

夫はアニメやゲームはまあそこそこに好きで、私もまあゲームなんかは少しわかるけども(当時も今もゲーム会社勤務だし)、流石にとらのあなに初めての❤デートで行きたい、という程のオタクではない。ではなぜ、我々は(よりにもよって)初デートでとらのあなに足を踏み入れることになってしまったのかッ…!

そこが夫の(当時19歳)の可愛らしいところなのだが、「自分はあなた以外の女性に興味がないですよ」ということのアピールのために、あえてとらのあなに連れて行ったというのだ。

二次元には耐性があり、こういうものは好きだが、三次元ではあなただけ…ということを私にわからせるために、連れて行った、という。

もちろんこれは、私はあとになって聞いたことで、当時はアニメ好きだから、とらのあな行こうよ♪くらいの誘われ方しかしなかったわけで、ぶっちゃけ当時もドン引きはしていたが、この理由付けを改めてきいたところで、ハッキリ言って、あれ、ちょっと病気なのかな…と思ったことは否めない。

だって、あなたのことが好きですよ!の証明に、ほぼほぼアダルトグッズしかないお店に連れてくって、新しすぎないだろうか????

夫は見た目は爆裂にかっこいい(当社比)。そして、当時は私も夫も若かった。なので許されるようなものの、もし私に息子ができて、その息子にはじめての彼女ができ、「お母さん、明日の初デート、とらのあなにいこうと思うんだ♪」などど嘯こうもんなら、世の娘さんのたちのためにも、愛する息子といえども歯を食いしばらせボディに一発かまさなくてはならない義務感に駆られる。

まあ、初めに申し上げたとおり、夫は私が最初で最後の女。このような被害にあうのも、私が最後だったことを思うと、なんだか人類(というか哺乳類メス全般)に悲劇が及ぶのを防いだともいえなくはない。誰か褒めてほしい。

でも、夫とはそんなデートがあっても、仲良く、いまだにラヴラヴで10目の付き合いになるので、人生何があるかわからない。こうして仲良くしてられるのも、初めから期待値を奈落の底に突き落としたことで、あとは上がるしかない、という風に私に思わせる、夫の戦略だったのかもしれない…!

もしファーストデートに、彼女(もしくは彼氏)をどこに連れていったらいいかわからない人がいたら、試して見る価値はあるのかも。まあ、十中八九、秋葉原駅改札を泣きながら一人でくぐることになりますけどね。

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