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【詩】降りていく

何度でも眠りに落ち続ける繰り返しの向こう、
君からの知らせを待っている
リセットするように遠のく意識と、
再び始まる唐突な日常。
これが夢か現実かなんて考えるだけ無駄で、
何が条理か不条理かなんてとうにどうでも良かった。
ただ、君からの知らせを待っている。
また遠のく。始まる。何か弾ける音。
目を逸らせばまた遠のいていく。

オルフェウスの降りた螺旋階段を、
目を瞑ったまま駆け降りていく
天体の描く円運動の向きが、
眠りと死の中で逆流している。
夢の中でさえ遠ざかっていく声。
唐突に内側で鳴り響いてくる。
これが夢なのか現実なのか分からなくなって、
目を開くと逆に光を見失っている。
内側の向きが分からなくなる。
ただ、遠ざかる声を聞いている。
何か弾ける音。
振り返れば、日常の中にいる自分が
手を握ってくれている。


注:朗読の際は、第一連は気の済むまで繰り返し読んでください。

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