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原点はどこにある。


なんでこの競技をやっているんだろう。もう苦しい。しんどい。立ち止まりたい。好きで始めた競技のはずが「やめてしまいたい」とさえ思う。


そんな選手をサポートすることもあります。


先日もとある選手に「どうしてそんな風に思ってしまうの?」と聞くと結果が出ないことや周りからのプレッシャーが辛いという話をしてくれました。

この選手はとある球技をやっていて、プロとして活動をしている選手です。

プロとして厳しく結果を求められる、他の選手と比較されダメ出しされたりするとのことでした。それに応えよう応えようとしているうちに、何が自分の気持ちだったかがわからなくなってしまっている。そんな風に話をしてくれました。


それはしんどいだろうな、と思いながらもふと気になっていたことがあります。

「どうして、ここまでその競技を続けてこれたんだろう?」ということです。


そこで

「話変わるけど、これまではどうして頑張ってこれたと思う?」

と聞いてみたところ

「好きだから」

と即答。


「どこが好きなの?」

と聞くと。

「点を決めた時、気持ちいいですよね!」


「なにが楽しい?」

と聞くと

「始めた時はボールで遊んでるだけでよかったんです。」


そうか、彼の原点はここにあったのか。私はそう思いました。


「もし今、そういう気持ちでプレーできるとしたらどう?」

と聞いてみると

「最高ですね」

とニヤリ。

先ほどとは違った顔を見せてくれるようになりました。

その時のセッションからは「どうやったら楽しめるか?」をその選手と一緒に考えています。


心理学ではモチベーションには「外発的」なものと「内発的」なものの二種類があると言われています。

外発的なモチベーションは、自分ではない外側からの力によって自分の心が動かされるようなもの。「褒められたい」「お金がもらえる」「指導者に言われたから」そういったものが外発的モチベーションです。「〜しなければいけない」という言葉が特徴的です。

一方で内発的なモチベーションは、自分の内側から発生します。「好きだから」「楽しいから」「上手くなりたい」。そういった感情を伴うものが内発的なモチベーションです。外発的とは対照的に「〜したい」という言葉が対応します。


結果だけが求められる。プレッシャーがかかる。そういった状況では、外発的なモチベーションばかりが意識されやすくなってしまいます。そしてそれは、自分の内側から湧き出る気持ちに気がつきにくくなってしまうということでもあります。極端なことを言うと「自分を見失ってしまう」というものです。

これまでに頑張れてこれたのは「好きだから」という内発的な気持ちならば、それを無視してしまうことは「これまでの自分を置き去りにすること」といってもいいでしょう。

だからといって、外発的なモチベーションが悪いものではないんですよ?実際にそれが時に大きな力を発揮することもありますから。

問題は、バランスです。

どちらとも上手く付き合うことで自分の気持ちをコントロールする術が見つかってきます。そのためには是非、「その競技を始めた時のことを思い出す」ということをやって見て欲しいのです。


競技力が上がっていけば、自然とプレッシャーは感じる場面は増えます。だからこそ自分自身の原点はどこにあるのかを、何度も何度も再発見していく。その過程が非常に重要なのだと感じます。


このことを表した好きな言葉があります。

"絶えずあなたを何者かに変えようとする世界の中で、自分らしくあり続けること。それが最も素晴らしい偉業である。"

これはアメリカの思想家エマーソンの言葉です。彼は「自己信頼」という言葉で、自分自身を信じるということはどういうことなのかということを説いています。


結果を出すことはもちろん素晴らしいこと。そして、それよりも素晴らしいのはその選手が自分らしくプレーし、輝くことなのではないでしょうか。

一人でも多くの選手が自分らしくプレーできるようになれば嬉しく思います。


支援していただける方々のおかげで活動できております。いつもありがとうございます。