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これまでを振り返って、いまマネジメントについて思うこと

技術部門におけるマネジメントの課題

私はこれまで17年に渡って技術経営について学び、考察し、知識を収集する傍ら、ここ10年はIT技術者として技術やサービスの開発、運用に携わってきた。

マネジメントを専門としてきた私が現場に出ることを決意した理由の一つは、現場を知らずしてマネジメントすることは、マネジメントされる側の納得感が少ないのではないか、という課題意識があったためだ。

そして、2つの会社で技術部門を経験し、以下の知見を得た。

  • 現場上がりであっても、業務に対してスキルアンマッチな管理職は現場からの信用が少ない傾向があること。

  • 管理職に加え、他部門に対しても同様、技術への理解が少ないほど、現場からの信用も少ない傾向があること

  • 性格的にマネジメントが向いている人、努力してマネジメントを身につけた人、嫌だが仕方なくマネジメントをしている人など、管理職にも様々なタイプがあり、このため、マネジメントの質が組織内で均一とならないこと。

  • そもそもマネジメント専業で、現場を経験せずに管理職に就いている人が見当たらないこと。

これらのことから、現場はマネジメントより技術を重視する傾向があることが伺える。マネジメントの理論と実践が十分に行き届かないことには課題があると考えている。
また、管理職に対する動機付けやマネジメント教育の在り方にも課題を感じている。

技術経営のこれから

技術経営では、一般的な経営学が対象とする組織論や経済学のアプローチに加え、研究開発やプロジェクト、知識など、およそテクノロジー企業の事業に関わる一切の事象をマネジメント対象としている。

大昔から実践されてきた領域もあれば、ここ数十年で急速に開拓された領域など、一口に技術経営といっても、成熟度、知見が生み出される勢いは様々である。

私が特に注目し、興味を持って学んでいるのは、以下の3つである。

プロジェクトマネジメント

プロジェクトマネジメントは、比較的古くから存在する領域だが、ここ数年で取り組みが大きく変化してきた。

具体的には、マネジメントの目的が『プロジェクトを成功裏に完了すること』、から、『全てのステークホルダーに価値を提供すること』へと発展し、これに伴ってマネジメントの対象も、プロセスからヒトへとその焦点をずらしてきたように感じる。

ナレッジマネジメント

知識のマネジメントは、近年更に重要度が増している。

情報化社会が発展し、先人の知恵を再利用するコストが劇的に低下した一方で、既存の暗黙知をいかにしてアウトプットし、プラットフォームに乗せるかが課題となっている。

また、今後は収集した知識を組み合わせ、新たな知を生み出すための工夫も必要となるだろう。

イノベーションマネジメント

イノベーションのマネジメントは、社会の発展に応じて絶えず変化してきた領域である。

我々人類は、旧石器時代から400万年もの間、イノベーションを積み重ね、技術とともに進歩してきた。私は、今後の更なる発展のために、イノベーションのライフサイクル全体、およびそのマネジメントを高度化し、あらゆる課題と向き合い解決していく必要があると考えている。

まとめ

私は、マネジメントは管理職だけに必要とされる知識では無く、技術者をはじめ業務に携わる全ての関係者が共通認識として身につけるべきものだと考えている。

互いが用語を正しく理解しコミュニケーションを取ることの重要性、そして何より、各自の業務にマネジメント手法を適用し、成果を最大化することの重要性という観点から、そのように考えている。

現実問題として、多くの人はマネジメントを興味の対象としていない。
少なくとも、私がこれまで一緒に仕事をしてきた人たちの中で、マネジメントがしたくて会社に入った、とか、マネジメントを目指して仕事をしている、という人は1%も居なかった。

マネジメントの認知のための取り組みは、今はまだ、草の根活動に等しいが、今後はより多くの人に、その目的や重要性、方法論を知ってもらえるように努力したい。


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