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一種の症候群であり依存症

読書家、それは理想化の格好の獲物である。
文学少女や文学青年は、繊細な心を持ち、容姿は男女共に楚々であり、
内気で、すぐに人と打ち解けることは少ないが、心を許した人間には、
屈託なく全幅の信頼を寄せる・・・。また、往々にして知的であり、
思慮深く、心の機微に聡い。
・・・というのは、多くの人間に内在するファンタジーではないだろうか。


はっきり言おう。妄想である。
読書家や、文学に携わる人間というのは、知的で精神的に円熟しているために、
文芸を好むのではなく、むしろ、一種の依存、悪癖なのではないかなと思う。
内面は、ギャンブル狂いや酒浸りの人間と変わらない。
これを読んでいるあなたは、きっとお分かりだろう。

近くに文章がないと落ち着かない、
本屋を見かけたら、ついつい寄ってしまう。
買ったはいいものの、一体何十冊、何百冊目の積読だろう?
本棚から本が溢れているだろう?

そう、我々はたおやかで知的な読書家や文学愛好家になんてなれなかった。
埃の積もった本に囲まれた、書痴にしかなれなかった。

洪水のような言葉たちから、自分を救う術を探している、
生々しい生き物が、本読みなのだ。

ほんの一文で人は天国にも地獄にも行ける。
だから今日も本浸りの生活だ。


※個人の感想です。

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