花筏にのって、流れてしまえ。
君の思い出も、私の恋心も。
河津桜を見に行った。
目的地ではなかったが、流されるように辿り着いた。
もう散り始めていて、葉桜のものあった。
葉桜は、桜餅みたいでおいしそうだなと思った。
花に誘われてきた、道ゆく人たちは、
春の陽気につられ、明るい顔をしていた。
鳥も花を散らして、愉快そうに笑っていた。
平和がこの並木道の支配者だった。
私は地面を見ていた。
椿のように、花がそのまま落ちていたのをみつけた。
これは私。
空色のパステルカラーのノートに挟んだ。
川沿いの並木道。
素敵な並木道。
完璧な春、みんなに愛される春。
本当にすばらしい。
私以外は。
いつもなら、春が、桜の花で、頭の中を散らかして、
夢見心地にさせるのに。
なんで、いまそうしてくれないの。
一番必要な時に、愛情がほしいのに。
いけず。
それなら、あなたに背を向ける。
川に落ちて、流れていく無様で美しいあなた。
本当は大好きだった。
でも、愛してくれないなら、いらない。
ついでに、憂鬱な君の思い出と、
がらくたになった、私の物思いも一緒にどうぞ。
ヒヨドリがあなたを川につき落とす。
さよなら。
遠くでも元気でね。
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