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SCARTS、ヨコトリ、アーツ前橋、千葉市美、世田美、都現美

先にあげたアーティゾン美術館のほか、7月は展示へかなり足を運んだ。車移動を多めにするなど気をつけつつ。秋田市文化創造館の準備のことを考えると施設内の設えや運営体制などに目がいき、たくさんのヒントを得ることができた。

札幌文化芸術交流センター SCARTS「チェルフィッチュの〈映像演劇〉 風景、世界、アクシデント、すべてこの部屋の外側の出来事」

一昨年秋の開館後なかなか足を運べず、知人が制作を担当していたチェルフィッチュの企画に合わせて訪問。コロナ対応で3月から延期になっていたもの。

尺のある作品が同時に流れている空間の中で自分がどこに身を置いて対峙するか。メイキングに関するオンライン配信トークを聞いていたこともあるが、全体を見渡せる場所からだと観客が取り込まれる感じもあることに気づくなどしながら、岡田利規の言う「映像演劇」の現在地を理解できた気がする。

SCARTSは「機会の提供」や「創造支援」など秋田市文化創造館でも展開していく活動の軸に共通するものがあるのですが、札幌という人口190万人の大都市(秋田は30万人)、劇場や図書・情報館も入る札幌市民交流プラザ内の施設なのであり方がかなり違うことになるのだと思う。指定管理者(非公募)も市内でいくつも施設運営をしている札幌市芸術文化財団。地下鉄と直結する地下道にスタジオロッカ、大木裕之、野口里佳の映像展示を行うプロジェクトなども行っていた。

プラザ内では札幌市図書・情報館の選書や配架は幅允孝さんが手がけていたり、カフェ・レストランで市内・道内13店舗に展開する「MORIHICO.」の中にもその棚がはみ出してきたりしている。都市の居場所感がすごい。

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他には、中止が発表された札幌国際芸術祭の情報発信拠点であるSIAFラウンジ(札幌市資料館内)、札幌三井JPビルディング内の眺望ギャラリー テラス計画(運営:札幌駅前通まちづくり株式会社)などにも足を運んだ。白老のウポポイにも足をのばすつもりだったのだけど、完全予約制&開館直後で混雑の様子だったので時間が合わず(取れず)またの機会にした。SIAFラウンジは持ち込みの飲食も認められているのがいい。

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https://siaflab.jp/
https://www.terracekeikaku.com/
https://ainu-upopoy.jp/


ヨコハマトリエンナーレ2020

ノマドの米津が広報チームとして携わっている。コロナ禍で7月にこの規模の展示を開けたというだけでもすごいのだけれども、会場が分散しているところにさらに時間指定の予約や体験型作品の予約、そもそも特定の時間しか見れない作品や映像もありなかなかじっくりと体験するのが難しかった。

テーマではなくソースを提示してつくるというやり方、関連キャプションの示し方、作家のセレクション、空間の設えなどで特徴の出た展示になっていた。ソースブックや関連資料を改めて読んでみたい。

プロット48のショップには、横浜ゆかりのクリエイターが制作したグッズなども多く並んでいた。運営費や売上はどうなんだろう。

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アーツ前橋「廣瀬智央 地球はレモンのように青い」

こちらもコロナで会期が変更となった展示。屋上看板を用いたコミッションワークなどで継続的に関わりのある作家の個展ということで力が入っていた。「こんなこともしているのか」と知れる個展は楽しい。そういう地元の方も多かったのではないだろうか。大空間にレモンを敷きつめたインスタレーションの映え効果のお客さんも来ていた様子。

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商店街にできた前橋デザインプロジェクトMビル(設計:中村竜治建築設計事務所)で営業するパスタ店「GRASSA」で昼食を食べようと移動していると、藤本壮介が手がける白井屋ホテルもすっかり出来あがっていた。こうしてまわりに様々な動きがあるのが前橋の面白いところだ。

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https://www.shiroiya.com/


千葉市美術館

年末の「目」の個展からのリニューアル後の様子を知人に案内いただく。子供の興味をひく選書(一部)や居心地の良さそうな設えに工夫がある「びじゅつライブラリー」。「つくりかけラボ」はネーミングと最初が遠藤幹子さんというところだけでぐっとくるのだけど、コロナでひと組づつの体験+オンライン対応というのはやはり寂しさがあった。

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カフェとショップが1Fに降りてきたことは大きいと思うのだけど、地元の不動産会社⁈が運営するカフェはいろいろ惜しい。ショップは国立でギャラリー兼ブックショップ運営などもしてきたデザイナーの丸山晶崇さんの会社。基本は抑えつつひと癖あるラインナップが楽しいし、地元的には、シンプルにそういうお店がないから好評の様子とのこと。

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https://www.ccma-net.jp/
https://batica-chiba.com/


世田谷美術館「作品のない展示室」

すっかり話題になっていた企画。確かに建物を見るにはいい機会でもありました。そのなかでも、特集「建築と自然とパフォーマンス」を入れてくるところがらしさ。空間の実験の記録。こういうときに使えるコンテンツがあるというのは強い。

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東京都現代美術館「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」

展示が開かないまま、新日曜美術館の特集でじっくりと映像を見て実際に見てみたいという欲求がとても高まっていたのに、なぜか感動がうすかった。面白かったのはむしろ、映像には出てこなかった地味なスタジオルームのようなコーナー。

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展示まわりも再開したところだけれども、オンラインの良さにも引き続きあやかりたいねということで、気の合う同業者と「現代美術オンラインイベントJP」なるカレンダーをはじめてみた。


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