ノートの端書

もぞもぞした鑑賞物の感想やエッセーを、ネットの海に放流しております。本職は全く違う分野…

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もぞもぞした鑑賞物の感想やエッセーを、ネットの海に放流しております。本職は全く違う分野のろんぶんとかかくひと。

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『君たちはどう生きるか』レビュー:虚構=アニメの創造行為にまつわる絶望の闇と、その中で瞬く光

 難解と言われる『君たちはどう生きるか』を読み解くにはどうすればいいか?まずこの物語を2つのテーマに分解することから始めてみたい。(ネタバレ全開) すなわち①「居場所のない子どもが現実世界から虚構と想像の世界に転移し、自己を回復して現実世界へと帰還するストーリー」と、②「アニメという虚構の世界をつくることへの絶望(そしてわずかな希望)」である。 第一のベタテーマ:「喪失ゆえに想像世界に転移してしまった主人公は現実に帰還できるか?」  主人公:真人は空襲で母親を失っている

    • 劇場版 『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』各シーン レビュー・考察 ①富野由悠季の考える<オタクはお呼びでない?イイ女>論。(冒頭から5分)

      この記事では『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』をシーンごとにざっくりレビューしていきたいと思います。本記事は冒頭から5分までのシーンです。 「オタクはお呼びでないヒロイン」ギギ・アンダルシア  いきなりケネスと多くの観客に「え、絶世の美人だけど猛烈にいやな女じゃない?」とアッパーカットを加えるギギ・アンダルシアである。しかし、ここで、この食えない女を「ベルトーチカやクェスみたいな性格ブス」「ガンダム三大悪女の候補」「宇宙世紀パパ活女子w」とチープな単語に回収するような

      • 『銀河英雄伝説』キャラ雑感:公明正大なるミッターマイヤーには、世界の半分しか見えていなかった

         銀河英雄伝説において、人望厚く公明正大で正義感溢れる好漢と「設定されている」男と言えばミッターマイヤーである。わざわざ「設定されている」と書いたが、筆者は彼に全面的な共感をもつことがなかなかできない。(というか端的に少し嫌いなのである)。おそらく世の中にも僅かにいるであろうミッターマイヤーへの違和感を覚えてるアンチ層の留飲を下げるために、その違和感の正体を論拠を示していこうと思う。だがしかし、最後には、これらの違和感も含めて彼を評価していきたいとも考えているので、ファンの方

        • 『花束みたいな恋をした』のサブカル描写の居心地の悪さ ~パンツを脱がない坂本裕二氏~

           最初に言っておくが、筆者は基本的に坂元裕二氏の脚本のファンである。なので『花束みたいな恋をした』についても手放しで評価をしたいところなのだが、見た後に寝違えたような居心地の悪さを感じた。  その違和感を言語化すると「クリエイターとしての成功者の坂本さんは、どこから目線で、サブカルに関するメッセージを若者に発信してるの?悪意なの?説教なの?何様なの?パンツ脱がないの?」というものである。 観客の見っともなさを画面で見せつけ切りつける  『花束みたいな恋をした』は、端的に

        『君たちはどう生きるか』レビュー:虚構=アニメの創造行為にまつわる絶望の闇と、その中で瞬く光

        • 劇場版 『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』各シーン レビュー・考察 ①富野由悠季の考える<オタクはお呼びでない?イイ女>論。(冒頭から5分)

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          『どうする家康』に見られるTV制作者の視聴者や若者への「知性」の侮り ~どうするテレビ~

           『どうする家康』も序盤戦が終わりつつあるが、このドラマに漂う薄らすら寒さは、「視聴者、特に若者の知性を信じていない」、その侮りが源泉となっている気がしている。  TV離れや受信料の未納問題が進む中、NHKは視聴者を若年層に拡大したという気持ちがある。そんななか『どうする家康』では、特に若年層拡大を考えて企画されたのだと思う。ネットに取られている若者を引き留めるために、できるだけ内容をとっつきやすくし、若者ウケをよくする要素を盛り込みたい…。その気持ちはわかる。  だがそ

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