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『ダンキラ!!!』夜野零士の好物・高野豆腐について考察していたらアドレナリンバーストした

高野豆腐がアドレナリンバーストした。

……こう書けば、コーチにはわかっていただけるだろうか。

高野豆腐といえば、『ダンキラ!!! - Boys, be DANCING! -』に登場する夜野零士の好物。
高タンパク低カロリーでお財布に優しい食材として、節約家でもある零士の食卓を支えている。

実は高野豆腐の歴史をさかのぼってみると、零士や『ダンキラ!!!』と無関係ではないことがわかる。
あくまでも非公式ではあるが、今回は高野豆腐に焦点を当てた考察を試みようと思う。

夜に凍みる豆腐

高野豆腐の由来には諸説ある。

鎌倉時代に高野山の僧侶たちが精進料理に使用していた豆腐が、ある冬の夜、寒さで凍ってしまった説。
「弘法も筆の誤り」でおなじみの弘法大師が中国で作り方を学び、日本に持ち込んだとする説。
さらに武田信玄が現在の長野県に冬の保存食として広めた凍み豆腐(しみどうふ)を起源とする説など。

今となってはどの由来が正しいと言い切ることはできないが、共通するのは「豆腐を凍らせる」製法だ。

厳密にいえば、高野豆腐と凍み豆腐の製法は異なる。
凍み豆腐は、寒い日に数日間屋外に吊るして豆腐を凍らせる製法をとっていた。
一方高野豆腐は凍らせた豆腐をいったんお湯で解凍し、水分を絞ってから軒下に吊って乾燥させる。
その後人工冷凍技術の開発や工場の近代化により、高野豆腐(凍み豆腐)は年間を通じて作られるようになった。

ちなみに初期の凍み豆腐の製法は「一夜凍り」と呼ばれており、その名の通り一晩豆腐を屋外に置いて凍らせる。
奇しくも「夜」という字が夜野零士と共通しており、なにかつながりを感じずにはいられない。

また、高野豆腐を作るためには常に氷点下の気温が欠かせなかった。
氷点下とはいうまでもなく零度以下のこと。
ここにも零士の名前と共通点があるとわかる。

さらに高「野」豆腐最大の産地は長「野」県であるし、その長野県に製法を伝えたのは武「士」の武田信玄だといわれている。

少々こじつけかもしれないが、夜野零士という名前そのものが、好物を表していると考えることもできるだろう。

飢饉を助けた高野豆腐

高野豆腐が全国的に広まったのは、江戸時代の天保の飢饉がきっかけだといわれている。

豆腐の原料である大豆は「畑の肉」と称されるほど豊富なたんぱく質が持ち味だ。
豆腐そのものはあまり日持ちしないが、水分を抜くことで保存がきくようになり、さらに栄養価が向上する。
そのため食べるものもお金もなかった人々に重宝され、多くの命を救う食材のひとつとなった。

ところで零士が所属しているチーム・メリーパニックは児童養護施設「ひつじ館」の出身者で結成されている。
紅鶴学園では特待生として学費を免除されているものの、金銭的な余裕がないため、食費を浮かせようと零士が自炊することが多いという。
定期的に施設にバイト代を仕送りしている点からも、ひつじ館の経営もぎりぎりなのだと予想できる。

空腹を低コストで満たしてくれる高野豆腐に、零士は何度も精神や体力を救われてきたのだろう。

高野豆腐、宇宙へ行く

さて、冒頭で「高野豆腐がアドレナリンバーストした」と述べたことを覚えているだろうか。

この表現はあながち間違いでもなく、高野豆腐は宇宙とつながりの深い食材だといえる。

1994年にNASAから打ち上げられたスペースシャトル、コロンビア号。
この船には日本人女性初の宇宙飛行士・向井千秋さんだけではなく、日本食を採用した宇宙食が乗っていた。

目的は向井さんに食べなれた日本食を宇宙で味わってもらうことと、世界に向けた日本文化の発信である。

人々に宇宙を身近な存在として感じてもらうため、メニューは一般的な家庭料理から選ばれることになった。
しかし宇宙には冷蔵庫や冷凍庫がないため、加工方法は限られる。
そのためレトルトか、水をかけてもどす凍結乾燥が可能な食材が選ばれた。

凍結乾燥……そう、高野豆腐の製法そのものである。

実際に持ち込まれたメニューの中に「大地より愛をこめて」という、キラートリックに使えそうな名前の料理があった。高野豆腐の中に野菜と鶏肉を詰めて煮付けたメニューだそうだ。

宇宙の食卓を支えた高野豆腐。
まさにアドレナリンバーストを体現した食品といえるかもしれない。

参考
こうや豆腐年代記
https://www.asahimatsu.co.jp/chronicle.html
こうや豆腐の歴史
http://www.tsuruhabutae.co.jp/index.php?f=&ci=12278&i=12333
「日本食、宇宙を飛ぶ」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience1995/28/1/28_65/_pdf

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