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『ダンキラ!!!』破走ギンコの名字について考えていたら『古事記』にたどり着いた

少年ダンサー育成ゲーム『ダンキラ!!! - Boys, be DANCING! -』の登場人物である破走ギンコ
彼には破走(はばしり)という珍しい苗字が使われている。

意味が気になったため調べようと思ったものの、いくらグーグル先生に尋ねてもギンコさんご本人しか出てこない。

走りぬくという意味の「走破」を入れ替えたのかもしれないが、横須賀出身コーチから思い当たる節があるとメッセージが届いた。

曰く、「破崎+走水=破走では」とのこと。

破崎(はざき)も走水(はしりみず)も、ともに横須賀市内の地名である。
しかも走水には、メインストーリー第6章を彷彿とさせる伝説が残っているという。

……なにそれエモい。

今回は「横須賀出身コーチからの情報を検証してみよう第2弾」破走ギンコの苗字について述べていく。

ちなみに横須賀検証第1弾はこちら↓
『ダンキラ!!!』紅鶴学園のモデルはどこ? 横須賀出身コーチの情報をもとに考察してみた
https://note.com/hashibiroco/n/nc70db98ef33e

※考察内にメインストーリー第6章に言及している箇所があるため、ネタバレしたくない方は回れ右。
あくまで個人の解釈であり、公式や実在する地名などとは一切関係ないのでご了承いただきたい。

テッペンを見渡せる地

破崎と走水は、前述したとおりどちらも紅鶴学園によく似た街・横須賀市内の地名だ。
とくに走水は観光名所としても知られており、横須賀市観光情報サイトでも紹介されている。

海岸沿いを走る国道16号は走水道路と呼ばれ、ツーリングにもうってつけ。
天候がよければ富士山を見ることができるそうだ

走水は国土交通省が選定した「関東の富士見百景」にも含まれており、さらに観音崎方面に進んだ破崎緑地には展望デッキがある。景色がいいので星もきれいに見えそう。

富士山といえば、日本で一番高い山。つまり日本のテッペンといえる。
ここでギンコの目標を思い出してみよう。

ダンサー連合・黒流星を束ねるギンコが目指しているのは「ダンキラでテッペンをとり、はみ出し者たちの居場所をつくる」こと。

そんな人物の名前と日本のテッペンが望める地名に共通点があるのは、偶然なのだろうか。

ギンコとキンヤと『古事記』

走水の地名は、『古事記』にまつわるエピソードが由来となっている。
日本武尊(やまとたけるのみこと)と弟橘媛(おとたちばなひめ)の伝説だ。

日本武尊は優れた力を持っていたため、父の景行(けいこう)天皇から恐れられていた。
天皇は息子を自分から遠ざけるため、東国の征伐を命じる。

その渦中、日本武尊は敵の火攻めに遭い、現在の走水まで逃げのびた
このとき同行していたのが、妃である弟橘媛だ。
日本武尊は彼女を守りながら戦い抜くも、待っていたのは走水で荒れ狂う海
船出をするものの沈没しかけてしまう。

すると弟橘媛が、「さねさし 相模の小野に 燃ゆる火の 火中に立ちて 問ひし君はも(相模の野原で 燃えていた炎の中に立ち 私に声をかけてくれた あなたよ)」と歌を詠み、海に身を投げた。

海はたちまち静まり、日本武尊は船で水の上を走るかのごとく対岸へと渡ることができたという。
このエピソードから、「走水」という地名が付けられたそうだ。

参考:
https://yaizujinja.or.jp/saijin/
http://www12.plala.or.jp/hasirimizujinjya/
https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/0520/emaki/sendoki/sendoki_data4.html

それにしてもこの話、どこかで聞いた覚えが……。

『ダンキラ!!!』でギンコの所属するB.M.C.の結成エピソードが描かれたメインストーリー第6章

ギンコの仲間として、キンヤという人物が登場する。
思い返せば作中で、キンヤが川に身を投げるシーンがあった。
キンヤは同じく川に落ちたギンコと蓮太郎を救うことを優先し、自分はけがを負ってしまう。

ギンコはやがてキンヤの切り開いた道を進み、新チームB.M.C.でテッペンをとることを誓う。

もし弟橘媛のポジションがキンヤだったとしたら……。
そう考えると、胸に響くものがある。

走水神社のお稲荷さん

走水とギンコの共通点は地名だけではない。

日本武尊と弟橘媛を祭っている走水神社の境内には、稲荷神社がある。
もしギンコが「銀狐」だとすると、稲荷神社とも接点を感じてしまう。
好物がいなり寿司であることからも、きっと無関係ではないはずだ。

さらに走水神社の境内にある庖丁塚
横須賀市観光情報サイトには、

「大伴黒主(おおとものくろぬし)が日本武尊に料理を献じて喜ばれたとの古事により、包丁への感謝と鳥獣魚介類の霊を慰めるため、昭和四十八年に建てられたものです。」

と書かれている。(引用元:https://www.cocoyoko.net/spot/hasirimizu-z.html

ギンコはペットとしてフェネックを飼っており、随所で動物に対するやさしさを見せている。

おそらく偶然だろうが、稲荷神社といい庖丁塚といい走水神社の要素が詰まっており、なるほどと勝手に納得してしまう。

横須賀と『ダンキラ!!!』

今回紹介した走水に関する伝説は、『合唱と管弦楽のための組曲「横須賀」』の「第4楽章 白きかもめ~弟橘媛命追慕~」でも歌われている。
弟橘媛を白いかもめに見立て、その想いを投影しているそうだ。

この組曲の作曲者である團伊玖磨(だんいくま)は、横須賀の防災行政無線から夕方に流れる「横須賀市歌」の作者でもある。

「ぞうさん」や「やぎさんゆうびん」など誰もが知る楽曲も残した團。
作品の中には「夕鶴」という、コーチが見たら「紅鶴!?」と空見してしまいそうなタイトルもある。

かつて團は作曲家仲間と「3人の会」を結成し、管弦楽曲を発表していたらしい。
奇しくもダンキラチームと同じ「3人」という要素を見つけてしまい、目からうろこが落ちまくった。

参考:
https://www.kyogei.co.jp/shirabe/sakkyokuka/dan.html

いったい『ダンキラ!!!』にはどこまで横須賀要素が入っているのか……。
今後も折を見て検証していきたい。

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