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暗号資産(仮想通貨)レンディング利用の際の税金について知っておくべき要点


本コラムでは、暗号資産(仮想通貨)レンディングの税金について知っておくべきポイントを3つに分けて解説します。

当社はHashHubレンディングを運営しており、国内最高水準の貸借料率で暗号資産を増やす手段を提案しています。

その中で多くのユーザーの方、あるいはこれから利用を検討されている方から頂く質問は、暗号資産(仮想通貨)レンディングに関連する税務処理です。暗号資産レンディングは原則的に利用をしていれば、あらかじめ決められた貸借料率で暗号資産をもらうことができて、それは所得に相当します。

そこで本コラムでは、株式会社Aerial Partners様から監修を受けて、暗号資産レンディングについての税務を解説します。Aerial Partnersは、ビットコインなどの仮想通貨の税金、確定申告をサポートする事業を展開しています。

【株式会社Aerial Partnersについて】
所在地:東京都港区六本木五丁目2番1号
代表者 :代表取締役社長 沼澤健人
事業内容:仮想通貨取引に関する取引記録・税理士紹介サービス『Guardian』、及び仮想通貨投資家に向けた損益自動計算ソフト『Gtax』の提供
設立年月日:2016年12月
同社Webサイト:https://www.aerial-p.com/


本コラムが暗号資産のレンディングをこれから検討される方の参考になれば幸いです。

暗号資産の売却に係る課税の前提知識

まず、本題の暗号資産レンディングの税金について知る前に、暗号資産の売却に係る課税の前提知識をおさらいしましょう。個人と法人でそれぞれ課税方式が異なります。


(個人の場合)
暗号資産を売却したタイミングで利益あるいは損失が確定し、売却金額が購入金額より高ければ課税の対象になります。課税区分は原則雑所得です。

例)10万円で購入したビットコイン(BTC)を40万円で売却したケース
売却金額40万円 − 取得金額10万円 = 差額30万円が課税対象


(法人の場合)
法人の場合は売却しない場合においても期末で時価評価を行い、評価益について課税されます。
例)10万円で購入したビットコイン(BTC)が期末で時価40万円になっており売却せずに保持しているケース
期末時価40万円 − 取得金額10万円 = 差額30万円が課税対象
この場合、課税対象について、法人税率を乗し計算された法人税を支払います。
より詳しくはこちらを参照下さい。(外部リンク)

【2021年対応】仮想通貨(暗号資産)の税金の基本|税理士がわかりやすく解説!

ここまでが前提知識になり、以下からが暗号資産レンディング利用の税金処理について知っておくべきポイントを3つにわけて解説します。

1.貸出資産は利益確定にはならず貸借料に対して所得税で課税

レンディングで貸し出しをしている暗号資産は売買ではないので、利益確定にはなりません。毎月に発生する貸借料に対して課税されます。

例)2021年4月に、1BTCを貸し出ししており、2021年5月1日付けで0.00510424 BTCを取得した。(2021年4月のHashHubレンディングの複利込み貸借料率は6.3%で、1BTCを貸し出しした場合の30日間の貸借料であったと仮定する)
この場合、2021年5月1日付けで0.00510424 BTCを、この時点のレートで計算して所得として課税対象になります。

2021年5月1日のレートが6,128,395円ですので、0.00510424 BTCは、31,280円が課税対象になります。今回、レートはビットフライヤーの日足チャートを参照しています。
https://bitflyer.com/ja-jp/bitcoin-chart


またこの場合、1BTCの元本は売却しているわけではないので、この時点においては課税対象にはなりません。売却した時点で課税対象になり、その年は申告する必要があります。

2.貸借料付与に応じて平均取得単価が変わる

貸借料付与として受け取った際は時価で所得を計上する必要があると上記で説明しました。
一方で、暗号資産で貸借料付与されたことによって平均取得単価が変わることも認識が必要です。貸借料として得たBTCと、元から保有していたBTCを考慮して取得単価を計算する必要があります。

暗号資産を売却して利益が出る場合には、売却金額−取得金額の差額が課税対象ですが、この取得金額の部分に影響が出ます。

先程の例であれば、6,128,395円のレート計算で0.00510424 BTCを31,280円で取得し、取得平均単価を再計算する必要があります。その取得単価によって売却時点での課税額が変わってきます。

3.消費税の取り扱いについて

国税庁が発表した「暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和3年6月)」では新しく貸借料率を得た場合における消費税の取り扱いが定義されました。


利用料を対価とする暗号資産の貸付けには、消費税が課されます。 暗号資産交換業者が定める利用規約には、契約期間が満了した後、貸し付けた暗号資産と同 種及び同等の暗号資産が暗号資産交換業者から貴社に返還されるとともに、利用料が支払われ ることが規定されていることから、ご質問の取引は事業者が対価を得て行う「資産の貸付け」 に該当します。 また、ご質問の取引は、支払手段(暗号資産)の譲渡、利子を対価とする金銭の貸付け及び 有価証券の貸付けのほか、消費税法別表第一に掲げる非課税取引のいずれにも該当しません。 したがって、利用料を対価とする暗号資産の貸付けは、消費税の課税対象となります。

これは消費税課税事業者である法人と、消費税課税事業者である個人事業主が該当します。

例えば、ある法人が10BTCをレンディング業者に貸し出して0.55BTCの貸借料を受領した場合、その0.05BTCは内税であり、0.05BTCはレンディング業者から預かった消費税という取り扱いになり、法人は消費税申告の際にこれを申告して納税する必要があります。

個人の消費税については基準期間(基本的に2年前・下記の図を参照)の課税売上が1,000万円超である場合、課税事業者とみなされ、消費税の納税義務が発生します。注意いただきたいのが、あくまで基準期間の売上が1,000万円超の場合に課税事業者となりますので、今年度の売上が1000万円以上かどうかは関係ないため、今期の課税売上が1000万円以下であっても、消費税の納税義務がある場合があり得ます。また、あくまで基準期間内の売上によって課税事業者になるかが決まり、個人事業主登録の有無は関連しません。

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参照:国税庁


補足:レンディングサービス(CeFi)とDeFiで大きく異なる要素


HashHubレンディングはいわゆるCeFiと呼ばれる、株式会社が運営をするレンディングサービスです。当社のサービス以外では、例えばBlockFiのような海外事業者も存在します。

これら暗号資産レンディングと同じく暗号資産でインカムゲインを得れる可能性がある手段としてDeFi(分散型金融)と呼ばれるものがあります。 これらは株式会社が運営するものでは、Ethereumをはじめとしたパブリックブロックチェーン上のスマートコントラクトを介し、金融体験を享受する仕組みです。スマートコントラクトに資産をデポジットしてレンディングのようなことが可能なアプリケーションも存在します。

これらDeFiとレンディングサービス(CeFi)で税務的な側面での大きな違いがいくつかあります。

例えばDeFiに実際に暗号資産をデポジットする場合には、BTCをWBTCに転換するというような異なる暗号資産に変換しなくてはならない可能性があります。この場合、BTCを売却しているという点で、取得単価よりも高い取引で交換をしていた場合、課税対象になる可能性があります。

他、流動性提供をしていた際にトークンのペアの数量が変わり、つまりマーケットメイキングしている過程で交換が発生する可能性があります。つまりこの時点でも売却とみなされ課税対象になる可能性があります。

この点においては税務上の解釈が定まっていない点も多々ありますので、各自顧問税理士と相談をすることを勧めています。


まとめ


本コラムでは暗号資産(仮想通貨)レンディングの利用の際の税金について知っておくべき要点を解説しました。

重要な要点は以下の通りと言えるでしょう。

・暗号資産の貸し出しは利益確定ではない(このため長期投資家に向いている可能性が高い)
・貸借料は時価で取得したとみなされ、暗号資産の平均取得単価に影響する
・法人や事業として暗号資産貸し出しをする個人事業主の場合は、消費税が課税される

暗号資産(仮想通貨)レンディングは、貸し出しをしている限りにおいて貸借料を継続的に得ることができます。継続的に収益を得るということは同時に、納税義務が発生するということでもあり、仕組みを正しく理解しておきましょう。

HashHubレンディングでは来年の確定申告シーズンには税金計算をしやすくするためのデータ表示も整える予定です。

HashHubレンディングの利用をご検討されている方はぜひこちらも参考にしてください。

関連:HashHubレンディングの運営においての基本的な考え方やリスク対応へについて


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現在は先行リリース版を公開しており、正式公開は2021年夏を予定しています。

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