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再現性高い仕事をする作法|ベンチャーは60%のマニュアルを作るべき

「仕事の再現性高める施策うまいね」
と、正社員5人のベンチャーに入社して6ヶ月目、上司との1on1ミーティングで言われました。

入社してから自分が携わった業務は基本的にマニュアルを作っていましたし、自分が責任者だったプロジェクトも手離れよく別の人に渡していたので、そういったことを見てくれてとの発言だったと思います。

このとき思ったのが、ベンチャーこそこういう仕事の仕方が大事なんじゃないか、ということでした。
そこで、時間のない中で再現性高く仕事をする方法について私が気をつけていること、実践してきたことを紹介します。
(ツッコミや批評大歓迎ですので、足りないところはどんどん教えてください。)


背景:私はどうしても仕事を渡したかった

私自身の今までのキャリアを思い返してみると、部下を持ったことはないものの、自分の仕事を他の人に渡さなければならないケースが多かったです。
具体的には以下のような出来事がありました。

・自分の仕事をお願いしていた経理の派遣さんが諸事情で4人変わった
・退職や会計システムの入れ替えにより、瞬間的に仕事量が倍近く増えた
・仕事量が増えた中、マニュアルがない中で仕事を教えなければいけなかった
・・・等等。

自分ひとりで仕事をしていればマニュアルは作らないのですが、とにかく人に仕事を渡したかったので、いろんな方法を考えました。
このときに大事にしたことは、自分の仕事を渡した人に仕事をきちんと再現してもらうことです。逆に、そういう工夫をしないと渡したということにはならない、と思っています。
(たまに、「人に渡したからもう自分の責任じゃない、怒られても私は知らない」と割り切る人がいますが、僕はそのコミュニケーションが苦手でした。)
このときに、短時間でマニュアルを作り、仕事をしてもらう経験を積むことができたことで、冒頭の評価につながりました。

心構え:引継ぎは引き継ぎ先(相手)ではなく、引継ぎ元(自分)のためにある

具体的な作法に入る前に、大事にしている心構えを紹介します。
それは、引継ぎは他人のためではなく、自分のためにやるべきだった、ということです。

そもそも引継ぎというのは他人に対して行うものなので、自分のために行う、というのはおかしいと思われるかもしれません。
ただ、この経験で感じたことは、仕事を引き継がなかったときや、テキトーに仕事を渡したときの方が、結果的に自分が苦しくなる、ということでした。

引継ぎをした仕事の再現性が低い、もしくは適切に引き継がずに仕事の再現性が低下することは、とてもリスクです。
具体的には以下のようなことが起こります。

・引継いだはずの仕事が回らず、自分が対応するはめになる。
・自分が対応しなくても、引継ぎ方が悪いと非難される。
・引き継いでいないので、仕事内容について質問されると手取り足取り教え無くてはならない
・忘れてしまっていて質問にうまく答えられない
・全体の仕事能率が下がる

ちなみに、引き継がずに仕事を渡したときに逃げる方法もいくつか存在します。

「昔過ぎて私も全然覚えてなくて…(もう分からない)」
「今別件ですごく忙しくて…(多忙かつ優先順位的に無理とそれとなく伝える)」
「ごめん、後は自分で考えて(丸投げ)」

もうわからないのは時間が経っていないとできないですし、別件パターンは実際に忙しく、周囲がそのことを認識してくれないと無理です。
また、丸投げは良心次第です。
いずれのケースも、組織的には効率を著しく下げることになります。

また、当然ですが、引継ぎ先(後任者)は悪くないケースが多いです。

そんなときに不用意に仕事の引継ぎを断ったりすれば、自分の仕事のスタンスを疑われたり、後任者のモチベーションが下がる可能性があります。

具体的な作法:その日のうちに仕上げる、完成度は60%でいい

では再現性高い仕事をしてもらい、自分を救うためには、どうすれば良いでしょうか。
(基本的に、腰を据えてマニュアルを作る時間を取るのは難しいです…)
時間のない中、具体的な作法として私がよくやっているのは以下3つです。

①初めて仕事をしたら、必ず「その日のうちに」メモを書く。
②二回目に仕事をするとき、メモの完成度を60%まで高める。
③仕事を引き継ぐときは60%のまま渡す

一言で言うと、
「仕事をしながら”明日の自分でも分かるように”60%のメモを残す」
ことです。

有名な忘却曲線の通り、記憶が一番鮮明なのは当日です。
また、テキトーに書きなぐっているだけではだめで、最低でも明日の自分が見てわかることをイメージする必要があります。

ここをもう少し分解すると、大事にしているのは以下のポイントです。

・目的はなにか
・アウトプットの要素はなにか
・納期はいつまでか
・時系列順に何をしていけばいいか
・関係者は誰か

この要素群は場合によって変わることもあるかと思いますが、「何度も明日の自分はできるか?」と問いかけていけば大丈夫です。
また、仕事をするときには、予め60%のメモ書きをすることも考慮に入れて作業時間を見積もる必要があります。
時間がないときは、気合でメモします。笑

以上のように60%レベルまで高めれば、もう対応する必要はありません。
後はそのメモを元に仕事を進めるか、仕事を渡す場合はそのまま渡せばOKです。

60%だと不十分じゃないか、と言われるかもしれないですが、私はこれぐらいでちょうどいいと思っています。
60%程度にまとめるということは、ある程度構造化ができている状態です。すぐに仕事を渡せば何を聞かれても残り30%ぐらいはだいたい思い出せますし、時間がたったとしても、致命的な漏れは起きにくいと思われます。

また、残りの40%を後任に対応してもらうことで、後任者が「自分で手を動かして完成させる」ことができます。
人は(逆説的ですが)仕事の仕方を自分で見つけ出す方が一番覚えられると思っています。
そのときに60%で渡すことができれば、完璧なマニュアルを作るよりも最適な教材となるのではないでしょうか。

最後に:ベンチャーは60%のマニュアルを作るべき

ベンチャー企業は人材、資源、資金が全て不足しています。並み居る競合・大手企業に勝つためには、いかにスピーディに仕事を進めるかが鍵です。
スピーディに仕事を進めるために大事なことは、同じミスを繰り返さないことだと私は思います。

当たり前のことですが、自分が辿った道の情報を後から来る人に伝えてあげれば、道の歩きやすさ、険しさを想定して進むことができます。
きっとそれは後から来る人に感謝をされるはずです。

ちなみに、副次的な効果として、マニュアルをきちんと作ってえらいね、と評価されることもあります。ただし、マニュアルを作るだけの人になってしまうケースもありますし、マニュアルの作成だけに時間を取られては本末転倒です。今回の60%がいい基準になると幸いです。

ちなみにこのnoteを書いたきっかけは、こちら。

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