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ワークショップについて(僕の考える演じるということ)

どうも。長谷川優貴(@hase0616)です。クレオパトラというお笑いコンビでネタをしたり、エンニュイという劇団を主宰して脚本演出をしたりしています。

今月21日にワークショップやります。

↓以前やったワークショップの記事です。



これまでは、決められた時間の中で1つの公演を作るという感じのワークショップをしてきました。今回からは、1つの台本を参加者に渡して、その台本の役を自分に取り入れ、その役として、自分として、その場所に”いる”という現象を作っていきます。

感覚的には、自分の身体に役をプログラミングしていく感じかもしれません。

舞台上で自由になる

僕がお笑い芸人ということもあり、作る舞台は「自由さ」を大切にしています。台詞や流れなどに縛られてほしくないので。漫才のように、その日の会場や観客の雰囲気、出演者のコンディションなどに合わせて、台詞の言い回しや、間などを変化させられる舞台が好きで作っています。台詞や話のスジはしかっりとあるけど、その日によって雰囲気が違います。「自由な身体」と、先のわからないことによる「緊張した身体」が共存する感じです。出演者は、先が分からない中で、互いに受け入れ合い、表現し合いながら、主軸を肉付ける小さなストーリーを生み出していきます。

予期しないことが存在するといことが現実

先の未来がわからないのが現実。でも、舞台上で俳優は物語の結末までをしっています。それが僕は嫌なのですが、物語をなくしてしまうとただのインプロビゼーションになってしまいます。だから、物語はあるが、その流れの中で自由に発言できるルールを作ります。しかし、結局は物語通りに進んでしまうことが多いです。その時は、俳優の視点が役の視点になれていない時です。俳優の視点で俯瞰で空間を見てしまうと役の人生に没頭できません。視点を役にすると、リアクションなどがその日の環境で変わってきます。それだけでも、役者の身体からしたら予期せぬことです。でも、本当にワクワクする予期せぬことは、物が落ちてしまったり、虫が入ってきたり、停電になったり、、、そんなことが起きても中断せず、役のままで物語を進めることが理想ですし、そういう風にいままで作ってきました。

俳優同士が仕掛け合う

「意外性」を出す為には、俳優同士が仕掛け合うしかないのです。いつもはハキハキ言う台詞を暗く言ったりすると、相手の俳優は緊張し、「初めてのリアクション」をとることができます。この時大切なのは、その仕掛けには役としての意味がちゃんとあること。「天気が雨で、いつもより暗い雰囲気の空間だから自然とそうなった」とか、頭で考えるより先に「身体が言ったことを優先する」と自然と仕掛け合いが潤滑に進んでいき、物語に厚みが出る。

現実を再現するということを諦めない

現実を再現するということは、先人たちが何度も挑戦し敗北してきました。いつしか、そこを目指す人間を「無謀で、時間を無駄にしている」というようになったのです。そこで先人たちが生き着いたのが、リアルなように緻密作るというやり方。結局は、演劇の構造や文脈上、再現性の高いものをつくらなければいけないのです。でも、僕はお笑い芸人の文脈なので「ライブ感」を大切にして演劇を作っています。わざと、その日の「出来事」を詳細に再現することはできない様にしているのです。

僕は、現実を再現するというよりは、役に入りきった俳優が現実世界にちゃんと”いる”ようにしたい。それが成功すれば、そこから現実は広がり、劇場空間は侵食されます。

それを僕は「イリュージョン」と呼んでいます。その空間は、現実とフィクションの間に現れる違うレイヤーです。四次元空間です。

その「イリュージョン」を自在に使えるようになりたいので、ワークショップで実験し、メソッドを確立していきたいのです。

戯曲は「設計図」ではなく「旅のしおり」

戯曲は、設計図とされ、そこに細かく指示が書かれ、演出家と俳優はそれを緻密に再現していく演劇が多い。それも素敵なのだが、僕はどうしても性分的に設計図通りに作るのが苦手です。プラモデルとかも最初から説明書を読みません。だからいつも変なものが出来上がっていました。他人の戯曲を演出する場合はそうはいきませんが、自分の戯曲の時はどう変わってもいいと思っています。出来上がっていく段階で、構成的にどうしても譲れない個所は出てきたりしますが基本的にはどうなってもいいです。

感覚的には「旅のしおり」」だと思っています。予定がざっくり書いてあるんだけど、時間進行などはゆったり目に書いてあって、余白の部分はある程度自由行動できるし、時間が少し押しても大丈夫で、なんなら前の予定押したら次の予定カットしちゃう?みたいな感覚。

どんなワークショップなのか?

なんかこのままずっと長文を書いてしまいそうなので、この続きはワークショップ冒頭で座学的な感じでお伝えします。僕の考える「現代口語演劇」や「同時多発会話」のこと。「演じる」ということ。「俳優とは?」などなど。こういうこと真面目に話すの初めてかも。僕は芸人なので、演劇の文脈や歴史から語るというよりは経験から得たものを感覚でお話します。

そして肝心のワークショップの中身です。

1・テイストをお渡しするので、そのテキストを本読みします。
2・次に、そのテキストを読みながら自由に動いてもらいます。
3・テキストの語尾や言い回しなどを自分の言いやすい様に変えて演じてもらいます。
4・テキストの台詞の間に、勝手に想像したその役のモノローグを即興で入れてもらいます。
5・違うシチュエーションでその役として即興劇をやっていただきます。
6.もう一度、テキストを本読みします。
7・テキストを置いていただき、テキスト通りの会話の筋道ではあるが、逸れても良いから、その役には入り切りながら演じてもらいます。

この続きもありますが、全部書いてしまうとワクワクしないと思うのでここまでで。このな流れもざっくりとした予定なので当日微調節したり、みなさんからのアイデアを聞いたりして変わっていきます。

僕がみなさんに教えるというワークショップではありません。みんなで一緒に手探りで、役として”いる”ということを見つけましょう。一緒に実験して発見しましょう。僕も学ばせていただきますし、一緒にワクワクさせていただきます。


ワークショップ詳細

8月21日(日)
会場: STUDIO MATATU

①12:30〜16:30まで
予約 http://tiget.net/events/197419

② 17:30〜21:30まで
予約 http://tiget.net/events/197420

各回 参加費:2500 定員10人
*見学のみの場合は¥1,000 定員5人


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