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夏と秋のセッション  8月26日

家から見える光岩寺の桜は、緑に黄色の葉が混じり始めた。緑自体も夏の鮮やかさから乾いた色へ。風に揺れる黄色の葉っぱたちは、こちらに信号か何か合図を送るかのように、光を反射してチラチラと輝いている。
朝晩の空気もわずかに涼しく感じられる気がするが、今日もまだ蝉が鳴いている。早朝は鳥の鳴き声や秋の虫とのセッションの時間。
それも気温が上がるにつれて蝉の声が優勢となっていき、季節のわずかな移ろいのことなど、日中の暑でいつの間にか頭の隅へと追いやられてしまうのだ。
先日、蜂に刺された左手の甲の腫れは、思っていたよりもひどくならずに済んだ。指の骨の輪郭も見え始めたから、腫れもほぼ引いて本来の私の手に戻ったのだろう。腫れている最中は、元はどうだったかわからなくなってしまいそうで、ふと、右手を見ると血管が浮き出て歳相応に皺もあり、あぁこんな手だったかと確認する。薬を塗った左手は艶が出て、指も腫れていたのでこぶしがギューッと握れないものだから、焼きたてのクリームパンみたいにまん丸でちょっとおいしそうだった。なんて、のんきなことは無事だったからこそ言っていられる。まだまだ油断はできないが、気づけば陽が暮れるのが早くなってきて、蜂のパトロールも早じまいしているようでホッとしている。

蝉と秋の虫たちのセッションは、日暮れ間近にも始まる。蝉は暗くなる寸前まで粘り続けているが、次第に耳に届くのは、秋の章へとページがめくられるように、コオロギや鈴虫の声があちこちから響き出す。暑さがこれだけ尾を引いてはいるものの、小さい秋はそこかしこに。

8月26日 晴れ 最高気温36℃ 最低気温23℃