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東カワウソへ  4月9日

2泊3日で北海道東川町にて「東カワウソ」open準備中の萬田康文くん
(東京から東川へ移住する写真家であり、料理人であり、釣り人でもある)のもとへ。夫と、新潟・エフスタイルのお二人(10日に合流)との旅。
お互い完全なるオフである。
友であり家族のような存在。そんな萬田くんの新しい「場」を訪れるのは、嬉しいのと同時に、ソワソワと緊張するような感覚もあって
なんとなく落ち着かない心地で出発。
関東は大荒れの空模様だったようで、福島も激しい雨。
心配した通り、ANAとはいえプロペラ機は離陸後、乱気流に呑まれるように
上がったり下がったり揺れが大きくて怖くなる。しばらく本など読める状況ではなく、無事に到着できるだろうかと心配症は不安になったが、ほどなくして雲の上。機内サービスのコーヒーを飲んでようやくホッとした。

購入していたけれどしばらくページを開くことができずにいた、
くどうれいん「氷柱の声」を読み始めてすぐ、涙がじわっと滲んでしまった。涙ぐんでも隣の席は夫だったし、私は窓際の席だったし。電車じゃなく飛行機の中で良かった。旅のお伴本ではなかったかもしれない。家でじっくりと静かに読むべき本だったかもしれない。でも、そんなことは途中から関係なくなっていき、ぐいぐい本の世界に引き込まれていく。うぅ。深い。
朝からのソワソワもどこかへ消えて、心がしんとなった。
あと数ページ残したところで着陸。心のどこかはまだ本の中。
続きはまた帰りの飛行機で読もう。

旅の移動は福島空港→新千歳空港1時間半ほど。
その後新千歳空港からレンタカーで東川までは車で約3時間。
北海道に到着したら雨ではなく、まさかの雪。三春も3月はドカドカとよく雪が降ったが、桜も開花し始めてさすがにもう雪景色を見ることはないのだろうなと、少し寂しく感じていた。それが4月にまた雪景色が見れるとは!と、どこかウカレている自分をひた隠し。ペーパードライバーは3時間の運転を夫にお任せしている手前、無邪気にはしゃげない。が、福島ともまるで違う北の大地の雪景色はまた格別で、話半分で窓の外の景色に目が離せなくなってしまう。
空が広く、山は雄大で畑も広い。道はどこまでもどこまでも果てしなく
まっすぐで、そのまま前へ進めばいいんだよとでも言われているみたいだ。

途中、念願の?セコマ(北海道のメジャーなコンビニ、セイコーマート)に立ち寄り、お買い物。プライベートブランド商品がたくさんあることや、ワインなどアルコール類の品揃えと価格の安さにも驚き。
北海道だから乳製品の質がいいのか、カフェラテが美味しかった。
朝ごはん用にセコマPB生乳ヨーグルトを購入(これ、とっても美味しかったです。しかもリーズナブル!)

「東カワウソ」
完成した写真は何度も見ていたというのに、実際建物を目の前にすると、
なんだか夢の中のようで現実味が足りない。昨年の夏には棟上げして足場が組まれた状態も間近に見ていたのだが、それにしてもだ。
いやぁ~いい建物!
ドキドキしながら扉を開けて中へ入ると、すでに美味しそうないい香りと
真新しい建物の匂い。自分が使いやすいように考え抜かれた厨房には
そこにいるのがあたり前のように(まぁ店主なのであたり前なんですけど)
萬田くんがいて、すでにあらたなその「場」の空気は淀みなく、サラサラと
流れ始めているようだった。
私の緊張のようなソワソワ感など、その清流にサラリと流されて、
あっという間にどこかへ消えてなくなってしまった。
*↑写真はウェルカムカプチーノ!

その後は隈研吾建築のお風呂・キトウシの森きとろんへ。
ここのサウナは見晴らしも良くて清潔だし、サウナが苦手な私が
初めて「整った!」と思えた。

夜は萬田邸を設計したご近所monocraft清水家でごはん。
奥さんのユリヲちゃんや、萬田邸の造作家具などを手掛けた東10号工房
遠藤さん夫妻も一緒に。料理の腕を振るうのはもちろん萬田シェフ。
みんな蔵前にいた頃に出会ったお仲間だ。

この日のシェフのメニューは
ポテトフライ、アスパラガスのオムレツ、
ブロッコリーとアンチョビのパスタ


4月9日(火) 東川は雪! 夕方には雪は止み、ドラマティックな夕焼け空のショーで一日が幕を閉じる。積もった雪で外が明るかったためか、
眼が冴えて日の出前に起きてしまい、この日記の下書きを書いた。