見出し画像

東カワウソ3日目 帰途へ 4月11日

昨夜睡魔に襲われて、数時間横になって眠らせてい頂いたものの、
その後はまた眼が冴えてあまりよく眠れなかった。
だいたいいつもは旅先だろうが、どこでもどれだけでも眠れるはずなのに
こんなことは珍しい。
それでもやっとうつらうつらして再びハッと目が覚めると明け方。
まだ薄暗いが、これから新しい一日が始まろうとしているところだった。
家ならそこで二度寝となるのだが、そのまま寝てしまうのが
なんだかもったいなくて早起き。夫は隣で熟睡中だ。
階下に降りると、今朝もシナモンロールをブラッシュアップすると、
パン種を仕込み中の萬田くん。
集中できる朝のひとりの時間は大切だ。これも昨日の「孤独」の話の続き。
「孤独」は寂しいのではなく、「個=自分」を深く深く知ることではないだろうか。というわけで邪魔をせぬよう、私は散歩へ。

すぐ近くにある大雪遊水公園。人の手が入って整備されている場所
とはいえ、大自然が間近にある感覚だ。
遠くでゴールデンレトリバーを散歩させている人がいる以外は誰もいない。
野鳥の鳴き声と風、水が流れる音。耳に届くのはそれぐらいで、呼吸をする度に自分の奥底に溜まっている澱のようなものが解けて流されていくようだ。
遠くには雪で真っ白に覆われた大雪山、旭岳が一望できる。
空が広くて清々しく、こんな景色を毎日目の前で見れるだなんて。
萬田家に軽く嫉妬してしまうほど美しい場所。

朝食にはブラシュアップされたシナモンロールとカプチーノ。
清水さんと覚さんも一緒にみんなで朝ごはん。
昨日も美味しいと思ったけれど、今日のシナモンロールは
もっと美味しかった。
お店がスタートしたら、シナモンロールだけではなく、朝ごはんに
削りたての鰹節をかけた猫まんまが食べられる日もあるらしい。
しかも近くにある養鶏所の美味しい卵を使って卵かけごはんにもできるとな。
少し先の未来のことを、みんなでこんなにもワクワクしながら
考えられるって幸せなことだなぁ。
in-kyoをはじめたばかりのこと、駒形へ引っ越しをしたときのこと、
そして三春でまた移転openしたことが思い起こされる。

福島空港行の飛行機に間に合うように帰るために、後ろ髪を引かれつつ
東川を午前中に出発。途中、新千歳空港近くの街中でお昼ご飯にラーメン。
福島へ近づくと、上空からは満開の桜があちらにもこちらにも、
ふんわりふんわり淡くやわらかな綿毛のよう。
夕方に福島空港到着。
夕焼けと桜色が混ざり合うような日暮れの道を車で家路へと向かう。
山や桜の木々、家々に灯る明かりとの距離が近い。
あぁ私たちはここで暮らしているんだなぁと、海外から
帰ってきたような錯覚に陥る。まるで夢の続きでも見ているような。
あの町、この町。様々な土地で暮らす友人たちの顔が浮かぶ。
さてさて。私たちはまた私たちの暮らしを続けよう。

4月11日(木)晴れ
スイとモクは義父母にもすっかり慣れたので、安心して留守中の面倒を
お願いしていた。が、さすがに帰るなり二匹ともスリスリ、ベタベタ
甘えてくる姿がかわいらしい。スイはいつものように、何やら
むにゃむにゃと留守中の報告をしていたが、解明できず。