チームのアウトプット効率を重視する。SmartHRのCS Opsで始めた「ゆるふわスクラム」の運用手順
SmartHRでCS Opsをしている長谷田( @TakaHaseda )です。
CS OpsではチームのタスクをTrelloで可視化し、Sprintに区切って実行に写しています。それらがある程度の形になってきたので「ゆるふわスクラム」としてまとめてみました。
CS Ops(カスタマーサクセス オペレーション):
カスタマーサクセスマネージャーがより顧客に向き合えるように、顧客分析やデータ管理・運用フローの整備などを行う、カスタマーサクセスのバックオフィス的な機能を担う役割
この記事が同じような課題を抱え始めた3~5名位のチームのお役に立てると嬉しいです!
チームの背景
もともと、CS Opsのタスクはメンバーが各個人で管理していました。
誰がどのくらいのタスクを抱えているかはお互いにある程度把握しているものの不明瞭だったし、やることが明確でない課題をタスクに落とし込むことも各個人に任されていました。
誰かがボールを落としても他のメンバーが気付ける可能性は低い状況です。
また、チームとしては、効果的なアウトプットができるように、横断的な優先度も見る必要がありました。
導入した「ゆるふわ」なスクラムと2つの決めごと
チームとして共通の目標に向かってタスクを進めていくため、スクラムの思想が取り入れられそうだと思い、簡略化した「ゆるふわ」なスクラムを始めてみました。
導入にあたってチームでは以下の2つの認識を合わせました。
・スプリント管理はチームのアウトプットの最大化のためであり、進捗管理は出来てない人を責め立てるものではない
・全体最適な優先度をつけながら、チームから出せるアウトプットを増やしていく
何が「ゆるふわ」なのか
以下は、SmartHRのCS Opsチームが実践している「ゆるふわスクラム」の手順です。
この「ゆるふわ」なスクラムでは、1) タスクにポイントを振っておらず、2) ベロシティを計測していませんし、3) スクラムマスターも置いていません。
しかし、共通の目標に向かってチームでタスクを進めていくというスクラムの思想を手軽に取り入れられます。
【1】カンバンを用意する
チームのタスクが1箇所に集まるようなカンバンを用意しました。カンバンにはメンバー全員が過去に使ったことがあるtrelloを採用しています。
カンバンには以下の5つのボードを用意しました。
1. Inbox:やりたいこと、雑多なアイデアが入ります。 (やるかやらないかは分からないので、期日は入れなくて良い)
2. Backlog:期日やアサインが決まってるタスクが入ります。 (やることが決まっているので、仮でも良いので必ず期日を入れる)
3. Sprint:そのスプリントでやるタスクが入ります。
4. In Review:担当者が終わったと判断したらここに移動させます。(後述するデイリースクラムで「Done」に移動させるまでの一時的な場所です。)
5. Done:完了したタスクが入ります。
【2】スプリントプランニング(計画)をする
1スプリントは1週間とし、1週間に1度、60分かけてメンバー全員でそのスプリントの振り返りと次のスプリントの計画を立てることにしました。
スプリントプランニングは、以下の順番で行なっています。
1. スプリントの課題の話し合い
ここでは主に予定通りに進まなかった理由を振り返ります。予想できなかったことは甘く見積もりがちなので、何が想定外だったかのをチームで学習することに重きを置いています。
2. 「Sprint」のボードにタスクを入れる
タスクを「Sprint」のボードに入れていきます。必要に応じて「Backlog」に入っているタスクも移動させます。
Sprintに入れるタスクの完了の定義を必ずチーム全員で確認しています。
タスクを決める時のTips
・タスクのアウトプットについて話すと言語化しやすくなる
・タスク名は動詞で終わるようにする
・着手する内容をチェックリストに記載する
特にチェックリストに書く内容は具体的なほど良いです。
いざという時に、他の人のタスクを自分が着手できる粒度で記述すればOKとしています。
タスクを実行するときの将来の自分を過信し過ぎないようにしたいですね。
3. 期日とアサインを見直す
そのスプリントに入っているタスクの期日を見直します。本当にできるのか、優先すべきものはどちらのタスクなのかを話し合います。タスクの偏りがあれば、メンバーでの分担も話し合います。「Backlog」から「Sprint」に移したタスクの期限は作成時のままだと思うので、このタイミングで再確認します。
(0. スクラム自体の見直し)
最初のうちは、この「ゆるふわスクラム」自体の振り返りも入れるのがオススメです。スクラム運用の全体を振り返ることで効率化できるようになります。
【3】デイリースクラム(進捗確認)をする
デイリースクラムとして、毎日の夕会では進捗状況の確認や、アウトプットが出たタスクの確認を行います。原則、全員参加です!
内容は以下の2つ。
1. アウトプットの確認
「In Review」で完了になっているタスクを1つずつ確認していきます。そのタスクの完了条件になっているアウトプットをチーム全員で確認していきます。
(完了後のタスクに何かあっても、それはタスク実行者ではなく、チームとしての連帯責任です)
アウトプットがOKであれば、「Done」に移動させます。
・後続のタスクがあれば、忘れる前に「Inbox」や「Backlog」に追加する
2. 期日が近いタスクの確認
「Sprint」にある、締め切り期日が翌日までのタスクを1つずつ全員で見返します。
すでに、少し着手していることもあると思いますが、上手くいっていないことや、助けが必要なことを共有し合います。
同様に進捗が芳しくないタスクについても、障害となっている物事を共有し合います。
それらに対してチームで何ができるかを話し、次のアクションをチェックリストに書き込みます。
おまけ
チームのタスクを1箇所に残しておくことで、評価のときに見返して参照できました。大きなプロジェクトの記録は残っていても、日々のタスクの記録は意外と残ってないことも多いので重宝してます。
おわりに
チームのアウトプットの最大化のために「ゆるふわスクラム」を導入した結果、チームとしてのアウトプット量も増え、チームメンバーからは仕事効率が体感で3倍に上がったという声も上がっています。
改善を繰り返しながら「ゆるふわスクラム」は他チームにも広がりつつあり、今は「Sprint」を「Current Sprint」と「Next Sprint」に分割してみたりと改良を加えたりしています。
CSチームでは、個人のスキルや能力が最大限に発揮できるよう、各メンバーが創意工夫しながらチームで仕事をしています。(他の職種も同じはず)
SmartHRでは、カスタマーサクセスマネージャーおよび様々な職種で絶賛採用中です!
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