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子どもが新しい世界に興味を持つきかっけは”大人のアプローチ方法”にあり

「うちの(家の / クラスの)子ども達は、自分が好きな事には集中するけど、そうでないとまったく参加しないんです…」
これは幼稚園や保育園、こども園の先生方や保護者からよくお聞きするメッセージです。実際にそういうことは多々あるので、「どうしたらその子が興味が無いことにも率先して参加してくれるか?」という視点で見たら非常に悩ましいことです。

まずは大人側の言葉を数文字入れ替えて考えてみる

大人がこどもに何かして欲しいと思う時によく使う言葉として、「〜してくれる」「〜させる」という言葉があります。むしろもう無意識的にこの言葉で発言や行動をしていることが多い気がします。でも、これをあえて「〜したくなる」に入れ替えてみるのがオススメです。
子どもと関わる時に、「〜してくれる」「〜させる」「〜したくなる」の3つの言葉には、同じ方向へ進むにしても大きな違いがあるのです。そこで、いつもの癖をやめて「〜(何々を)」の後をたった5文字「したくなる」に替えるだけで、大人側のアプローチ方法や考え方を大きく変えることができます。そしてそれが子どものチャンスが増えるきっかけにもなります。

「〜してくれる」

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「〜してくれる」は、大人側が、子どもに”何かをしてもらう”というスタンスです。たとえば困っているときにお手伝いをしてもらうとか、調味料を取ってもらうとか、どちらかというと、子どもが自発的に何かをしてくれうという意味合いもありますが、冒頭のように「どうしたら」が頭につくと、大人が子どもにお願いをするようなスタンスが多いと思います。
こうなると、時には交渉も必要になってきます。交渉ということは、相手に納得してもらうためにアクションが必要になりますし、納得してもらえない場合は、アクションが起きないことになります。

「〜させる」

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「〜させる」は、「〜させていただく」などになれば相手に敬意を表す表現になったり「好きなように」が付けば、自由にまかせたり、することを許すといった意味になりますが、どちらかというと意識的には”相手に何かをさせる”などの”命ずる”といった意味合いで使う事が多い言葉です。
こうなると、子どもからすると「有無を言わさず何かをさせられる」というニュアンスになる事が多いです。もちろんこういった場合が必要なこともありますが、どちらかというと、パワーバランスから生まれる行動です。

「〜したくなる」

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「〜したくなる」は、子どもが自ら何かをしたくなるという意味合いの”したくなる”です。実はこのワードが非常に重要なのです。
子どもが”興味を持たないからアクションを起こしてくれない”という事柄も、”興味を持つ事柄”になるアプローチをしてみると物事が大きく動き始めるかもしれません。
子どもはそもそも興味を持たないのではなく、知らないから興味を持つきっかけが無い場合もあるし、子どもそれぞれが持っている経験のなかから考えると、興味を持つに値しない場合もあります。
つまり、大人側は「どうしたら子どもが○○○(何かの行動)をしたくなるか?」という視点で子どもにアプローチをすると、場の活気や空気感、熱量が大きく変わる可能性があるわけです。

「〜したくなる」アプローチ

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里山の頂上にみんなで登ることになった時、こんなことがありました。
この提案ですぐに「登りたい!」となる子どもと、「登りたくない!」という子どもがいました。「登りたくない!」の内訳は皆一緒ではなく、じっくりと聞いてみると色々な理由がありました。

Aタイプの子ども達:疲れるから登りたくない。
Bタイプの子ども達:なんとなく登りたくない。
Cタイプの子ども達:今○○○がしたいから登りたくない。

そんなタイプの子ども達が好きな事や心が動くアクションを探ってみると、実に様々で、いくつか挙げるとこんな感じです。

・冒険好き
・お花好き
・昆虫採取好き
・急坂を駆け下りるのが好き
・木登りが好き

そこで僕はそれぞれの心が動くアクションに対して、こんなことを紹介したり、教えたりしてみました。

・冒険好き
→ロープを渡して使い方(道中の”面白い”悪路の登り方)を教える
・お花好き
→足下のお花の紹介と、山の上で出会えるお花とその面白ポイントの紹介
・昆虫採取好き
→山の上で見つけられる虫とその捕り方の紹介
・急坂を駆け下りるのが好き
→山の上から下まで一気に駆け下りる面白さと駆け下りるときのコツ
・木登りが好き
→山中、山頂にある木の種類と高さの紹介

実際はもう少しやりとりがあったのですが、大枠はこんな感じです。その結果、子ども達は「登りたくない」「登りたい」に変化して、それぞれが楽しみ方を見出して里山の上に登っていきました。
この日は子ども達がはじめて里山の上に行った時だったので、子ども達が頂上に着いた時は、その頂上に拡がる大きな広場や、さらにその先に枝葉が伸びている道、たくさん隠れている虫たち、そして謎の大きな洞穴など、その魅力を知ることができました。以降はこの山の虜です。
以降は里山の頂上がどんな場所か知ったこともあり、誰もがそれぞれの重く的と楽しみを抱えて走って登っていきます。つまり、知った方が絶対に楽しいだろう、世界が拡がるだろうことを知らないままで終わらずに済んだということです。
全てにおいて大人がこういう手法をとる必要はないと思いますが、子どもが新しい世界に出会うための「食わず嫌い」を無くすのには大切な手法だと僕は思います。

「〜したくなる」はアクティブラーニングのはじまり

こどもにとって、自発的になにかをしたい、することは、大人側が交渉したり、強制するよりも、多くの学びがあります。
きっかけは大人のアプローチ方法にかかっていることが多かったりします。みなさんも「〜したくなる」の視点から子ども達に様々なアプローチをしてみてください。

スタッフが毎回僕の著書「ネイチャーエデュケーション」に書いたポイントを簡単にまとめてSNSにアップしてくれています。
気軽に読めて実践して頂けると思いますので是非見てみてください。

この元となった本は、「ネイチャーエデュケーション」と「自然あそびで子どもの非認知能力が育つ」です。こちらもよろしければ是非読んでみてください。


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