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AIが、野田秀樹作らしき戯曲を書き上げるのは、何年後なのか?

 NODAMAPが公演ごとに発行しているパンフレットは、中身がぎっしり詰まっていて読み応えがある。しかも、近年は、佐野研二郎が、クリエィティブディレクション、アートディレクションを統括しているので、デザインの観点から見ても、「なるほど、今回はこうきたのか」と感心するばかりだ。

 今回の『兎、波を走る』のパンフレットでは、野田秀樹がロシア文学者の沼田充義と脳科学者の中野信子のふたりと対談している。専門が異なるふたりだけれども、AIの話に触れているところが共通している。

 果たして、AIは、戯曲を書くことができるのだろうか。もちろん書けるとといえば、今でも書けるのだろうけれど、シェイクスピアやチェーホフのレベルに達するのは、永遠に無理だろうと私は信じている。
 もっとも中野は「ただ、メタ的な視点を実装し、全体をテクニカルに構成し、多くの人が”おもしろい”と思えるものを出してくるのはもうちょっと先なのでは……あと30年くらい?」と語っている。とはいえ、30年が20年になり、いや10年になる可能性は、高いのではないかと私は思っている。

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年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。