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野田秀樹の宇宙

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現代演劇を代表する劇作家・演出家・俳優の野田秀樹についての劇評、エッセイをまとめました。 近年の野田の仕事が見渡せるマガジンです。長谷部は、二十代から野田の仕事を見守っています。…
このマガジンは、近年の野田秀樹の仕事を振り返るだけではなく、現在の動きもフォローアップしていきます…
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記事一覧

【劇評家の仕事1】 野田秀樹の『正三角関係』を観る前に、『カラマーゾフの兄弟』を…

 劇場に行く前に、戯曲を読むかどうか。  これはなかなかむずかしい選択です。  もっとも…

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長谷部浩
3週間前
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来週の月曜日、野田秀樹について、まとまった講義をします。

 月曜日の講義のために、この数週間、準備を進めてきました。原稿はようやく昨日、ほぼ完成し…

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長谷部浩
5か月前
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【追悼】近くて遠い人。写真家、篠山紀信の想い出。

 神出鬼没の人だった。  篠山紀信と会った場所を思い出せばきりがない。青山のスタジオはも…

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長谷部浩
5か月前
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【劇評306】野田秀樹渾身の問題作。『兎、波を走る』は、私たちを挑発する。十枚。

   ドキュメンタリー演劇ではない。プロパガンダ演劇でももちろんない。  けれども、モデル…

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長谷部浩
1年前
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『新潮』の戯曲、『文學界』の劇評、7月7日、七夕ですので、あわせてお読みいただけ…

 雑誌『新潮』に野田秀樹さんの戯曲、『兎、波を走る』が掲載され、今日、七夕の日に、書店に…

長谷部浩
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松たか子の才能と、忘れられぬ思い出。『兎、波を走る』を見て。

 朗読劇ではなく、モノローグの名手として、松たか子は長く記憶されるだろうと思う。  その…

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長谷部浩
1年前
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なかなか読み解けぬ『兎、波を走る』を二度観て。

 気の張る劇評を書き終えて、再校を読んでいます。  急に昨夜、細部で確認できていない部分が気になり、今日のマチネに行くことに。明日は月曜日で休演、火曜日の午前中が再校の戻しなので、今日行く以外に選択肢がありませんでした。 幸いなことに、今日の席がなんとか確保できて、初日以来二度目の観劇になりました。  舞台に余裕が出てきたのはもちろんです。野田作品に絶対に必要な遊びの部分を、秋山菜津子、大倉孝二、山﨑一が担っていて、深刻きわまりない題材ですが、笑いもあり、平行線が取れてきた

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AIが、野田秀樹作らしき戯曲を書き上げるのは、何年後なのか?

 NODAMAPが公演ごとに発行しているパンフレットは、中身がぎっしり詰まっていて読み応えがあ…

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長谷部浩
1年前
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高橋一生、その光と影

 現在、東京芸術劇場で上演されている『兎、波を走る』(野田秀樹作・演出)で、高橋一生は、…

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長谷部浩
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『兎、波を走る』をめぐって。

 野田秀樹のリソースについては、ほぼ同年代のために、ある程度想像がつく。  今回の『兎、…

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長谷部浩
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【劇評288】東京キャラバンが帰ってきた。野田秀樹が仕掛けたケレンが炸裂する芸能者…

 2015年10月、「東京キャラバン」の公開ワークショップを、駒沢公園で観てから、ずいぶん…

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長谷部浩
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【追悼】高都幸男と空中楼閣

 高都幸男さんが亡くなった。最後に会った日を忘れてしまうくらい音信がない。おそらくは、野…

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長谷部浩
1年前
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俳優マルチェロ・マーニさんの優しさと哀しみ。

 俳優のマルチェロ・マーニさんが亡くなった。深いお付き合いではなかったが、とびきりの笑顔…

長谷部浩
1年前
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野田秀樹『Q』(初演2019年)を思い出す。なんだ、私はこのときから、邪悪な力のことを考えていたんだ。

 現在、東京芸術劇場で上演中の野田秀樹作・演出『Q』の初演について、私は雑誌『悲劇喜劇』(2020年1月号)に、十五枚の劇評を書いている。  野田の『野田版 研辰の討たれ』が初演のときには、歌舞伎座を大きく震撼させたが、十八代目勘三郎襲名の折、再演では、福助が扇をかざして「あっぱれじゃ」と言い放った部分も、それほど違和感なく観ることができた。初演と再演のあいだには、仮にまったく同じ演出だとしても、時代の変化とともに、私たちの受け止め方は、ずいぶん隔たりが生まれる。 初演の

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