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暗澹たる坂道へ。パラリンピック観戦という「必修」がなにをもたらすか

 あなたは「必修」という学校のプログラムが好きでしたか?

 小中高校生らが学校単位で参加する「学校連携観戦プログラム」の実施について、話題になっている。「災害級」の医療態勢であるにもかかわらず、性懲りもなく国際的で大規模な大会を開く言い訳にされている。
 
 私の専門に歌舞伎があり、国立劇場の「歌舞伎鑑賞教室」を高校生のときに観に行った。なんの演目だったか忘れたが、解説の岩井半四郎が、生徒のうるささに怒鳴ったのを覚えている。

ともかく、強制はいけない。もちろん国立劇場の「歌舞伎鑑賞教室」が、無駄だというつもりはない。歌舞伎に興味を持つ少数の生徒と、歌舞伎を生涯観たくなくなる生徒を作りだしている。これは、「生徒に対する強制」が必ずもたらす成果について、厳しくいっているだけだ。

 もちろん、パラリンピックを小中学高校生に、義務として見せる意義は、理屈を立てればいくらでもあるのだろう。けれど、観たい生徒もいれば、おおよそ関心がない生徒もいる。逆に、観たくない生徒もいるだろう。

 平時の「歌舞伎鑑賞教室」でさえ、歌舞伎が嫌いになる生徒がいるとすれば、パラリンピックもそのような結果をもたらす危険はないのだろうか。

 いや、生徒には嗅覚による判断が先行する。菅首相や小池都知事らの都合によって、自分たちが感染の危険を冒して、競技場に、強制的に連れて行かれることに対して、当然、反感を持つだろう。

 その反感は、政治家にだけ向けられるのだろうか。大きな意味で、日本社会を嫌悪することになるのだろう。この東京の未来どころかこの数年の行く末が案じられる。私たちは、暗澹たる下り坂へと向かっている。


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年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。