菊之助はテレビの演技を学びつつあるのか? 『グランメゾン東京』と舞台俳優。
『グランメゾン東京』、菊之助の演技を見ていて、急に亡くなった平幹二朗の芝居を思い出した。
平は、俳優座養成所の出身である。蜷川幸雄の舞台では、初期、および後期に偉大な仕事を残した。ところが、大河ドラマなどで見る平の演技は、なぜか画面のサイズからはみ出していた。
『樅の木は残った』(1970年 NHK)は、平にとって画期的な作品だった。仙台藩の御家騒動を扱ったという意味では、歌舞伎の『伽羅先代萩』の書替といってもよいだろう。
平の演じた原田甲斐は、『伽羅先代萩』では仁木弾正に相当するのだろうか。山本周五郎の原作自体が、読者に広くひらかれていたから、平幹二朗は存分に「たっぷり」な芝居をしていた。
尾上菊之助は、日曜劇場の前作『下町ロケット』では、目を剥くような大仰な演技が目立った。こうした芝居は、三階まで芝居を届かせなければならない歌舞伎座では、必要とされる。「見得」に代表される誇張された演技は、三階奥まで、マイクなしで届く発声とともに、傾く役者にとっての日常なのだろうと思う。
年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。