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再婚相手は、ブレーキの壊れた自転車。(久保田万太郎、あるいは悪漢の涙 第四十五回)

鎌倉

 昭和二十一年十二月、五十七歳の久保田万太郎は、三宅正太郎夫妻の媒酌により、三田きみと結婚している。前妻、京の死から十一年を隔てての再婚である。

 当時、文部省文化課長だった作家の今日出海は、万太郎に、実はきみと結婚の約束をしたのだと突然知らされ、顔を曇らせた。
 旅館を経営していた三田の三姉妹をつい二、三週間前紹介したのは、今だったからである。

 それには理由がある。人がよいといえば止めどなくよいのだが、次女の久子が嘆くほど、きみは「ブレーキの壊れた自転車」だった。

 少しでも気を許せば買いだめの酒も飲んでしまう。男をつくってずるずる引き摺られて行くようなところがあると結婚の行末を案じたのである。

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年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。