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長谷部浩の俳優論。

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歌舞伎は、その成り立ちからして俳優論に傾きますが、これからは現代演劇でも、演出論や戯曲論にくわえて、俳優についても語ってみようと思っています。
劇作家よりも演出家よりも、俳優に興味のある方へ。
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#猿之助

猿之助の懲役三年、執行猶予五年の判決確定を受けて。思うこと。

猿之助の懲役三年、執行猶予五年の判決確定を受けて。思うこと。

 懲役三年、執行猶予五年(求刑懲役3年)の判決を、重いと思うか、それとも軽いと思うかは、判断がむずかしい。
 四代目市川猿之助の舞台復帰が前提としてあるのであれば、執行猶予5年は、重く受け止めるべきだろうと思う。
 松竹は興行会社である。

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熱狂させる力 亀治郎の会の十年 

熱狂させる力 亀治郎の会の十年 

 四代目猿之助が自費を投じて、長年続けていた「亀治郎の会」は、この歌舞伎役者の意欲と方向性を読み取ることが出来ました。本来、猿之助は、こんな役者へと進んで行きたかったのだとよくわかります。雑誌『演劇界』の求に応じて書いた原稿を掲載します。
        

 平成十四年八月二日、第一回亀治郎の会が、京都芸術劇場春秋座で幕を開けた。演目は、『摂州合邦辻』と『春興鏡獅子』。玉手御前と小姓弥生後に獅子

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【劇評284】技藝を追求する團十郎の弁慶。『勧進帳』で幸四郎と猿之助が襲名を盛り上げる。

【劇評284】技藝を追求する團十郎の弁慶。『勧進帳』で幸四郎と猿之助が襲名を盛り上げる。

気力体力が充実したところに、未来を見据えた技藝が宿る。

 さて、『勧進帳』である。
 新・團十郎の弁慶、幸四郎の富樫、猿之助の義経。意外なことにこの顔合わせは、はじめてである。

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