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Googleのクチコミをビジネスの成功につなげる8つのアイデア

先日、「Googleのクチコミをビジネスの成功につなげる8つのアイデア」というテーマでウェビナーに登壇しました。

このnoteは、その登壇で話した内容をテキスト化したものです。PDFでご覧になりたい場合はこちらからどうぞ。

従来、Googleのクチコミの活用となると、「クチコミを増やして、ローカル検索の順位を上げよう」や「ネガティブなクチコミを対策しよう」という限定的な取り組みになりがちです。

もっと、クチコミの価値を引き出す大局的な取り組みを紹介します。

◎紹介すること
・クチコミの分析を通じた商売繁盛のヒントの発見
・クチコミ活用を通じたローカル検索のアクション率改善

❌紹介しないこと
・悪いクチコミの削除テクニック
・いわゆるMEO対策のノウハウ紹介

まず初めに。そもそも良い口コミとは??

最初に、良いクチコミを整理します。そもそも、ユーザーと店の想像する「良いクチコミ」は必ずしも一致しないからです。

店が想像する「良いクチコミ」=点数が高い・店を褒めている
例:「すごく美味しかった!最高!」⭐️5

ユーザーの想像する「良いクチコミ」=リアルな評価・情報量が多い
例:「唐揚げは揚げたてジューシーだったがしょっぱい。ニンニクが効いていて好きな人は好き。20時は混んでた」⭐️2

店舗にとって良いクチコミばかりを追い求めると、どんな問題があるのでしょうか?

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ユーザーによって良いクチコミの視点を忘れると、「どう高評価のクチコミを増やすか」ばかり考えるようになり、都合の良いクチコミばかりを追い求めるケースが増えます。

そうなると、「ネット上の評価は高いけど、行ってみると前評判ほどではなかった、騙された」と期待値のギャップを感じるお客さんが増え、長期的には、リポーターが増えない・炎上リスクなどのマイナスが多くなります。

真のクチコミ対策は「ユーザー視点の良いクチコミ」に注目することです。
サービス改善や返信、情報発信などで、ユーザーにとってもお店にとっても良い口コミを増やしていくのが、長期的な商売繁盛を作っていくのがポイントです。

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ユーザーにも店にも良いクチコミが増えやすい店舗の特徴
・口コミを書くための情報が店舗に多い
・ターゲットが明確。もともとお店を好きな人しか行かないから評価が高くなる
・自社サイトやSNSで情報発信されているので、期待値とのギャップが出にくい
・心理的安全性がある(写真撮影OK・クチコミ歓迎・身バレしても大丈夫)

Googleのクチコミをビジネスの成功につなげる8つのアイデア

「点数が高い=良いクチコミではない」ことを前提とした上で、Googleのクチコミの価値を引き出すアイデアを8つ紹介していきます。

■Googleビジネスプロフィール内の取り組み
・クチコミ獲得でアクションを促す
・クチコミ返信で機会損失を防ぐ
・クチコミ返信で魅力を伝える
・クチコミ返信でリピーター獲得
■Googleビジネスプロフィール外の取り組み
・サービスの課題を発見する
・クチコミの動機を発見する
・クチコミユーザーを探求する
・集客のヒントを発見する

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①クチコミ獲得でアクションを促す

コメント付きのクチコミが10件以上あると、アクション率が高まります。

まず、最優先で最低限のクチコミを集めることが重要です。特にアクション率が1%を下回っていて、クチコミが10件以下の場合は、獲得をまず重視しましょう。

※アクション率=来店アクション(サイトアクセス+ルート検索)÷合計検索数
※通話数を入れないのは、来店につながらないアクションが多いため。業種によっては追加するのもあり。

最初のクチコミを増やす取り組み例
・知人に来てもらい評価してもらう
・お客さんに声かけする
・店内に「撮影OK」「感想を教えてください」などのPOP、購入袋・包装にメッセージカード
・メルマガなどで感想を聞く(「クチコミ書いてください」より、「今日の感想を教えてください」の方が書かれやすい)
⚠️NG(ガイドライン違反)
・特典や高評価をお願いする
・「こう書いてください」と誘導する
・「今日のメニューやスタッフの接客のご感想を教えてください」ならOK

⚠️おすすめしないこと
・獲得件数をスタッフで競争させる→NG行為が増えたり、ユーザーにとって悪いクチコミが増える可能性がある
・点数に一喜一憂する→クチコミの中身ではなく、得点にしか関心がわかなくなる
・平均スコアを目標にする→ユーザーにとって良いクチコミを見落とす可能性がある

なお、「点数が下がるのが怖い」という不安があるかもしれませんが、自然な評価が3.0を下回る場合、そもそもサービスやビジネスを見直す必要があります。

②クチコミ返信で機会損失を防ぐ

クチコミ返信で、オーディエンス(クチコミを見ている方)に、正しい情報を発信し、アクション率が低下するネガティブ要素を払拭しましょう。

(返信パターン例)
A:不明や誤解の場合→誤解ではないか?という訂正と、「確認したいので連絡をください」と対応する姿勢を見せる
B:誤りの場合→事実で反論や訂正。ただし責めずに「お間違いではないですか?」と落とし所のある返信を
C:事実の場合→謝罪と改善策を提示。「今後こうします」と具体的にできればできるほどよい。事前にサイトやSNSに載せたり、当事者に報告すると有効

実際には、1つのクチコミに、A〜Cの要素が混在して書かれます。
実際の返信例(後日、クチコミの評点が上がり、内容も追記されました)
ケース:事実&誤り

コメント:「人によって質に差がある。開始が遅れたのにちゃんと謝られなかった。事前の連絡もない」

⭐︎1返信例:「この度はご満足頂けない点がございましたこと、誠に申し訳ございません。頂戴したご意見から調査致しまして、該当する担当に指導をさせて頂きました。担当から事務局に報告が上がってきておらず、大変失礼致しました。別途、事務局よりご連絡させて頂けます。
事前連絡につきましては、メール、電話でのご連絡は、かえってご迷惑になるケースもございますので、チャットでのご連絡に留めさせて頂いておりますこと、どうぞご理解賜れますと幸いです」

ユーザー視点では、返信を工夫すると、高評価・低評価のどちらも来店につながります

「点数」に惑わされることなく、オーディエンス目線で「このコメントがあると、店に行きたくなるか?店に行きたくなくなるか?」をジャッジした情報発信が必要です。

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裏ネガティブクチコミにも、返信で情報発信をしましょう。高評価だから放置するケースは少なくありません。

高評価のクチコミであっても、こうしたネガティブ要素が含まれていると、「この店、じぶんには合わなそう…」と敬遠される可能性があります。

裏ネガティブクチコミの要素例
・混んでいた=入れないかも?
・3ヶ月後に効果が出た=効果が出るまで遅い?
・初心者には難しい=難易度が高い?
・○○な人は苦手かも=自分も当てはまる?
・分かりにくいが=難しい?
・迷った=迷子になる?
・品切れ、売り切れ=無駄足になる?
・賑やか=騒がしい?
・常連が多い=一見さんには居心地が悪い?
・話しかけられる=一人で楽しみたいのに声をかけられる?
・色々教えてくれる=一人で選びたいのに声をかけられる?

クチコミ返信でオーディエンスに正しい情報を発信し、裏ネガティブ要素も訂正しましょう。

「点数」に惑わされないのがポイントです。

裏ネガティブクチコミ例:つくねが美味しい。いつも混んで入れないが、今日は入れた⭐︎5
オーディエンス目線:(混んでいるの嫌。待つのも嫌だし、せっかく行っても入れないのは嫌だから別の店にしよう)
返信例:予約いただくとすぐ入れます。あと、平日と午前中は比較的空いてますので、今度ぜひ。

③クチコミ返信で魅力を伝える

クチコミ返信で「補足解説」を加えると、アクション率がより高まります。

クチコミ:唐揚げが大きくて美味しかった
返信:当店の唐揚げは比内地鶏を使ったこだわりで、100gと平均の2倍のサイズの人気メニューです!

※なお、クチコミ返信の内容は、検索の対象になりません。キーワードを無駄に詰め込むのはやめましょう

クチコミ返信で「店名」を入れるのも地味に有効です(例:「当店」は→「○○では」)。名前を覚えてもらうことは、リピートのきっかけですし、直接検索・指名検索にもつながります。

注目度の高いクチコミ欄を駆使し、店名を覚えてもらいましょう。

改善前:この度は当店をご評価頂き有難うございます! 唐揚げは独自の製法とこだわった比内地鶏を使っています!

改善例:この度は「唐揚げ本舗渋谷店」をご評価頂き有難うございます! 唐揚げ本舗の唐揚げは独自の製法とこだわった比内地鶏を使っています!

④クチコミ返信でリピーター獲得

クチコミ返信は投稿者に通知されます

投稿者に好感を与える返信やセール情報、アフターフォロー、追加の商品案内をすることで、「また行こう」と思わせましょう。できれば昔のクチコミにも返信しましょう。

ただプライバシーに配慮する必要があります。思い出してもらう工夫は重要ですが、来店・当時のことを書きすぎると、怖がられたり、「個人情報を書いて欲しくない」と嫌がられて、クチコミが削除されてしまう可能性もあります。

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続いて、Googleビジネスプロフィール外の取り組みを4つ紹介します。

⑤サービスの課題を発見する

クチコミを分析し、ネガティブレビューの根本原因を探りましょう。

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ネガティブレビューの多くは、「知らなかった」「思ったのと違った」「提供・返答が遅かった」「スタッフの態度が悪かった」なので、実は仕組みで改善できる要素が少なくありません。

サービスの課題の発見は、Googleのネガティブレビューを減らすだけでなく、結果的にサービスの満足度を大幅に高めることにもなります。

1つのネガティブレビューの裏側には、数十倍もの不満足体験が隠れているからです。


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あるスクールでは、「お試しが分かりにくい」「契約内容を説明してくれない」「営業が強引」というクチコミが増えていました。

この課題の解決には、「どう返信しよう」ではなく、「お試しのFAQページを作る」「最後に感想を聞く」「契約に関する相談フォームやチャットボットを作る」などが、本質的な課題解決になります。

ネガティブレビューを本当に対策するなら、Googleビジネスプロフィール以外にも目を配る必要があります。

⑥クチコミの動機を発見する

クチコミの自然発生はそう多くありません。日本人は問題がなくても、そうそうクチコミを書いてくれない傾向があります。

ハードルを乗り越えて、書かれたクチコミの「特徴」を発見することで、サービスの強みやクチコミが書かれやすいポイントを見出すことができます。

テキストマイニングや頻出キーワード分析で、「クチコミされやすいポイントやタイミング」を発見しましょう。

逆に、競合店舗、姉妹店に多いクチコミが投稿されていない場合、「なぜ当店では同じクチコミをされないのか」を探るのも有効です。

ある小売店舗では、商品を買った当日ではなく、翌日にクチコミ投稿される傾向がありました。分析したところ、「寝起きに商品の効果を実感し、驚いてクチコミを投稿した」ことが多いのが分かりました。

こうした店舗では、購入者へは翌日アフターフォローをかねて、クチコミ投稿依頼(感想依頼)を送るのが有効となるでしょう。

⑦クチコミユーザーを探求する

クチコミをしたユーザーのデモグラやペルソナを探るのも時に重要です。クチコミを書いてくれやすい方がわかると、よりクチコミを増やしやすくなります。

Googleのクチコミは、投稿ユーザーをクリックすると「他にどんな店にどんなクチコミをしたか」分かる場合があります。

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また、現場の方なら、その投稿ユーザーがどんな方だったか分かる事も少なくありません。

オンライン・オフラインのデータを組み合わせて、「この人はクチコミをしてくれやすい」「この人はこういうクチコミを書きやすい」を分析してみましょう。

⑧集客のヒントを発見する

クチコミを1件1件細かく分析すると、新しい集客のヒントが見つかる
場合があります。

例:「妊娠していた時に、この商品があって助かりました」

こんなクチコミがあった場合、来店された別の妊婦さんにその商品に案内したり、Googleビジネスプロフィールの投稿やサイトで発信したり、広告やウェブサイト、チラシの新しいターゲットや訴求に活かすなど、新たな集客につながります。

チェーン店の場合、他の店舗でそうしたアイデアが見つかれば、横展開も有効です。

口コミ分析の手法例

定量的な分析と定性的な分析があります。

定量的な分析の例では、頻出語/テキストマイニング・クチコミの要素を分解しカテゴライズし、高評価クチコミと低評価クチコミの傾向を分析するカテゴライズ分析の2つがあります。

カテゴライズ分析は、1つのクチコミに含まれている要素(例:接客・サービス・施設/設備・価格・そのほか・特になし)を分けていく方法です。

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1つの口コミを複数カテゴライズするケースも多く、サービスはより細かく分ける場合もあります。

カテゴライズ例
クチコミ:チャーハンは値段の割に美味しくなかった。店員の態度も悪かった。駐車場は広い
→料理・価格・施設にカテゴライズ

カテゴライズした上で、高評価クチコミと低評価クチコミの傾向を分析します。比較的、商品・施設は高評価、接客・価格は低評価に表れることが多いです。

分析で大事なことは、クチコミユーザーを「一人の人間」として想像すること

クチコミユーザーを「一人の人間」として想像しながら分析するのがポイントです。

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なぜ来店し
どんな体験をし
どんな思考で検討し
どんな決断で購入し
どんな気持ちで利用し
どんな感想を持ち
なぜクチコミを書こうと思い、
どんな記憶でクチコミを書いているかを

「細かく想像する」のが一番大事です。「スコア」だけ見るのをやめましょう。

クチコミユーザーの気持ちを理解するには、ローカルガイドになってみるのが早いです。

クチコミを書く方の気持ちを大事にしながら、クチコミという「商売繁盛につながる最高の資産」を活かしていきましょう。

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ここまで読んでいただき、ありがとうございました。こちらは、登壇で話した内容をテキスト化したものです。PDFでご覧になりたい場合はこちらからどうぞ。

※GoogleのクチコミやGoogleビジネスプロフィールに関する登壇依頼もお待ちしております。お気軽にどうぞお問い合わせくださいませ。

「MEO対策」を冠するサービスに関しては、基本的に協力をお断りしております。あらかじめご了承ください。


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