長谷子ども会館の建物修復費用
こんにちは、鎌倉で育つです。私たちは、鎌倉の大仏さまのいる長谷で、いつでも、だれでも、自由に遊べる、みんなの居場所「長谷子ども会館」の再開を願って活動しています。
旧長谷子ども会館は、開館当時は子どもみらい部が担当し、運営・管理をしてくださっていました。閉館後、市所有の不動産の管理などを業務とする公的不動産活用課に担当が変わり、今に至っています。
その公的不動産活用課と、旧長谷子ども会館の修復・運営について、4月以降月に一度の勉強会をしているという民間の方々に話を伺う機会をいただいた今回(勉強会の様子はこちら↓)。
私たちが聞きたかったのは、事業希望者の方が子ども会館だった場所をどのように活用しようと考えているのか、それは採択された請願に則り、子どもの居場所となるものなのか?ということでした。
その質問に対して、事業希望者の方からは「長谷子ども会館の耐震対策を行い、子どもの居場所として再開して欲しい」という請願に則って事業を進めるつもりがある。しかし、様々な課題があり、具体的な活用方法は決まっていないと説明がありました。
意見交換会での事業希望者の方、市の方のお話をふまえて、改めて、旧長谷子ども会館を子どもの居場所として再スタートするための課題を整理してみました。
課題を大きく以下の3つにわけてお伝えします。
①建物修復の技術・金銭的課題について
②運営について
③子どもの居場所
この中で、今回は①について、書いていきます。
①:建物修復の技術・金銭的課題について
旧長谷子ども会館の、子どもの居場所としての再開を求める私たちの前に、再開の話が進められない理由としてまず挙げられるのは「費用」です。再開にあたり必要となる費用は大きく分けて、
・文化財としての旧長谷子ども会館の修復費用
・子どもの居場所としての維持・運営費用
の二つがありますが、ここでは、意見交換会での説明で伺った「建物修復費用」について簡単にまとめます。(維持・運営費用については、次回まとめます!)
修復費用の額
市の財政には限りがある中で、文化財の修復には相当なお金がかかると見込まれています。
市にはたびたび修復費用の総額について質問していますが、未だ正式な耐震診断が行われていないため、あくまで他の事例からの予測の域をでないものの、億を超えるお金が必要ではないかとのご意見でした(*1)。
建造物としての旧長谷子ども会館の特徴
旧長谷子ども会館の建物は、明治41年築、昭和55年に鎌倉市に寄贈されました。
「 外観は、バルコニーの柱にギリシア建築の様式を取り入れ、メダリオン飾りが付けられており、ドア枠と窓枠には手の込んだ装飾が施されるなど、きわめて華麗です。また、内部も古典的な雰囲気が感じられます。この建物は、明治期の住宅建築の貴重な遺構であり、造形意匠の密度においては、鎌倉のみならず、県内でも最高のものといえます。」(鎌倉市HPより)
こういった特殊な意匠を再現し、耐震構造を満たし、修復するには専門知識を持った方々の力と修復費用が必要です。
背後の斜面が土砂災害特別警戒区域に
旧長谷子ども会館の裏手には山があります。
その山の斜面にがけ崩れの恐れがあるとして、神奈川県から、これまでの土砂災害警戒区域の指定に加えて、土砂災害特別警戒区域の指定を受ける見込みです(2020年11月27日現在)(神奈川県のHP参照)。
土砂災害特別警戒区域 (レッドゾーン)とは…
土石等の移動等により建築物に作用する力の大きさが、通常の建築物が土石等の移動等に対して住民の生命又は身体に著しい危害が生じるおそれのある損壊を生ずることなく耐えることのできる力の大きさを上回る区域
土砂災害特別警戒区域に指定されると、以下のような制約が生じることになります。
・幼児や高齢者など要配慮者のための施設の開発行為などは、都道府県知事の許可が必要になる
・建築物の構造に規制がかかり、作用すると想定される衝撃に対して建築物の構造が安全であるかどうか建築確認がされる
そのため、旧長谷子ども会館の建物を曳家工事すること(※建物をそのまま曳いて動かす工法)や移築する可能性も含めて模索していること、また構造的にも強化する必要が生じるなど費用の増加が考えられると伺いました。(*2)
多額の修復費用に対し、補助金などは?
旧長谷子ども会館は、2006年以降、洋館・蔵ともに国(文化庁)の登録有形文化財(文化庁パンフレット)です。
また、鎌倉市の定める重要景観建築物でもあります。
登録有形文化財も重要景観建築物も、受け継がれてきた重要な建築物の外観を守り、街づくりに活かせる制度。今回の旧長谷子ども会館の修復費用についても補助が期待できそうです。
それでもまだ足りない修繕費用。
前回、鎌倉市の公的不動産課の方は「市として資金の調達に努力をしている」とおっしゃっていました。動いてくださっている市の職員の方々がいること、心強くありがたいです。
今年はどの地方公共団体も特に厳しい経済状態だと思います。
でも、子どもの居場所はなくしてはいけないものだと思います。声が届きにくい子どもの居場所だからこそ、社会経済のあおりを受けて消えることなく、また息吹をあげてほしい。
私たちも、市民として何ができるのか、模索を続けています。
(*1) Facebookやnoteへの掲載にあたり、内容に事実と異なる点がないか原稿を確認していただいたところ、事業希望者の方から、推定金額については不確定事項であるとのご意見をいただきました。
(*2) 同様に、Facebookやnoteへの掲載にあたり、内容に事実と異なる点がないか原稿を確認していただいたところ、事業希望者の方から、曳家工事や移築等の可能性についてはあくまで不確定事項であるとのご意見をいただきました。
Facebookでも活動紹介をしています。
コメントやメッセージ、とてもうれしいです。応援ありがとうございます。
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