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【初級】術後看護



こんにちは、まっしゅです。


今回は【術後看護】についてです!
手術後の看護、、
緊張しますよね、、!


様々な文献を参考に、
病棟や集中治療室での経験則も踏まえて
記事を書いておりますので、
学習や復習に役立てていただければ嬉しいです!


さてさて、もうそろそろ7月ですね!
新人の皆様はそろそろ1人で受け持ちすることが
増えてきた頃でしょうか?


先輩看護師は後輩に指導する機会が増えてきた頃でしょうか?


手術後の看護は急性期看護の中で大きな割合を占めますし、侵襲も非常に大きいので、状態変化のリスクが常に付きまといます。


術後の生理学を正しく把握し、
必要時は迅速に医師へ報告、対応する力が試されます。



今回は術後看護の初級編ということで、
術後のバイタルを中心に解説していきます!

術後の生理学から、報告すべきラインまで
解説しますので、参考にしてください!




【術後の生理学】


手術は、大怪我です。(大真面目)


清潔野で、有資格者によって為される大怪我です


お腹を切って、臓器を取ったり切ったり縫ったり、、、
身体にとっては大きすぎる侵襲ですし、
当然、侵襲に対して身体は様々な対応をします。


その身体の対応(生体反応)を踏まえて、バイタルサインを見ていくことが大切なのです。




手術の始まりから順々に説明していきます!


手術が始まるにあたってまずは、

①麻酔

をします。


麻酔は手術の痛み等の
有害反射を抑制する目的で行います。


病室に帰ってくる頃には麻酔は醒ましてくれてますが、
少なからず影響はあるのです。


麻酔の影響が残っていると、

・血圧低下
(副交感神経神経優位になるため、血管拡張が起こる)
・脈拍低下
(副交感神経神経優位になるため、脈拍が低下する)
・呼吸抑制
(副交感神経優位になるため、呼吸数が抑制される)
・低体温
(麻酔の影響で体温調整ができなくなるため体温が低下する)

が見られます。




続いて、

②気管内挿管


をします。


これは全身麻酔により呼吸が弱くなるため、
安定して呼吸を補助するために実施します。


術後の観察ポイントとしては、

・喀痰増加
(喫煙歴があると痰が非常に多くなる→だから禁煙を勧める)
(意識がはっきりしない中自己喀痰できないと、窒息や肺炎、無気肺のリスクが高まる)
・嗄声
(挿管で声帯が傷つくと起こる。数日で治る)


高齢者の手術が多いと思いますが、
高齢であればあるほど、術後の無気肺や誤嚥性肺炎のリスクが高いです。


既往歴の確認や、術前スパイロデータの確認を行い、
患者の呼吸機能を正しく把握しましょう!
COPDがあったら酸素投与量に注意が必要ですし、
喘息があったら、術後の鎮痛薬の選択に気をつけなくてはなりません。

また、意外と多いのが、誤嚥です。
高齢者の術後の誤嚥は、肺炎に直結し、
退院が延び、廃用症候群が進み、退院調整が難渋します。

一つもいいことがないです。

術後の経口摂取は慎重すぎるくらいが丁度いいです。
しっかり嚥下機能等を評価し、介入していくことが大切です。



最後に、

③執刀

です。


術後看護をする上で最も考えなくてはならないのが、

執刀の侵襲影響です。


術後の観察ポイントとしては、

・血圧低下
(出血、不感蒸泄増加に伴う循環血液量低下)
(炎症反応による血管拡張→サードスペースへ水分移動する。血管拡張による血管抵抗の低下や、水分移動に伴う循環血液量低下により血圧低下)
・尿量低下
(血圧低下すると腎血流量も低下するため尿量低下する)
・酸素運搬能低下→低酸素血症
(出血が多いとHbが低下するため、酸素を組織へ運ぶ能力が低下する。)
・高血糖
(侵襲によりカテコールアミンが分泌。インスリン拮抗され、血糖が上昇する)


ざっと挙げてもかなりの量になってしまいました、、、

これからはバイタルサイン別に
観察ポイントを紹介していきます。



【バイタルサイン】



バイタルサインは、6つありますよね!!


①血圧
②心拍
③呼吸
④意識レベル
⑤体温
⑥尿量



順番に解説してきます!



①血圧

血圧の異常には高血圧と低血圧がありますが、
まずは高血圧から考えていきましょう。



高血圧になる要因はなんでしょうか?
なぜ術後に高血圧はいけないのでしょうか?


術後高血圧になる要因の一つとして、
“ストレス”が挙げられます


具体例を挙げると、
術後の創痛や、ドレーンの刺入部痛、胃管の違和感、
麻酔副作用の吐き気などなど、、、

上記の様な手術に関連するストレスは血圧を上昇させ、
高血圧が続くと、“術後出血”のリスクが上昇します。

手術では、臓器を縫ったりしますが、
術直後の吻合部は安定しておらず、非常に脆いのです。



医師が高血圧を是正しようとする理由が見えましたね!


術後の高血圧があったら、ストレス因子を把握し、
積極的に薬剤等を用いてストレスを除去してあげましょう!
また、降圧薬が開始となるケースもありますので、
医師への報告も忘れずに!!!



次に低血圧です。

高血圧と比較して低血圧の方が早期対応が求められます。

なぜかというと、低血圧の状態は、
身体の代償が破綻している可能性が高いからです。
(代償の詳細については別記事の“急変に気付けるバイタルサイン”を参照ください)

もたもたしてると、滝のように、
ヒューっと、“あっという間”に状態が悪化してしまいます。


そうなる前に対応していきましょう!



なぜ術後は低血圧になりやすいのでしょうか?


要因は様々で、

・術出血により循環血液量が減少している。
・手術に伴う不感蒸泄により循環血液量が減少している。
・術侵襲により間質へ水分が移動し、循環血液量が減少している。
・麻酔の影響により副交感神経が優位になり、血圧が低下している。


などが挙げられます。


気づいた人も多いと思いますが、
術後の血圧低下で多い原因が、循環血液量減少に伴うものです。


術後に血圧低下があった場合、
手術記録を確認して見て、

「術後出血はどうだったのかな」
「術後出血に対しての補液量はどのくらいかな」
「サードスペースに逃げているからかな」

といった視点を持ってみてください。



また、血圧低下があった場合、脈拍尿量はセットで確認します。


血圧低下があったら脈拍+尿量はセット!!!

逆に、頻脈、乏尿があったら、血圧が低下する前兆!!!


大事なことなので2回言いました!!


血圧低下があり、その原因が循環血液量低下であった場合、
頻脈も絶対に一緒に見られているはずです、



循環血液量が足りなくて血圧が保てないのですから、
身体は脈拍を増加させることで血圧を上昇させようとするのです。


また、血圧低下してから頻脈が現れるかといったら、
経験上そんなこともありません。


「あれ、なんか洞性頻脈になってきたな、、」
「血圧は正常だな、、」

と思っていた矢先、血圧低下することも多いです。


血圧正常で頻脈が見られた場合、
血圧低下を示唆している可能性が高い
です。
(疼痛等のストレスで頻脈となっていることも多いが)




そして、血圧低下があった場合、
その多くは平均血圧も保てないので、
臓器灌流(臓器への血流)も低下し、尿量が低下します。
(体重×0.5〜1ml/hくらいの尿量が出てないと危ないサイン)
(例)50kgの人で、25〜50ml/hが正常)


尿量が保てないと腎機能が悪化し、
体には毒素が溜まっていきますし、
電解質バランスも崩れていきます。


こうなると状態悪化の一途を辿ります。


こうなる前に、医師へ報告し、
外液負荷等の指示をもらい、
循環血圧量を保つ必要があります。

医師への報告も、血圧だけでなく、
脈拍や尿量まで伝えられるとより良いです!


血圧低下の前兆や、
血圧低下に付随するバイタルサインの異常をキャッチして、
状態変化を未然に防ぎましょう!!!




②呼吸



術後は挿管の影響や、
疼痛により呼吸が浅くなりがちであり、
術前と比較して、換気量は50%前後まで低下します


そのため、安定して酸素を身体に供給させるために
酸素投与をしたまま帰室します。


また、
換気量が低下している中で、
挿管刺激で痰が増えたりもしています。

疼痛により、喀痰がうまくできなかったりもします。


術後は肺炎や無気肺等になりやすい状況であると言えるため、
SPO2だけでなく、呼吸回数、呼吸音の左右差や
副雑音の聴取が大切になってくるのです。




④意識レベル


麻酔の影響で、多くの患者は
帰室時はぼんやりしていることが多いです。


意識レベルは徐々に回復してきますが、
その経過は確認していく必要があります。


「意識はっきりしてきたな、、」と思っていたら、
術後せん妄が激しくて挿入デバイスが危ない!といったことも
可能性としてあります。


しっかり確認しましょう!




最後に、

⑤体温

です。



術後ベッドは電気毛布で温めて準備しますよね。

それは全身麻酔により体温調整ができなくなり、
体温が低下しているためです。



体温低下はそこまで重要視されていないですが、
非常に大切です!


体温が低下すると、、

・血液の凝固能が崩れる
・シバリングが起き、酸素消費量が増加する
・末梢血管が締まることで血圧上昇し、
 創出血や心負荷増加のリスクが上昇する
・身体的ストレスが増加する

といった弊害があります。


体温を保つことは結構大切なのです。


また、術操作による炎症反応により、
体温が上昇することもあります。


発汗による血圧低下や、ストレス増大等の
影響もありますので、発熱の状況にも注意していきましょう!


以上で術後のバイタルサイン6つ紹介しました。
(脈拍、尿量が血圧の項目と合併していますが、、、)


観察するべきポイントは分かりましたか??


次は、術後看護の中級編として、

術後合併症を紹介していきます。


最後まで読んでいただきありがとうございました!!










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