ルールが変わった世界で何を最優先事項にするか
世界のルールが変わってしまった
自宅保育が始まり1週間、在宅勤務になってから1ヶ月以上が経つ。なんというか、これまであった世界のルールが変わり、新しいゲームの中でサバイバルしていかなければいけない気分だ。会社に出社して着席して、すべきことをしていれば良かった時代は終わり、誰も監視していない状態で常に「成果は出せているか?この時間は無駄ではないか?」を考えるようになった。
保育園からは「生活の維持に必要な仕事に就いている場合を除き」保育を自粛してくれと言われている。わたしの仕事は「生活の維持に必要な仕事」ではない。そう突きつけられたような気がしてグッと来たが、実際そうなのだ。
わたしの仕事は人の生活の維持に必要ではない。でも、人の生活をより素晴らしく、より豊かにするために、不要不急の仕事をしているのだ。そう割り切れるようになった。
娘が生まれた後の働き方の話
娘が生まれてすぐに転職した会社では、時短勤務が使えなかった。1歳にもならない娘を預け、夫に家庭を守ってもらって、会社に通った。久しぶりの仕事は楽しかったし、家庭以外にも自分が必要とされる場があるのはうれしかった。職場は良いところで、母親だからといって差別されることはなかった。残業もあるし、出張もあった。その責任を果たしながら、家族もしっかり守ろう。そう思って働いた。
年末年始の長期休暇が明けて、久しぶりに会社に行くとき、本当に本当につらかった。家族と離れるのが心底つらい、と強く思った。会社での責任を果たしつつ、家族も守る。守る、というのは経済的な意味でもあったが、わたしがしたいのはそれではなかった。
帰宅すると寝てしまっている娘の顔や、苦手な家事に疲れている夫の顔を見たくなかった。わたしの中での「働き方のルール」を変えないと、夫と娘がいる新しい人生ではやっていけない。そう理解した。
何を最優先事項とするかを間違えてはいけない
そのときの思いを元に、転職活動の軸に「どう働くか」を盛り込んだ。人生で初めてだった。「週に5日、フルタイム」を疑ったことがなく、終電=定時のような働き方もしていた人生において、定時退社は当たり前、娘のお迎えのために時短で帰るぶん、しっかりパフォーマンスを出すことを約束するのは、プレッシャーにもなった。
しかしプレッシャーを引き受ければ、家族との時間を作れる。40を過ぎて、プレッシャーから逃げるわけにもいかないだろう。そして逃げ続ける度胸もツキも、わたしにはきっとない。そう考え、まずはやってみようと思えた。
自分の中での「働き方のルール」を変えて就職して、1ヶ月半が過ぎた。保育園のお迎えはしばしお休みとなったけれども、朝起きてから娘と朝食を食べ、夫にコーヒーを淹れる。仕事をし終えたら家族の食事を作り、共に食べ、夫に後片付けのお礼を言う。娘の寝かしつけ前に親子3人でベッドで遊ぶ。絵本を一緒に読む。そういう時間が持てるようになった。
どことなく頑張りが空回りしているように感じていた人生に、着地点が見えたような気がした。両足をしっかり踏ん張って、働き、稼いで、家族を守っていく。その中で一番大切にしたいのは家族の時間で、これがわたしの最優先事項だ、と分かったからだと思う。
ゲームのルールが変わった世界を生き抜くのは、簡単なことではない。不満も不安もたくさんある。それでも生きていかなければいけないなら、何を大切にするかだけは間違えたくない。そう思っている。
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