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【ミニ社長塾 第50講】社長塾の最終講とそこで得た気付きについての話。 

おつかれさまです。中小企業診断士の長谷川です。

私がプログラムディレクターを務めています「アタックス社長塾」の第20期が先日最終回を迎えました。

「アタックス社長塾」は中堅中小企業の経営者、特に社長の後継者を対象にした経営塾で、経営をするうえで必要な知識と考え方を学び、それを自社にどう落とし込むかを考えていく1年間のプログラムです。
※詳しくは下記URL先をご覧ください。

今回は、研修の最終回に行われた「価値創造計画」の発表大会についてや、そこで得た気付きについてお話していきます。どうぞ最後まで、お付き合いください。


1.1年間のプログラムを振り返ってみて

話を進める前に、まずは社長塾のプログラムをご覧ください。
※こちらは来年4月開講予定の第23期のものになります。

第23期社長塾のカリキュラム一覧

期によって講義の種類や内容について違いがあるものの、大きな流れは変わっていません。前半で経営者として必要な基礎的な知識習得(財務、人事組織、マーケティングなど)を行っていただき、後半でご自身が経営をしていかれる上で目指すべき方向や方針を定めていただきます。

そこで検証した結果を「経営計画」という形式でまとめていただいています。私たちの社長塾は、この「経営計画(中長期経営計画)」が成果物です。しかし、成果物と言えども「作り方を学ぶ」ためにやっているのではなく、「現場に落とし込む」ために作っていただいています。そのため、計画の名前は「価値創造計画」としており、自社の将来像を具体的に描いていただいています。

私は6年ほど前からアタックスに入社し、それ以来「アタックス社長塾」に関わっています。私が携わっているだけでも100名以上もの経営者、また社長の後継者の方に受講いただいておりますが、入塾目的の多くは「経営を体系的に学びたい」というものでした。そして、1年間のプログラムを終えた感想として「自分の会社のことを深く知れた」という声を意外にも多くいただいています。

どこでも耳にすることで恐れ入りますが、今は「作れば売れる」「良い商品であればお客様に買ってもらえる」という時代ではありません。差別化が難しい時代ですし、差別化していれば良いというわけではありません。お客様に求められていなければ目に入りませんし、価値が伝わることもないからです。時代は急速に変わってきています。

今回の第20期の受講生の方々は、このあたりをスゴク意識した計画を描き、発表をされていました。要は「何かを変えないと、これからの社会で生き残ってはいけない」ということです。それは自社が所属する業界に対する危機感や日本社会に対する危機感。明らかに入塾された一年前より視野が広くなっている受講生の皆さまの発表には力を感じました。

2.経営者が行うプレゼンで大切にすべきこと

皆さまは、自社の経営計画や経営方針について社内でどのような形で発表されていますか?

弊社でもそうですが、多くの会社では経営計画発表大会を半日~一日くらいの時間をかけて行い、その流れのなかで伝えられているのが一般的です。

<経営計画発表大会の一例>
・開会宣言
・経営理念の唱和
・前期計画の総括
・今期計画の発表
・各部署の取り組みの振り返りと目標の発表
・各種表彰など
・閉会宣言

この一例の「今期計画の発表」にあたるものの練習の場として、社長塾の最終回の「価値創造計画の発表大会」では一人あたり20分ほどの時間をかけて行っていただきました。実際はもう少し長めに時間を取って話される場合もあります。しかし、どちらにしても大切なことは「何を一番に伝えたいか」に話を絞ってを行うことです。

まず、言葉について次の3つの特性があることをご紹介します。

①省略 :全体の内容を省略する。言葉の持つ情報量・容量は少ない。 画像や動画の方が伝わる。
②歪曲 :発信者のその時の感情によって言葉は歪んで伝わる。
③一般化:物事の一部分で全体であると認識する。誤認させる特性がある。

過去の体験や価値観など、いわゆる人それぞれ受け取り方が違う、といったことは、この3つの特性が大きく影響しています。その結果、言葉を発信した人と受信した人の間にイメージのズレが生じています

これをなくすためには「コミュニケーションの回数を増やす」ことや予め共通の体験や価値観におけるモノサシを設け「共通認識を持つ」といったことが対応策としては考えられます。

その他に挙げられることが「話を絞る」ということで、「焦点化の原則」と呼ばれるものにちなんだものです。焦点化の原則とは、「人は見たいものしか見えない、顕在意識は1つのことしか処理できない、意識は焦点を当てたものだけを認識する」といった脳が持っている特性です。実は、複雑な処理が脳は苦手なので、シンプルにした方が良いのです。

経営者は常日頃から会社のことや事業のことを考えているので、高い視座で様々な視点を持っています。ところが、社員の全員が同じように考えているわけではありません。そのため、複数の視点に話題が及ぶと話が複雑になってしまい、前情報を十分に持っていない社員は話に追いつかなくなってしまうのです。だからこそ、「何を一番に伝えたいか」ということに話を絞り、そこに焦点を当ててジックリと話をした方が伝わりやすくなります。

今回の計画発表のなかで、話を絞って伝えられていた方は聞きやすかったですし、とてもよく伝わりました。また、その話題に時間をかけている分、熱量も感じました。

計画の細かな実行のところについては、上記の経営計画発表大会の流れにありますように、各部署の責任者に任せて大丈夫です。経営者として伝えるべきことはシンプルに「この方向で行くんだ」という宣言し、想いを社員と共有していく事が大事だと思います。特に、社長としての覚悟を伝えることで、社員の立場からしても決意を新たにすることができます。

3.感情7割、理屈3割のバランス

これは受講生の発表からではなく、発表を受けて総括のコメントで副塾長が話されていたことなのですが、「論理的であることは重要ではあるが、人間は感情の生き物なので『感情7割、理屈3割』のバランスがちょうどよい」と仰っておられました。

これは副塾長が、あるコンサルタントから聞いた言葉らしいのですが、この言葉に妙に納得感があったので受け売りで書かせていただきました(笑) といいますのも、どこかで「理解はするけど納得はしていない」ということが良くあるからです。

その背景は言葉の受け取り方の違いと同様、体験や価値観などの違いがあります。いくら論理的で正しいとしても、その価値観やその人の人間性を否定するわけにはいきません。どこかで落としどころをつくる上でお互いに歩み寄りが必要であれば、それは話し手の熱意や覚悟といったものが人を動かす大きな一助となります。だからこそ、感情のウェイトが過半数ないといけないのだと思いました。

この時の理屈(論理性)は自身の主張をブレさせないために役立ちます。だからこそ、準備の段階まではしっかりとブレない軸を論理的に構築し、発表(プレゼン)本番は感情豊かに行えば良いのです。それで、ちょうど『感情7割、理屈3割』です。

今回の記事をまとめますと、次の通りです。

・社長塾入塾目的の多くは「経営を体系的に学びたい」というもの。また、1年間のプログラムを終えた感想として「自分の会社のことを深く知れた」という声が意外にも多い。
・経営者が行うプレゼン、発表で大切なことは「何を一番に伝えたいか」に話を絞ってを行うこと(焦点化の原則)。

人間は感情の生き物なので『感情7割、理屈3割』のバランスがちょうどよい。

今回は『社長塾の最終講とそこで得た気付きについての話。』ということについて記事を書きました。また次回以降もどうぞよろしくお願いいたします。

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