山川よ打てるぞファンが博多にあり

 福岡ソフトバンクホークスに移籍した山川選手。開幕戦で挨拶代わりの見事なホームランを放ったものの、数試合を経て打率一割台と四番打者の重責を果たせないでいる。
 大丈夫だよ、きっとやれる。
 だって、ペイペイドームでNPBの名だたる一流選手達と野球ができるじゃないか。熱く応援してくれるホークスファンがいるじゃないか。
 この半年以上にわたり、彼は叩かれた。社会的制裁というボディーブローをめった打ちに食らい、ノックアウト寸前にまで追い詰められた。たった一度の人生を野球に賭けている、ただそれだけの一人の若者を、なぜあそこまで追い詰める必要があったのか。バウアーはどうなのか、国は違えど同じプロの野球選手である。バウアーは横浜スタジアムのマウンドで喝采を浴び、山川はブーイングを受け三軍にまで落とされる。この違いは何だったのか。
 昔、大ヒットしたデュエット曲「浪花恋しぐれ」の出だしを思い出す。
 『芸のためなら女房も泣かす〜、、、』
 彼は野球道という一芸に秀でた逸材である。時代は変われども、この歌に拍手喝采したわれわれが、手のひらを返すように、やれ社会的責任だなんだと騒ぎ、芸の道を極めようとしている若者を痛めつけるなんて。ああ、情けない。人情はどこへ消えてしまったのか。まさに凍りつくよな浮世。そんな中、博多のホークスは彼を見捨てずに救ってくれたのだ。
 山川選手よ、まっとうな野球の道で世間を見返してくれ。過去は綺麗さっぱり忘れよう。好機に一撃を放ち、どすこい〜、という雄叫びを博多の街に鳴り響かせてくれ。そして、その活躍でもって、今回の騒動で迷惑をかけたであろう社会への償いとすれば良いではないか。

令和六年四月九日


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