放生津通信

新湊出身の筆者(放生津 榮治)がスポーツ全般と新湊の四方山話(いろんな話し)をお伝えしていきます。

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最近の記事

万葉線の出会い

 ー 清 ー  しがない五十代のサラリーマン、清。  いつも庄川口から越ノ潟方面の万葉線に乗る。  いつも同じ席に座っている女子高生。セーラー服に濃い茶色のスカーフ。地元の湊高校の生徒だろう。透明感のある美しい面立ち。毎朝いつも慌ただしく電車でスカーフを結わえている。キカン気な顔つき。  目が一度だけあった。  「まずい。へんなおじさんやと思われとっかも。」  西新湊で降りる彼女。湊高(みなこう)に向かう。  「湊高の生徒か。賢そうやな~。ま、今の若い子はみぃんなカタい子に見

    • 博多の名人芸

       令和六年六月二十三日、みずほペイペイドームでホークス対マリーンズ戦を観戦した。プロの名に恥じない選手達の名人芸を随所で楽しむことができた。  中盤戦、山川選手の単打に続く近藤選手の一発でホークスがリード。マリーンズは、追い込まれた最終回、ソト選手の逆転スリーランでホークスの勝ちパターンを覆す。両者ともに主軸の名人芸もあって、延長十二回のゲームセットまで我々ファンを一喜一憂させてくれた。  名人芸は帰りの西鉄バスでも披露された。博多駅に向かう臨時送迎バス。運転手さんの車内アナ

      • 直球入魂

         令和五年八月一日、阪神甲子園球場で開催された全国高等学校女子硬式野球選手権大会の決勝を観戦した。  岐阜第一の先発は二年生。背番号は18。金沢市出身の彼女は、百五十八球の熱投と決勝打で準決勝を乗り切り、自ら勝ち取った決勝の晴れ舞台に立った。甲子園のマウンドからはどんな景色が見えたことだろう。  初回に先制点を取られたものの、二回を過ぎたあたりから開き直りを見せた。変化球にやや頼りがちだったピッチングの組み立てがすこしづつ直球主体に変化していった。  その直球の威力には神戸弘

        • ラグビーが持つ力(令和六年一月)

           令和六年一月七日。横浜イーグルス対相模原ダイナボアーズ戦を観戦した。秩父宮ラグビー場は真冬の寒さ。毛糸の帽子に手袋をした観客の姿が数多く見られた。  ダイナボアーズは泥臭く突進し敵の陣地をグイグイとこじ開ける。イーグルスも負けじと押し返す。また、そのパスも巧妙。スイッチするパスが特にハマって、試合はイーグルスペースに変わっていき、接戦の末、イーグルスが勝利した。  壮年、老年のご夫婦があちこちで観戦されていた。そのプレイ批評が聞こえてくる、これがまた楽しい。どちらのファンか

          ラグビーが持つ力(令和六年二月)

           令和六年ニ月二十四日。リーグワン第七節、花園近鉄ライナーズ対クボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦を観戦した。  花園ラグビー場の客席に陣取ると、真っ先に目に入ってきたのは、芝生の緑色、座席を彩る赤色。寒風が吹きつけてきて身が震える。毛糸の帽子と手袋を持ってくれば良かったと悔やむ。  銅鑼の音とともに試合は始まった。クボタは開始数分でトライを奪取。キックも成功して勢いに乗ると、一気呵成に点差を広げていく。近鉄は押されっぱなし、一方的なクボタペースで前半は終始した。後半、息を吹き返

          ラグビーが持つ力(令和六年二月)

          多様性を認め合い切磋琢磨するリーグワン選手たち

           ラグビーリーグワンは開幕からはや三ヶ月近くを経過した。フィールドで躍動する世界の超一流選手から目が離せない。というのも、彼らはわれわれリーグワンチームのユニフォームを着て、その妙技を惜しみなく発揮してくれているからだ。これぞ、日本ラグビーのレベル向上と人気定着の証しと言えよう。  中でもデクラーク選手。プレイの美技もさることながら、衝撃的だったのはその呼ばれ方。客席では、特にご婦人たちに「デク」「デクちゃん」などと呼ばれていた。ワールドカップ優勝チームのスクラムハーフが近所

          多様性を認め合い切磋琢磨するリーグワン選手たち

          気は清らかに大なれ高岡高校ナイン

           真夏日を思わせる陽気となった令和六年四月二十八日、高岡西部球場で春季富山県高等学校野球大会三回戦の三試合を観戦した。中でも第二試合、高岡高校ナインの溌剌としたプレイが爽やかだった。  先発、リリーフのピッチャーは二人とも小気味よくストライクを投げ込む。迷いがない。どんどんストライクで勝負していく。バックも頼もしい。キビキビとした足運び、グラブさばき。試合は高岡ペースで進み、あっという間にコールドゲームで幕切れとなった。  頼もしい応援団もいた。小学生と思われるチビッ子たちが

          気は清らかに大なれ高岡高校ナイン

          強豪校のマナー

           令和五年九月十七日、富山県秋季高校野球大会の高岡商業対富山商業戦を県営野球場で観戦した。時折、飛行機がジェット音とともに飛び立ってゆく初秋の空を眺める筆者は、残暑の強烈な日差しを浴びて汗だく。  強豪校同士は互いに譲らず、序盤戦は膠着した状態が続く。三回裏に先取点を奪ってからは富商ペースの中盤戦。試合が動いたのはクーリングタイム直後の六回表。富商エースがマウンドで足をつった。回復を試みるが叶わず投手交代。高商は八回表の好機を逃さず二点を奪って試合を振り出しに戻し、勢いのまま

          強豪校のマナー

          山川よ打てるぞファンが博多にあり

           福岡ソフトバンクホークスに移籍した山川選手。開幕戦で挨拶代わりの見事なホームランを放ったものの、数試合を経て打率一割台と四番打者の重責を果たせないでいる。  大丈夫だよ、きっとやれる。  だって、ペイペイドームでNPBの名だたる一流選手達と野球ができるじゃないか。熱く応援してくれるホークスファンがいるじゃないか。  この半年以上にわたり、彼は叩かれた。社会的制裁というボディーブローをめった打ちに食らい、ノックアウト寸前にまで追い詰められた。たった一度の人生を野球に賭けている

          山川よ打てるぞファンが博多にあり

          応援する生徒諸君を称えたい

           令和五年九月十日、富山県秋季高校野球大会の未来富山対富山商業戦を県営球場で観戦した。蜻蛉が空を舞い、残暑の強烈な日射しが照りつける中、応援は未来富山の野球部員と思われる生徒達から始まった。太鼓以外は肉声の、至ってバンカラな応援だ。  富山商業は有志の生徒が声を張り上げ応援する。二回戦だから応援団は来ないのか、と思ったところ、試合も中盤になって同校応援団が駆けつけた。女子二人も黒の学ランを身にまとい、十人程度の団員がいつものハツラツとした応援を繰り広げる。  試合は終わった。

          応援する生徒諸君を称えたい

          別れの日を祝して

          もうすぐ春がやってくる 春は別れの季節 そして 出会いの季節 三月なのに曇天の続く空に 雲 雲 雲 放小の校庭には 芽吹く日を待ち焦がれる桜の木々  一番端っこの一本にだけ ピンクに色づき咲いている 花 花 花 県立高校は一日が卒業式 旅立ちの歌は 蛍の光か 大地讃頌か  それとも今風に奏(かなで)とかだろうか 歌いながら振り返るだろう 数え切れないほどの楽しい思い出 ほんのちょっとの苦い経験も 式場を後にする 笑顔 泣き顔 談笑する顔 顔 顔 顔 もう 朝の電車

          別れの日を祝して